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帝都のひと夏
行くしかなさそうです。
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「えっと・・・」
「ディー、これ貰うね?」
マックス殿下の乳兄弟?ユランの関係者なの?でもこの人が出て来たの、カレンブルク侯爵邸だったのに、、、。
戸惑う私の手から念写の紙を取りあげると、フィン兄さまはサッと空中にしまった。
「「あっ」」
私は驚いただけだけど、マックス殿下は初めてみる真剣な顔で、私に近付きながら宙に手を伸ばし、、、突然固まった。
文字通り、ピタッと、動きを止め、そのまま眉一つ動かさない。
「あ~あ。ダメだよ、ディーに近付いちゃ。身体動かなくなるって、言ったでしょう。ディー、半歩下がってくれる?」
「あ、うん。」
フィン兄さまに言われて慌てて飛び退くと、マックス殿下が動き出した。
「っぷはっ!お前、これ、息できなかったぞ!」
「そういう腕輪だって、言ってあるよね?」
食って掛かるマックス殿下をいなしながら、フィン兄さまが心話で話し掛けてきた。
『今のうちに部屋に戻って。』
チラッと周りを見ると、心話は他の家族にも伝わってたみたい。こっちを見ていたルー兄さまがテーブルの上の手紙をさっと懐にしまって立ち上がり、くいっと顎で扉を示した。
『分かった。ごめんなさい、兄さま。』
『大丈夫。ルー、よろしくね?』
「おい、さっきの紙、もう一度見せろよ!俺に関わることだぞ!」
「何の話かな~。ライくん、お茶の支度してくれるんじゃないの~?」
「フィン!この野郎!」
心話でやりとりしながら上手くマックス殿下を挑発してくれるフィン兄さまを後ろに、私はルー兄さまに連れられさっさと自室に退散した。
「は~、驚いた~!」
「お前が不用意だからだろう?」
ルー兄さまと二人、ソファに背を預けぐったりする。
でも、そのままクッションと仲良くし出した私と違い、ルー兄さまは姿勢を正すと腕を組んでじろりと私を見た。
「何やらかしたんだ?」
「やらかしてないもん。念写のやり方を教わって、記憶でも出来るか試しただけだもん。」
「へえ、あれ、記憶も写せるんだ。凄いな・・・て、いや・・・」
ふふん、目を逸らしてもダメですよ?興味があるんでしょう。
私はにんまりして、さっきの念写の話をした。
「・・・カレンブルク邸から出て来た奴らか。」
「うん、夜だから色は付けられなかったけど、はっきり写せたから。同じものを見ていたはずのフィン兄さまに見せたかったの。」
「同じものを見る、か・・・」
ルー兄さまは私たちほど魔力がないから、多分、視野を切り替えて見てはいないからね。
私は何気なく言っただけなのに、ルー兄さまはふいっと呟いた。
「ん?何?兄さま。」
「俺は、もう、お前と同じものは見てないんだな。」
「あ・・・」
うちは父さまもフィン兄さまも魔導師で。私も魔導師だと、小さい頃から言われていたからつい口から出てしまったけど。
生活のちょっとした魔術は一般的でも、魔導師になれる魔力量を持つ人は少数派だから、こういう差別的な発言は気を付けないといけなかったんだ!
「えっと、ごめんなさい、ルー兄さま!それで、念写は、紙が特殊で、ここでは・・・」
慌て出した私を見て、ルー兄さまは溜め息を吐く。
「気にするな。事実なんだから。ただ、カレンブルク邸に関わり、あの殿下の関係者だったんなら、後で俺にも見せて欲しい。」
言いながら、懐から何通か手紙を出して、目の前のローテーブルに置いた。
「母上からだ。今日来たお前宛の手紙のうち、これだけはすぐに読んで返事を書けってさ。」
「あ、ありがとう。あの山から、よく抜き出したね・・・」
気持ちを切り替え、手紙に手を伸ばす。
今回は特例と言われ、私たちは宛名に構わず手紙を開けて分類していた。
分類基準にだれ宛かは無かったんだけどな。
そう思いながら、中身を確認していく。
「カレンブルクの伯父さま・・・うっ、お茶会の招待状だ。兄さま・・・」
「母上と話した。一緒に行く。」
「ありがとう!」
一通目は話題の伯父さまの招待状だった。流れるような達筆で、美辞麗句を書き連ねてあるけど、、、要は、明日必ず来いと書いてある。怖い、怖すぎる。一緒に言ってくれるというルー兄さまが、文字通り天使に見えるわ。
「他のは誰だ?」
言われて、見るからに上質な厚みのある紙に、透かしとエンボス加工がこれでもか、と施されている手紙を摘み上げた。裏の印章を確認する。
「この紋章は・・・うへっ帝室から?」
「お前な、仮にも帝室の方にうへっは無いだろう?」
「だって・・・」
言いながら急いで中身を取り出す。
「あ、殿下だ、びっくりした・・・あれ?」
相変わらず?美辞麗句の一つもない手紙は、明日カレンブルク邸の茶会に行くように、と書かれていた。
「何だ?問題でも?」
心配そうなルー兄さまに、読んで、と手紙を渡す。
「・・・何で殿下が、カレンブルク邸の茶会を知っていて、行けっていうんだろうな?」
「・・・うん」
言葉を濁しつつ、昨日殿下と二人でしたお茶会を思い出した。
『君の帝都滞在中、なるべく早く、ゆっくり会える機会を設けるから。俺の招待を厭わずに受けて欲しい。』
真剣なまなざしと言葉。これがそうなのかな?
「どうせ行くんだし。行きますって、返事をするね。」
そう言いながら、私は次の手紙を取り上げた。
「ディー、これ貰うね?」
マックス殿下の乳兄弟?ユランの関係者なの?でもこの人が出て来たの、カレンブルク侯爵邸だったのに、、、。
戸惑う私の手から念写の紙を取りあげると、フィン兄さまはサッと空中にしまった。
「「あっ」」
私は驚いただけだけど、マックス殿下は初めてみる真剣な顔で、私に近付きながら宙に手を伸ばし、、、突然固まった。
文字通り、ピタッと、動きを止め、そのまま眉一つ動かさない。
「あ~あ。ダメだよ、ディーに近付いちゃ。身体動かなくなるって、言ったでしょう。ディー、半歩下がってくれる?」
「あ、うん。」
フィン兄さまに言われて慌てて飛び退くと、マックス殿下が動き出した。
「っぷはっ!お前、これ、息できなかったぞ!」
「そういう腕輪だって、言ってあるよね?」
食って掛かるマックス殿下をいなしながら、フィン兄さまが心話で話し掛けてきた。
『今のうちに部屋に戻って。』
チラッと周りを見ると、心話は他の家族にも伝わってたみたい。こっちを見ていたルー兄さまがテーブルの上の手紙をさっと懐にしまって立ち上がり、くいっと顎で扉を示した。
『分かった。ごめんなさい、兄さま。』
『大丈夫。ルー、よろしくね?』
「おい、さっきの紙、もう一度見せろよ!俺に関わることだぞ!」
「何の話かな~。ライくん、お茶の支度してくれるんじゃないの~?」
「フィン!この野郎!」
心話でやりとりしながら上手くマックス殿下を挑発してくれるフィン兄さまを後ろに、私はルー兄さまに連れられさっさと自室に退散した。
「は~、驚いた~!」
「お前が不用意だからだろう?」
ルー兄さまと二人、ソファに背を預けぐったりする。
でも、そのままクッションと仲良くし出した私と違い、ルー兄さまは姿勢を正すと腕を組んでじろりと私を見た。
「何やらかしたんだ?」
「やらかしてないもん。念写のやり方を教わって、記憶でも出来るか試しただけだもん。」
「へえ、あれ、記憶も写せるんだ。凄いな・・・て、いや・・・」
ふふん、目を逸らしてもダメですよ?興味があるんでしょう。
私はにんまりして、さっきの念写の話をした。
「・・・カレンブルク邸から出て来た奴らか。」
「うん、夜だから色は付けられなかったけど、はっきり写せたから。同じものを見ていたはずのフィン兄さまに見せたかったの。」
「同じものを見る、か・・・」
ルー兄さまは私たちほど魔力がないから、多分、視野を切り替えて見てはいないからね。
私は何気なく言っただけなのに、ルー兄さまはふいっと呟いた。
「ん?何?兄さま。」
「俺は、もう、お前と同じものは見てないんだな。」
「あ・・・」
うちは父さまもフィン兄さまも魔導師で。私も魔導師だと、小さい頃から言われていたからつい口から出てしまったけど。
生活のちょっとした魔術は一般的でも、魔導師になれる魔力量を持つ人は少数派だから、こういう差別的な発言は気を付けないといけなかったんだ!
「えっと、ごめんなさい、ルー兄さま!それで、念写は、紙が特殊で、ここでは・・・」
慌て出した私を見て、ルー兄さまは溜め息を吐く。
「気にするな。事実なんだから。ただ、カレンブルク邸に関わり、あの殿下の関係者だったんなら、後で俺にも見せて欲しい。」
言いながら、懐から何通か手紙を出して、目の前のローテーブルに置いた。
「母上からだ。今日来たお前宛の手紙のうち、これだけはすぐに読んで返事を書けってさ。」
「あ、ありがとう。あの山から、よく抜き出したね・・・」
気持ちを切り替え、手紙に手を伸ばす。
今回は特例と言われ、私たちは宛名に構わず手紙を開けて分類していた。
分類基準にだれ宛かは無かったんだけどな。
そう思いながら、中身を確認していく。
「カレンブルクの伯父さま・・・うっ、お茶会の招待状だ。兄さま・・・」
「母上と話した。一緒に行く。」
「ありがとう!」
一通目は話題の伯父さまの招待状だった。流れるような達筆で、美辞麗句を書き連ねてあるけど、、、要は、明日必ず来いと書いてある。怖い、怖すぎる。一緒に言ってくれるというルー兄さまが、文字通り天使に見えるわ。
「他のは誰だ?」
言われて、見るからに上質な厚みのある紙に、透かしとエンボス加工がこれでもか、と施されている手紙を摘み上げた。裏の印章を確認する。
「この紋章は・・・うへっ帝室から?」
「お前な、仮にも帝室の方にうへっは無いだろう?」
「だって・・・」
言いながら急いで中身を取り出す。
「あ、殿下だ、びっくりした・・・あれ?」
相変わらず?美辞麗句の一つもない手紙は、明日カレンブルク邸の茶会に行くように、と書かれていた。
「何だ?問題でも?」
心配そうなルー兄さまに、読んで、と手紙を渡す。
「・・・何で殿下が、カレンブルク邸の茶会を知っていて、行けっていうんだろうな?」
「・・・うん」
言葉を濁しつつ、昨日殿下と二人でしたお茶会を思い出した。
『君の帝都滞在中、なるべく早く、ゆっくり会える機会を設けるから。俺の招待を厭わずに受けて欲しい。』
真剣なまなざしと言葉。これがそうなのかな?
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そう言いながら、私は次の手紙を取り上げた。
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