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皇宮での邂逅

今回踏み抜いたのは私でした。

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「え?え?」
殿下が危ない?帝国の危機?
なんでそうなるの?
殿下のとんでも謝罪の時には私も焦ったけど、その後の父さまはじっと私の話が終わるのを待ってる感じだったと思うんだけどな、、、?
さっきは余計なお喋りを始めたから、早く自分が話したくて戻されたんだと思うの。
そう言うと、エルンストさんは盛大なため息を付いた。
「嬢ちゃん。あんたはまだまだ団長のことが分かってない。
あの執着を受けていて無自覚なのは、育った環境のせいなんだろうけど。」
「執着?父さまの一番はいつも母さまだけど?」
「そりゃそうだろうけど。嬢ちゃんはその次には来るだろう?」
「うーん?そうかも?」
首を傾げる私に、エルンストさんはもう一度溜め息を吐いてから、さぁ行けるところまで行くよ、と言って再び私の腕を掴んだ。
「とにかく、団長の目の前で、嬢ちゃんの前に若い異性オスが来て、嬢ちゃんと仲良くした。それで、団長にとっては充分殺処分対象だ。」
ほら、殿下が処分される前に行くぞ。
府に落ちないまま、エルンストさんに腕を引かれて立ち上がった瞬間。
「その必要は無い。」
不機嫌な声がして、ソファの脇に父さまが現れた。


「父さま!」
私が立ち上がると、父さまはそのまま黙って私をギュッと両手で抱きしめ、ついでにエルンストさんの手に目を向ける。
「二度も触るな」
「痛っ」
とたんにエルンストさんは私の腕を掴んだ手を離した。
「なにするんですか!痺れてしばらく使い物に・・・」

「黙れ」
冷たく、不機嫌な声。
手を押さえて声を上げたエルンストさんは、さっと青ざめると、そのまま沈黙した。

おかしい。
普段の父さまなら、手を離させるために、腕を痺れさせたりはしない。
魔力調整が出来てないってこと?
でも、その割には、魔力も渦巻いてないし、火花も飛んで無い。
ただ、ものすごく部屋の空気が重いけど。
と、思っていたら。
エルンストさんがガクッと膝から崩れた。
「団長、その圧、キツいです・・・」
「うるさい」
あ。やっぱり本当に重いんだ。
それにしても、さっきから一言しかしゃべらないし、機嫌は悪いし、私をギューギューしてくるし、、、。
「父さま、どうしたの?」
私が顔を覗き込むと、いつもなら目を合わせてくれるのに、フィッと背けられてしまった。
ますますおかしい。
これは本当に、殿下との話し合いで何かあったのかな?
「父さま、殿下・・・フェリクスさまとの話で、何かあった・・・」
呼び方に慣れようと思った私の口から、『フェリクス』と言う言葉が出た瞬間。
いきなりものすごい勢いで部屋中に火花が充満した。
この量を留めていたから、あんなに圧がかかってたんだ!
圧の理由は分かったけど、全然嬉しくない。
父さま、殿下の名前を口にしたとたん、押さえが外れたよね?
これはオリヴィエ兄さまやエルンストさんの意見が正しいのかも。
でも、確かめようにも、眩しくて目が開けられないよ~。
どうしよう?結構まずい状況?
私がやっと危険を認識した時。
「ディー、今、なんて?」
さっきまでとは一転、とっても父さまの声がした。

ヤバイ。これは切れちゃう方向だ!
しかも、今回地雷を踏んだのは私。
いつの間にか眩しさは感じなくなったけど、今度は目を開けたら濃紫の渦に巻き込まれそうで、怖くて開けられない。

誰か助けて!!
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