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第二章 誘惑
第30話:現実世界の再会。レザーワークス社の結衣と、無骨な職人・三神
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【境界線の崩壊:現実の体温と、濡れた憧憬】
深い夜の帳が降りた、都内にある早川結衣のアパート。
薄暗い寝室に設置されたフルダイブ・ギア『インフィニット・レルム』からログアウトした結衣は、現実のベッドの上で、荒い呼吸を繰り返していた。
「……はぁ、はぁ……っ、健太郎さん……っ」
結衣はパジャマの胸元を強く握りしめ、自身の内に残る「熱」を噛み締めていた。
システムによる感覚の直接転送などない。
しかし、ログアウトの直前まで自身の身体を隅々まで舐めるように測り、開発していった「ケンタロウの指先」の感触が、あまりにも鮮明に脳裏に焼き付いて離れないのだ。
目を閉じれば、すぐにあの薄暗い工房の光景が浮かぶ。
無骨な指が、自身の脇腹のくびれをなぞり、太腿の付け根を強引に押し広げたあの感触。
リサとして絶頂した瞬間の、魂が弾けるような快楽の余韻が、結衣の空想(イマジネーション)を際限なく加速させる。
(……きっと、今頃……アイリスと……)
残された二人が何をしているかなど、想像するまでもない。
結衣は自身の股間に手を這わせ、下着の湿り気を確認した。
ゲーム内のリサとしてではなく、現実の「早川結衣」の肉体が、昨夜の採寸を思い出すだけで激しく疼き、蜜を溢れさせている。
三神健太郎の、あの職人特有の熱を帯びた眼差しに、現実の自分も暴かれたい――。
募りすぎた独占欲と、空想が生み出す淫靡な感覚に溺れながら、結衣は長い夜を過ごした。
【冬の工房と、無骨な背中】
冬の朝特有の、突き刺さるような冷気が東京の街を包んでいた。
早川結衣は、自身の勤める『レザーワークス社』のロゴが入ったバンのハンドルを握りながら、心臓の鼓動が耳元で鳴り響くのを感じていた。
(……やばい、落ち着かなきゃ。仕事なんだから。これは、単なる納品なんだから……っ)
目的地は、郊外の閑静な住宅街の外れにある一軒の古い木造建築。
そこが、業界でも指折りの腕を持つレザークラフト職人・三神健太郎の自宅兼工房だ。
これまでは先輩社員が担当していた取引先だが、今日、結衣は「初めて」ここへの納品を任された。
だが、彼女にとって三神健太郎は「凄腕の職人」ではない。
昨夜、ゲームの中で自分を徹底的に「採寸」し、職人の執念で身体を磨き上げたケンタロウ、その人なのだ。
「おはようございます……。レザーワークス社の早川です。……三神さん、いらっしゃいますか?」
重い木の扉を押し開けると、冷たい外気とは対照的な、むせ返るような「男の仕事場」の香りが結衣を襲った。
使い込まれた牛革の脂、タンニンの渋い匂い、染料の溶剤、そして……微かな木の香り。それは、ゲーム内のあの工房の匂いと、残酷なまでに一致していた。
「……ああ。そこへ置いてくれ」
作業台の奥、背を向けたまま、低い声が響く。
使い込まれた裁断機に向かい、一枚の分厚いヌメ革を迷いなく切り出すその広い背中。
48歳、バツイチ。無骨で、飾り気のない男の背中。
「あ、はい……。ご注文いただいた最高級の蜜蝋と、仕上げ用のブラシです。……初めて伺いました。よろしくお願いします」
結衣は、自身の声が震えないように必死で抑えながら、段ボールを納品台に置いた。
三神がゆっくりと立ち上がり、振り返る。
(――っ!!)
至近距離で合う、その瞳。
彫りの深い顔立ち、眉間の皺、そして……獲物を見抜くような鋭い職人の眼差し。
それは、昨夜リサの裸体を隅々まで鑑定した「ケンタロウ」の目そのものだった。
結衣の脳裏に、昨夜彼に指で弄られ、喘ぎ声を上げさせられた記憶が、鮮烈なフラッシュバックとなって駆け抜ける。
「……早川さん、と言ったか。……どうした、顔が赤いぞ。風邪か?」
三神が、納品書を確認しながらぶっきらぼうに尋ねる。
その無骨な気遣いが、逆に結衣の情動を突き動かした。
彼女の下腹部は、現実のタイトなスカートの下で、昨夜の「リサ」としての熱を思い出すように、じわりと蜜を滲ませていく。
「い、いえ! 大丈夫です! 初めて伺ったので……その、緊張しちゃって……」
「そうか。きみも職人志望らしいな。……この蜜蝋、質がいい。センスはあるようだ」
三神は、結衣から受け取った蜜蝋の香りを嗅ぎ、満足げに一つ頷いた。
その「手」――。
太い指先、節くれだった関節。
昨夜、自分を弄り、そしてアイリスを磨き上げた、あの魔法のような感触を司る実体の「手」が、今、目の前にある。
「……三神さん。あの……いつか、私も三神さんのように……最高のモノを、作れるようになれますか?」
震える声で紡がれた結衣の言葉に、三神は少しだけ意外そうに目元を和らげた。
「……ああ。きみがその熱意を忘れないなら、いつか道は開けるはずだ。……頑張れよ、早川さん。」
三神が、激励の意味を込めて結衣の肩にそっと手を置いた。
その瞬間、結衣の身体は「びくんっ」と目に見えて跳ねた。肩から伝わる三神の掌の熱、革の匂い。
現実の彼に触れられたという事実が、結衣の理性を限界まで削り取る。
(ダメ、これ以上ここにいたら……あたし、三神さんにしがみついちゃう……っ!)
「は、はい! ありがとうございます! 失礼します!」
結衣は、足早に工房を飛び出した。
冬の冷たい風を全身に浴びて、火照った顔を冷やそうとするが、一度目覚めてしまった身体の疼きは、簡単には収まりそうにない。
「……今夜。今夜、また……ケンタロウさんに会いにいこう……っ」
結衣は、濡れた下着の違和感を抱えたまま、自身のバンのハンドルを握りしめた。
【設定データ・状況確認】
• 早川結衣: 現実の三神健太郎に接触し、情動が爆発寸前。彼が「自分の才能(リサ)に気づいていない」状況に、期待と焦燥が混じっている。
• 三神健太郎: 早川結衣の正体には気づいていない。熱心な新人社員として彼女を評価しつつ、その過剰な反応を不思議に思っている。
• アイリス: ゲーム内でケンタロウとの仲を深め、自身の「武器」としての、そして「女」としての地位を盤石にしようとしている。
深い夜の帳が降りた、都内にある早川結衣のアパート。
薄暗い寝室に設置されたフルダイブ・ギア『インフィニット・レルム』からログアウトした結衣は、現実のベッドの上で、荒い呼吸を繰り返していた。
「……はぁ、はぁ……っ、健太郎さん……っ」
結衣はパジャマの胸元を強く握りしめ、自身の内に残る「熱」を噛み締めていた。
システムによる感覚の直接転送などない。
しかし、ログアウトの直前まで自身の身体を隅々まで舐めるように測り、開発していった「ケンタロウの指先」の感触が、あまりにも鮮明に脳裏に焼き付いて離れないのだ。
目を閉じれば、すぐにあの薄暗い工房の光景が浮かぶ。
無骨な指が、自身の脇腹のくびれをなぞり、太腿の付け根を強引に押し広げたあの感触。
リサとして絶頂した瞬間の、魂が弾けるような快楽の余韻が、結衣の空想(イマジネーション)を際限なく加速させる。
(……きっと、今頃……アイリスと……)
残された二人が何をしているかなど、想像するまでもない。
結衣は自身の股間に手を這わせ、下着の湿り気を確認した。
ゲーム内のリサとしてではなく、現実の「早川結衣」の肉体が、昨夜の採寸を思い出すだけで激しく疼き、蜜を溢れさせている。
三神健太郎の、あの職人特有の熱を帯びた眼差しに、現実の自分も暴かれたい――。
募りすぎた独占欲と、空想が生み出す淫靡な感覚に溺れながら、結衣は長い夜を過ごした。
【冬の工房と、無骨な背中】
冬の朝特有の、突き刺さるような冷気が東京の街を包んでいた。
早川結衣は、自身の勤める『レザーワークス社』のロゴが入ったバンのハンドルを握りながら、心臓の鼓動が耳元で鳴り響くのを感じていた。
(……やばい、落ち着かなきゃ。仕事なんだから。これは、単なる納品なんだから……っ)
目的地は、郊外の閑静な住宅街の外れにある一軒の古い木造建築。
そこが、業界でも指折りの腕を持つレザークラフト職人・三神健太郎の自宅兼工房だ。
これまでは先輩社員が担当していた取引先だが、今日、結衣は「初めて」ここへの納品を任された。
だが、彼女にとって三神健太郎は「凄腕の職人」ではない。
昨夜、ゲームの中で自分を徹底的に「採寸」し、職人の執念で身体を磨き上げたケンタロウ、その人なのだ。
「おはようございます……。レザーワークス社の早川です。……三神さん、いらっしゃいますか?」
重い木の扉を押し開けると、冷たい外気とは対照的な、むせ返るような「男の仕事場」の香りが結衣を襲った。
使い込まれた牛革の脂、タンニンの渋い匂い、染料の溶剤、そして……微かな木の香り。それは、ゲーム内のあの工房の匂いと、残酷なまでに一致していた。
「……ああ。そこへ置いてくれ」
作業台の奥、背を向けたまま、低い声が響く。
使い込まれた裁断機に向かい、一枚の分厚いヌメ革を迷いなく切り出すその広い背中。
48歳、バツイチ。無骨で、飾り気のない男の背中。
「あ、はい……。ご注文いただいた最高級の蜜蝋と、仕上げ用のブラシです。……初めて伺いました。よろしくお願いします」
結衣は、自身の声が震えないように必死で抑えながら、段ボールを納品台に置いた。
三神がゆっくりと立ち上がり、振り返る。
(――っ!!)
至近距離で合う、その瞳。
彫りの深い顔立ち、眉間の皺、そして……獲物を見抜くような鋭い職人の眼差し。
それは、昨夜リサの裸体を隅々まで鑑定した「ケンタロウ」の目そのものだった。
結衣の脳裏に、昨夜彼に指で弄られ、喘ぎ声を上げさせられた記憶が、鮮烈なフラッシュバックとなって駆け抜ける。
「……早川さん、と言ったか。……どうした、顔が赤いぞ。風邪か?」
三神が、納品書を確認しながらぶっきらぼうに尋ねる。
その無骨な気遣いが、逆に結衣の情動を突き動かした。
彼女の下腹部は、現実のタイトなスカートの下で、昨夜の「リサ」としての熱を思い出すように、じわりと蜜を滲ませていく。
「い、いえ! 大丈夫です! 初めて伺ったので……その、緊張しちゃって……」
「そうか。きみも職人志望らしいな。……この蜜蝋、質がいい。センスはあるようだ」
三神は、結衣から受け取った蜜蝋の香りを嗅ぎ、満足げに一つ頷いた。
その「手」――。
太い指先、節くれだった関節。
昨夜、自分を弄り、そしてアイリスを磨き上げた、あの魔法のような感触を司る実体の「手」が、今、目の前にある。
「……三神さん。あの……いつか、私も三神さんのように……最高のモノを、作れるようになれますか?」
震える声で紡がれた結衣の言葉に、三神は少しだけ意外そうに目元を和らげた。
「……ああ。きみがその熱意を忘れないなら、いつか道は開けるはずだ。……頑張れよ、早川さん。」
三神が、激励の意味を込めて結衣の肩にそっと手を置いた。
その瞬間、結衣の身体は「びくんっ」と目に見えて跳ねた。肩から伝わる三神の掌の熱、革の匂い。
現実の彼に触れられたという事実が、結衣の理性を限界まで削り取る。
(ダメ、これ以上ここにいたら……あたし、三神さんにしがみついちゃう……っ!)
「は、はい! ありがとうございます! 失礼します!」
結衣は、足早に工房を飛び出した。
冬の冷たい風を全身に浴びて、火照った顔を冷やそうとするが、一度目覚めてしまった身体の疼きは、簡単には収まりそうにない。
「……今夜。今夜、また……ケンタロウさんに会いにいこう……っ」
結衣は、濡れた下着の違和感を抱えたまま、自身のバンのハンドルを握りしめた。
【設定データ・状況確認】
• 早川結衣: 現実の三神健太郎に接触し、情動が爆発寸前。彼が「自分の才能(リサ)に気づいていない」状況に、期待と焦燥が混じっている。
• 三神健太郎: 早川結衣の正体には気づいていない。熱心な新人社員として彼女を評価しつつ、その過剰な反応を不思議に思っている。
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