帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

文字の大きさ
203 / 241
帝都のひと夏

収拾してくれたのは

しおりを挟む
結局、この場を収拾してくれたのは、オスカー兄上だった。
「伯父上、ディアナは初めて帝都の社交界に顔を出してだいぶ疲れたようです。伯父上とご挨拶が出来ていないからと留まっていましたが、この場でそれもかないました。早めに失礼してもよろしいでしょうか?」
言いながら、固まった私のそばまで来てくれる。
カレンブルク侯は、その様子を面白そうに眺めながら、もちろん良いとも、とにこやかに答えた。
「びっくりさせて悪かったね、ディアナ嬢。バーベンベルクしか知らないご令嬢には緊張する時間だったろう?帰ってゆっくり休みたまえ。ああ、うちの双子にはもう会った?まだなら今度屋敷に招待しよう。」
なんだか棘を感じなくも無いけど、私は精一杯にっこり微笑んだ。
「・・・ありがとうございます。カレンブルク侯爵様。」
「そんなよそよそしく呼ばないでおくれ。僕に似た色は無くとも、黄金の瞳がある以上、君は確かにコンラートの姫君だし、半分しか血は繋がってないとは言え、僕は君の父親の兄だからね。伯父と呼んでもらっても構わないよ。」
棘を感じても、引きつっても、取り敢えず笑顔は必要だよね。
「・・・はい、伯父さま。」
「伯父上、では、ここで失礼します。」
オスカー兄上は穏やかな態度のまま私の手を握ると、フィン兄さまに目配せした。そのまま今度はエティエンヌ殿下に向き直る。
殿下は、一部始終を興味深げに眺めていたけれど、私たちが帰ると知っても席を立たなかった。ソファに座ったまま足を組み替え、オスカー兄上を黙って見上げる。
そんな殿下に、兄上は恭しく礼をした。
「エティエンヌ殿下にもここで失礼を致します。そして・・・ご招待、謹んでお受けいたします。折角ですからバラ園をゆっくり楽しみたいのですが、殿下のお時間は頂けるのでしょうか?」
「ああ、もちろん。なんなら屋敷も案内するよ。そうそう、ディアナ嬢にはとっておきのショコラを用意するからね?」
今度は余所行きの笑みで答える殿下。
私たちは別れの挨拶を交わすと、すぐに部屋を出た。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

処理中です...