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帝都のひと夏

兄妹パジャマパーティが始まります

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「そろそろいいかな?」
屋敷内が静かになるのを待って、そっとベッドから身を起こす。
扉をほんの少し開けて、そーっと廊下の様子を伺って。
「うん、大丈夫。」
魔力を伸ばせば室内で確認出来るんだけど、フィン兄さまに、父さまにばれるから絶対ダメ、と言われたから仕方ない。
念のため室内履きは手に持って、裸足でひんやりした大理石の廊下を一つ先の部屋まで歩いた。
ふふ、前にもこうやって夜中に兄さまたちのところに行ったことが有ったな。魔力が暴走しちゃったあの時は不安で走ったけど、今はちょっとワクワクしている。
そう、私は今、午後のお茶会でフィン兄さまと約束したお部屋訪問をするところなのだ。
あれからすぐ、伯父さまと合流したけれど、カレンブルク侯には会ったと話したら、後はもう二、三の挨拶でお披露目は終わりだった。
ホッとした私に、伯父さまたちも兄さまたちも、やっと戻って来た父さま母さまも、、、つまり全員なんだけど、早めに帰ろうと言い出して。
本当はその後少し、女の子のお友達を探しに行こうかな、とか、お庭探検しようかな、なんて思っていたのに。
危ない、疲れてる、見られたら減る、見せるのがもったいないと、訳の分からない理由を並べられて、圧倒されているうちにさっさと帰りの馬車に押し込まれてしまったの。
まあ、でも、確かに頭は使いすぎて頭痛が痛いの状態だったし、普段履きなれない踵のある靴は痛くなってきていたんだけど。
すこーし自由になっても良かったんじゃないかな、、、。
ちょっとむくれて馬車に揺られていた私に、フィン兄さまが、それじゃあ僕の部屋で話し終わったら、パジャマパーティをしよう、とこっそり心話で提案してくれて。
大きい兄さまたちにはなかなか会えないから、もうそれだけで私は気分が直ってしまったの。
そして、今、目の前にはフィン兄さまのお部屋の扉。
そーっとドアノブを回そうとしたら。
「待ってたよ。ディー。」
音もなく扉が開いて。
満面の笑みのフィン兄さまが迎えてくれた。
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