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帝都のひと夏
美しい薔薇園には、、、Ⅰ
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「え?・・・」
薔薇に気を取られた一瞬に、何かとても重要なことを聞いた気がするのだけど。
聞き返す間も無く私は、馬車の影から急ぎ現れたルー兄さまによって、エティエンヌ殿下から引き離された。
「殿下、妹はデビュー前とはいえ未婚の令嬢。その距離はいけません。」
相手の本拠地だから丁寧な口調だけど、私を背に庇う態度で、これ以上は親族の男として容認できないとはっきり告げてくれる。
「全く。ロンヌの男ってのはにやけたツラして信用ならねえな。」
同時に、ブツブツ言いながらライのマックス殿下が後ろに控えてくれた。
「おやおや、信用されてないねえ。」
ルー兄さまの威嚇にまったく動じないエティエンヌ殿下は、それでも無理に近寄ろうとはせず、私の後ろを見やってにこやかに笑んだ。
「ほら、怖い顔しないで、兄上殿も従者殿も。薔薇園を楽しみにいらして頂いた皆さんが気を悪くしてしまうよ?」
言いながら何事も無かったかのように私たちの脇を通り過ぎて、、、一瞬立ち止って私の顔を覗き込んだ。
「さっきの話はまた後で。今はまだ私の薔薇園だから、私がお客様をご案内しないと。ね?」
にこりとして去っていく姿につられて振り返ると、思わぬ数の人々が馬車から降りて歓声を上げていた。なんと、お祖母さままでいらしている。でも、早速薔薇園の散策路に向かおうとしているところを見ると、私たちを気遣っていらしたわけでもないみたい。
「全く、あの祖母上にも困ったもんだ。」
ルー兄さまは忌々しそうに呟くと、私とマックス殿下に向かって厳しい顔をした。
「どう考えても来るべきではないところに来ているが、カレンブルクの伯父上が関わっている以上、出来れば騒ぎは起こしたくない。俺たちだけで何とかしよう。とりあえず、三人固まって行動すること。特にライ、お前はなんだか仕組まれて連れて来られて気がしてならない。絶対俺らから離れるなよ。薔薇園だかなんだか知らないが、その辺を見てさっさと帰ろう。」
いいな?
至極当然な兄さまの言葉に、私もマックス殿下ももちろん頷いたのに、それなのに、、、。
フッと空気が揺らいだ気がして後ろを振り向くと、マックス殿下がいない。
「ね、ルー兄さま、ライが居ませんわ。」
慌てて兄さまの袖を引くと、振り返って顔を顰めた。
「・・・不味いな。あいつどこ行ったんだ?」
「あー、もう貴方たち、私の聞こえないように内緒話をするなんて、なんてお行儀の悪い!」
視界が開けた庭園で、色とりどりの薔薇で作られた動物の形を愛ながら集団で和やかに歩いていた筈なのに。
いつの間にか散策路は枝分かれし、薔薇の生垣に視線を遮られ、、、気がつくと私とルー兄さまは歩みの遅い祖母上に引き摺られるように、他の人たちと、なぜかライのマックス殿下とまで離れてしまっていたの。
「お前、ライを探せないか?」
「ちょっと待って。今視るから」
お友達に置いていかれたと機嫌が悪くなったお祖母さまの不満を聞き流しながら、私が周囲に目を凝らした時。
「キャーッ!」
「誰かあの侍従を取り押さえて!早く!」
すぐ脇の生垣の向こうから、叫び声が聞こえてきた。
薔薇に気を取られた一瞬に、何かとても重要なことを聞いた気がするのだけど。
聞き返す間も無く私は、馬車の影から急ぎ現れたルー兄さまによって、エティエンヌ殿下から引き離された。
「殿下、妹はデビュー前とはいえ未婚の令嬢。その距離はいけません。」
相手の本拠地だから丁寧な口調だけど、私を背に庇う態度で、これ以上は親族の男として容認できないとはっきり告げてくれる。
「全く。ロンヌの男ってのはにやけたツラして信用ならねえな。」
同時に、ブツブツ言いながらライのマックス殿下が後ろに控えてくれた。
「おやおや、信用されてないねえ。」
ルー兄さまの威嚇にまったく動じないエティエンヌ殿下は、それでも無理に近寄ろうとはせず、私の後ろを見やってにこやかに笑んだ。
「ほら、怖い顔しないで、兄上殿も従者殿も。薔薇園を楽しみにいらして頂いた皆さんが気を悪くしてしまうよ?」
言いながら何事も無かったかのように私たちの脇を通り過ぎて、、、一瞬立ち止って私の顔を覗き込んだ。
「さっきの話はまた後で。今はまだ私の薔薇園だから、私がお客様をご案内しないと。ね?」
にこりとして去っていく姿につられて振り返ると、思わぬ数の人々が馬車から降りて歓声を上げていた。なんと、お祖母さままでいらしている。でも、早速薔薇園の散策路に向かおうとしているところを見ると、私たちを気遣っていらしたわけでもないみたい。
「全く、あの祖母上にも困ったもんだ。」
ルー兄さまは忌々しそうに呟くと、私とマックス殿下に向かって厳しい顔をした。
「どう考えても来るべきではないところに来ているが、カレンブルクの伯父上が関わっている以上、出来れば騒ぎは起こしたくない。俺たちだけで何とかしよう。とりあえず、三人固まって行動すること。特にライ、お前はなんだか仕組まれて連れて来られて気がしてならない。絶対俺らから離れるなよ。薔薇園だかなんだか知らないが、その辺を見てさっさと帰ろう。」
いいな?
至極当然な兄さまの言葉に、私もマックス殿下ももちろん頷いたのに、それなのに、、、。
フッと空気が揺らいだ気がして後ろを振り向くと、マックス殿下がいない。
「ね、ルー兄さま、ライが居ませんわ。」
慌てて兄さまの袖を引くと、振り返って顔を顰めた。
「・・・不味いな。あいつどこ行ったんだ?」
「あー、もう貴方たち、私の聞こえないように内緒話をするなんて、なんてお行儀の悪い!」
視界が開けた庭園で、色とりどりの薔薇で作られた動物の形を愛ながら集団で和やかに歩いていた筈なのに。
いつの間にか散策路は枝分かれし、薔薇の生垣に視線を遮られ、、、気がつくと私とルー兄さまは歩みの遅い祖母上に引き摺られるように、他の人たちと、なぜかライのマックス殿下とまで離れてしまっていたの。
「お前、ライを探せないか?」
「ちょっと待って。今視るから」
お友達に置いていかれたと機嫌が悪くなったお祖母さまの不満を聞き流しながら、私が周囲に目を凝らした時。
「キャーッ!」
「誰かあの侍従を取り押さえて!早く!」
すぐ脇の生垣の向こうから、叫び声が聞こえてきた。
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