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帝都のひと夏
兄妹パジャマパーティーⅡ全員集合です
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引っ張り込まれるように部屋に入ると、さっと扉が閉まる。
「ディー体調はどう?眠くない?」
「遅いぞ、ディー。」
そこには、ソファーで寛ぐオスカー兄上と、その肘掛けに座ってこっちを向いてるルー兄さまがいた。
「ルー兄さまも居るんだ!」
私が驚くと、兄さまはちょっと拗ねたように口を尖らせる。
「なんだよ。俺は仲間外れにするつもりだったのか?」
ディーのくせに生意気だぞ。
怒り出す兄さまの頭をを、オスカー兄上が撫でて宥めている。
以前はバーベンベルクの居間でいつも見ていた様子に、懐かしさを感じながら近寄ると、フィン兄さまが、「兄妹パジャマパーティーって初めてじゃないか?」と上機嫌でワゴンを押して来た。
いつの間に用意したのか、そこにはお酒らしき飲み物、お茶セットの他、軽食に焼き菓子、果物が並んでる。
「わーっ、フィン兄さま、凄い!」
歓声を上げると、さあさあ座って、と言いながら、魔術でお茶を淹れだした。
「フィン兄さま、私には魔力を使っちゃ駄目って言ったのに!」
ちょっとむくれて見せると、向かいのオスカー兄上がああ、それはね、と教えてくれた。
「フィンは昔から父上に反抗的でね。いつからかは忘れたけど城の自室には常に結界を張ってるから、今更少々使おうと父上は気にしないんだと思うよ?」
「そうなの?フィン兄さま?」
「うん。多分ね。使い始めた頃は、まあ、反抗期でねぇ。父上と激しい喧嘩をしていたら、母上が仲裁してくれて、自己責任ってことで結界使用が許されたんだ。」
ただ、父上はあんなだから、僕の結界の中だって見ようと思えば見れるけど。見ないと言う約束は守ってくれてると思うよ……多分ね。
最初と最後に多分ね、と付け加えられるところが、何というか父さまらしい。
でも、そういうことなら仕方ないよね。
「この部屋は結界の中なの?」
聞くと、もちろん、だから騒いでも大丈夫!と請け負われた。
「やった!」
喜んでローテーブルにお皿を並べる。
「夜中にお菓子!ドキドキするね!」
そう言ってクッキーを摘まもうとしたら。
「何のために集まったと思っているんだ。今日会った人たちの情報交換だろう?」
ルー兄さまに、ペシッと手をたたかれてしまった。
「ひどいっ」
「お前が悪い。」
争い始めた私たちを見て、オスカー兄上が苦笑する。
「君達まだそんなことしてるのか?」
「懐かしいなあ。早く僕もバーベンベルクに戻りたいな。」
お茶を配り終えたフィン兄さまも話しに入って来た。
「ルーが学園に入るんだから、お前が面倒を見なくては。」
「そうだった。ルー君、何かあったら兄さまに言うんだよ?でもルーは僕よりしっかりしてそうだからな……特に社交は。」
「そうだな……フィンが助けてもらう事になるかもな?」
「えー……確かに。」
大きい兄さま二人がお茶を飲みながらのんびり会話をしているのを横目に、こっそりクッキーを摘まんでいると。
「では、しっかり者のルー君に叱られる前に、昼間ディーに聞かれたことを説明してしまおうか。」
オスカー兄上が話し始めた。
「ディー体調はどう?眠くない?」
「遅いぞ、ディー。」
そこには、ソファーで寛ぐオスカー兄上と、その肘掛けに座ってこっちを向いてるルー兄さまがいた。
「ルー兄さまも居るんだ!」
私が驚くと、兄さまはちょっと拗ねたように口を尖らせる。
「なんだよ。俺は仲間外れにするつもりだったのか?」
ディーのくせに生意気だぞ。
怒り出す兄さまの頭をを、オスカー兄上が撫でて宥めている。
以前はバーベンベルクの居間でいつも見ていた様子に、懐かしさを感じながら近寄ると、フィン兄さまが、「兄妹パジャマパーティーって初めてじゃないか?」と上機嫌でワゴンを押して来た。
いつの間に用意したのか、そこにはお酒らしき飲み物、お茶セットの他、軽食に焼き菓子、果物が並んでる。
「わーっ、フィン兄さま、凄い!」
歓声を上げると、さあさあ座って、と言いながら、魔術でお茶を淹れだした。
「フィン兄さま、私には魔力を使っちゃ駄目って言ったのに!」
ちょっとむくれて見せると、向かいのオスカー兄上がああ、それはね、と教えてくれた。
「フィンは昔から父上に反抗的でね。いつからかは忘れたけど城の自室には常に結界を張ってるから、今更少々使おうと父上は気にしないんだと思うよ?」
「そうなの?フィン兄さま?」
「うん。多分ね。使い始めた頃は、まあ、反抗期でねぇ。父上と激しい喧嘩をしていたら、母上が仲裁してくれて、自己責任ってことで結界使用が許されたんだ。」
ただ、父上はあんなだから、僕の結界の中だって見ようと思えば見れるけど。見ないと言う約束は守ってくれてると思うよ……多分ね。
最初と最後に多分ね、と付け加えられるところが、何というか父さまらしい。
でも、そういうことなら仕方ないよね。
「この部屋は結界の中なの?」
聞くと、もちろん、だから騒いでも大丈夫!と請け負われた。
「やった!」
喜んでローテーブルにお皿を並べる。
「夜中にお菓子!ドキドキするね!」
そう言ってクッキーを摘まもうとしたら。
「何のために集まったと思っているんだ。今日会った人たちの情報交換だろう?」
ルー兄さまに、ペシッと手をたたかれてしまった。
「ひどいっ」
「お前が悪い。」
争い始めた私たちを見て、オスカー兄上が苦笑する。
「君達まだそんなことしてるのか?」
「懐かしいなあ。早く僕もバーベンベルクに戻りたいな。」
お茶を配り終えたフィン兄さまも話しに入って来た。
「ルーが学園に入るんだから、お前が面倒を見なくては。」
「そうだった。ルー君、何かあったら兄さまに言うんだよ?でもルーは僕よりしっかりしてそうだからな……特に社交は。」
「そうだな……フィンが助けてもらう事になるかもな?」
「えー……確かに。」
大きい兄さま二人がお茶を飲みながらのんびり会話をしているのを横目に、こっそりクッキーを摘まんでいると。
「では、しっかり者のルー君に叱られる前に、昼間ディーに聞かれたことを説明してしまおうか。」
オスカー兄上が話し始めた。
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