帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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帝都のひと夏

飲んでしまいました。

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「この子たちは、私の弟と妹でね。こっちが三男のルーファス、今年学園に入学する。こっちは末っ子のディアナ、十歳だから、学園はまだ先だな。二人とも今までずーっと領地で育ったんだが、今日の式の為に帝都に来てくれたんだよ。」
背が高く体格のいい騎士さまたちにぐるりと取り囲まれた私とルー兄さまの後ろから、オスカー兄上の声がした。
何だかちょっと面白がってない。
振り返って確かめようとしたけど。
歓声と共に口々に話しかけられて、それどころではなくなってしまった。
「やっぱり男なのか!俺マジタイプの美人顔だったのに~。ねえ、君、お姉さんはいないの?なんならお兄さんでも。」
「馬鹿、お前、この子のお兄さんはオスカーとフィンじゃないか。」
「あ、やべ。あいつ等じゃ襲えないか~。」
「返り討ちにあうぞ。ケツ抱えて泣いてるかもな?」
「それでも訓練には来いよ?ケツぶちのめしてやる!」
ハハハッ!爆笑する彼らの話は半分も理解できない。取り敢えず曖昧な笑みを浮かべて突っ立っていると、兄さまたちと離れて囲まれてしまった。こっちのお嬢ちゃんもまあ座って、と椅子を勧められる。
「酒は・・・流石にないよな。嬢ちゃんは果実水でいいか?・・・おーい果実の飲みやすいのなんかくれ!はい、どーぞ。」
ひょいっと渡されたグラスには砕いた氷と綺麗な色の果実水が入っていて、誰かの、さあ、乾杯!の音頭ともに、つい一緒に口をつけた。
「あ、美味しい。」
さっきは走ったし、緊張もしたし、随分喉が渇いていていたみたい。すっきりした飲み口の冷たい飲み物を、私はごくごくと飲んでしまった。
「良い飲みっぷりだね、お嬢ちゃん。お代わり要る?」
「有難うございます。これで落ち着きましたわ。」
にこっと微笑んでお礼を言うと、私の席を囲むようにして飲んでいた騎士さまたちはヒューッと口笛を吹いた。
「なんだ!この可愛い生き物は!」
「天使?天使だ!」
「滅茶苦茶可愛いんだけど。」
「もう一回笑って?今度はお兄さんに向かって、ね?」
「いいなあ、こんな可愛い妹、俺も欲しい。」
「俺も!ねえ、こっち向いてお兄サマって呼んでみて!」
酔って遠慮が無いのか、元々こういう人たちなのか、、、みんな可愛い可愛いと口々に言いながら、かがんでグイグイ寄ってきて顔を覗き込まれた。
「そんな、可愛いなんて・・・」
落ち込んでいたところだったので恥ずかしくて目を伏せてしまう。
「おい、恥じらってるぞ・・・ほんとにオスカーやフィンの妹か。」
「これが深窓のご令嬢ってやつだな・・・本物初めて見た。」
「学園に居たご令嬢は、みんな俺らみたいな下級貴族の次男三男にはツンツンしてたもんな。」
「顔も可愛いけど、恥じらう風情がほんと可愛いな。」
顔上げて、こっち向いて、いや、今度は俺の方を、とあちこちから言われて、恥ずかしさと戸惑いからか、心臓がバクバクしてくる。
でも、オスカー兄上は、この方たちの言葉は本音だよって言っていたから。
思い切って視線を上げると。
覗き込んでいた誰かが「あっ」と叫んだ。
「この子の瞳、黄金色だ!」
「え?まじか?見せて!」
今度はみんなでジーッと私の瞳を見てくる。
「ほんとだ・・・俺、ばあちゃんから聞いた建国神話思い出したわ。」
白金しろがねの髪に黄金こがねの瞳、光纏える兄弟は、野獣を倒し、荒れ地を整え、オストマルクの民を導き給う、だっけ?」
「男にしか表れないって聞いてたんだけど。」
「俺も。建国の英雄兄弟の弟の方の家系のコンラート公爵家にたまーに表れるって、聞いてたんだけど。」
「ふぉえー。今度実家に帰ったら、じいちゃんとばあちゃんに教えてやろう。」
「嬢ちゃん、も一回だけ見せて!」
あまりに見られて、恥ずかしさのあまり、目が潤んでくる。頬もどんどん熱くなるし、心臓の音もうるさいくらいだし、体も何だか熱を持ってるみたい。
真っ赤になって涙目の私を見て、騎士さまたちは、ハッとしたように身を引いた。
「ごめんね。悪気はなかったんだ。泣かないで!」
「ほんとにごめん。知らない野郎にじろじろ見られるの嫌だよね。」
「おい、オスカー、ごめん、妹ちゃん泣かせちゃった。どうしよう。」
皆さん、慌ててる。賑やかな騎士さま方はこんなことで慌てるのね。何だかおかしい。
「ふふ、わたしはだいじょうぶれす・・・」
心配しないで、と思って口を開いたんだけど。あれ?うまくしゃべれない。
「あれ~?ろーしたのかひら・・・」
「お、おい、この子の飲んだこのグラス・・・」
体が熱すぎてふわふわしだした私のそばで、誰かが叫んでる。
「これ、酒だぞ!この後女の子口説きに行く時に酔わすように準備しといた奴・・・」
「えっ?誰だよそんなのこの子に飲ましたの!オスカー大へん・・・」

「・・・私の娘に何を飲ませたって?」

夏の初めの午後にはそぐわない凍るような冷気とともに冷たい声がして。
「あれ~、とーさまのこえら~。」

ざざっと囲みが解かれた方を向くと。
慌てた顔のオスカー兄上や蒼ざめたフィン兄さまを手で制して。父さまを先頭に、母さまと伯父さま、オリヴィエ兄さまが立っていた。
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