帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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帝都のひと夏

ちょっと断りを入れに行くことにします

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「どうした?」
穏やかに問い掛ける伯父さまは宰相閣下のお顔をしている。
「陛下が、閣下と少しお話があるとのことにて・・・」
「この会が終わったら、控えの間に伺うと伝えてくれ。」
「それが・・・」
言いながら、私の方をちらっと見てくる。お仕事の邪魔なのかな。
「伯父さま、私も時間が有ったら少し行きたいところがあるので、どうぞいらして。」
そう言うと、伯父様は、おや、と首を傾げた。
「どこに行きたいの?連れてってあげるよ。その後陛下の・・・」
「そんな!陛下のご用を優先して下さい!」
もう、この伯父さまは何てことを仰るの!不敬罪で捕まってしまうわ!
私はぴょんと立ち上がった。優雅な動きとは言えないけど、止められる前に動かなきゃ。
「近くで、ちょっと言伝をするだけなので、一人で大丈夫です。きっとすぐ終わるわ。終わったら、えーっと・・・」
終わったら、どうしようかしら?伯父さまは陛下のご用だし・・・。
「そうしたら、さっきの控室に戻っておいで。フィンとオスカーは用もなく遊んでるだけだろうから、控室に迎えに行くように伝言しておくよ。」
言いながら、伯父さまはゆっくり立ち上がった。
「では、私も行こうかな。」
「ええ、行ってらっしゃいませ。伯父さ・・・宰相閣下。」
頭を下げて見送る。
頭を上げると、伯父さまは建物の角を曲がるところで振り返り、にっこりして手を振ってくれた。
うん、思わぬ自由時間が出来て良かった。これですっぽかさずにきちんと断りを入れられるし、これからこういう迷惑なことはしないよう、殿下に伝言も出来る。
私は一連の動きが出来すぎていることには全く気付かず、早速小径に足を踏み入れた。

小径の周りの花壇に咲く花は小ぶりで野原に咲いているようなものが多い。一方、緩く曲がり、白い貝殻で縁取られた可愛い小径は、意外にも、かかとが細い靴でも大丈夫なように、きっちりと敷石が敷かれ歩きやすかった。
足元を気にしなくて良いので、花を楽しんで歩いていくと、そのまま灌木が増え、気付くと自然に木立に入っていた。人が来ないのが不思議なほど、良くできた素敵な庭だ。
「母さまはご存じかしら?フィン兄さまと探検しながら歩いてみたいな。」
そう思いながら歩いていくと。
すぐに脇道が現れ、なんと緋色のマントも鮮やかな近衛騎士が一人立っていた。
「バーベンベルク辺境伯ご令嬢でいらっしゃいますか?」
私の姿を認めると、驚きもせず丁寧に問い掛けてくる。
「はい、そうですが・・・」
え?なんで近衛騎士さまに名前を呼ばれるの?
そう思う間もなく、私の後ろをサッと見て、「お連れの方はいらっしゃいますか?」
またまた丁寧に問い掛けられた。
「いえ、一人ですけれど・・・」
言いながら何となく後ずさる。
だって、確かに招待状はあったけれど。これではまるで・・・。
「お待ちしておりました。皇太子殿下はまだいらしておりませんが、ご令嬢が来たらご案内するよう仰せつかっております。こちらへどうぞ。」
やっぱり、たまたまこの道を警護してるわけじゃなかった。この方、私をわざわざ待ってたんだ。
これでは、言伝してすぐに帰らせてはもらえなさそう。
どうしたらいいの?
考えてる間にも、近衛騎士はずいっと一歩近づいてきた。
「さあ、お手を。」
恭しく手を差し出されても、怖いだけだ。
「いえ、あの、私はただ・・・」
言いながらもう一歩下がる。
この靴で走って逃げられるかな?そう思いながら振り返ろうとした時。
「何をしている。ご令嬢が怖がってるじゃないか。」
来た道とは反対側の小径の先から、フェリクス殿下が現れた。


お読みいただいてる皆さまへ
作者近況だとお読みにならない方もいらっしゃると思うので、こちらに書かせていただきます。
いつも読んで頂きありがとうございます。
最近は一日一回更新を目指してますが、先月末から歴史・時代小説大賞の投稿を始めたので、ちょっと時間が足りません。
今月は出来れば歴史の方を優先して投稿しようと思ってますので、更新が遅れてしまう事もあると思いますのでご連絡いたします。
歴史小説はすごく歴史っぽくしようとしたら、厨二の娘に字が難しすぎて全然読めない、と言われ、段々ただの恋バナになってきました。
もしお時間とご興味があったら、古代日本の恋バナを覗いて見て下さい。
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