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第九章 ライバル達
第191話: 【桜花再誕、そして新たなる一振り】
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鍛冶場の熱気は限界を超え、空間そのものが歪み始めていた。
村正が振り下ろす大槌は、もはや単なる道具ではない。
己の命、職人としての矜持、そして消えた家族への情愛を鋼に叩き込む「祈り」そのものであった。
「――おおぉぉっ! 咲け、桜花! 儂の魂を喰らって、今一度この世に顕現せよッ!!」
渾身の一撃が玉鋼の芯を捉えた瞬間、工房内に爆辞的な桜色の光が吹き荒れた。
鋼から溢れ出した霊子が、渦を巻いて人型を成していく。
黒髪をなびかせ、あのB93(Gカップ)の爆裂ボディを予感させる妖艶な幻影が、陽炎のようにゆらゆらと立ち上がった。
「……村正殿……あぁ、熱い……。主の熱が、某の中に……っ」
幻影は一時的に質量を持ち、汗だくの村正に縋り付いた。
まだ完全な肉体ではない。
だが、彼女は主の「精」を、再誕のための最後の触媒として求めた。村正は、己の全存在をぶつけるように、その幻影を強く抱き抱え、魂の奔流を注ぎ込む。
「ぬうぅぅっ! 受け取れ、桜花ぁっ!!」
激しい閃光が工房を包み込み、視界を白く染め上げた。
やがて光が収まり、もうもうと立ち込める蒸気の向こうから、一人の人影が姿を現した。
……しかし、そこにいたのは、村正の記憶にある「爆裂ボディの妖艶な美女」ではなかった。
「……? 村正殿、なぜそんなに高いところにおられるのです?」
透き通るような黒髪、薄桃色の和装。その面影は確かに桜花のものだ。
だが、その身長は村正の腰にも届かない。ミニスカートから覗くムチムチとした太腿は健在だが、全体的に「ちみっちゃい」小学生ほどの少女の姿になっていたのである。
村正は呆然と目を見開き、数秒の静寂の後、腹の底から声を上げて笑い出した。
「――ガハハハハハッ! 桜花よ、なんちゅう姿じゃ! 随分とちみっちゃくなったのう!!」
「なっ!? 笑いすぎですぞ、村正殿! 某はこれでも真剣に……っ、うぅ、力が出ませぬ……っ」
少女の姿になった桜花が、短い腕を振り回して抗議する。
どうやらアプデによる世界のリセットと、再誕の際の負荷により、彼女は第一形態に近い姿へと退行してしまったようだった。
村正は豪快に笑いながら、ちんまりとした彼女の頭にゴツゴツとした大きな手を置いた。
「よかろう。姿は変われど、その魂の輝きは紛れもなく桜花じゃ。……ガハハ、共にまた一から育つとしよう。小僧(健太郎)のところの妖精姫に負けぬよう、儂がまた貴様を最高の刀に育て上げてやるわい」
「……むぅ。村正殿がそう仰るなら、仕方がありません。某も、主と共に歩む道ならば、この姿も悪くはない……かも、しれませぬな」
桜花は頬を赤らめ、村正の大きな手に頭を預けた。
だが、村正の目はすでに次なる「業」を見据えていた。
「桜花よ。今の貴様は未熟な蕾。ならば、その蕾を護り、いつか大輪の華を咲かせるための『杖』が必要じゃ。……桜花、貴様にもう一振り、妹分を打ってやろう」
村正は炉に残った最高純度の鋼を再び火に入れた。
その瞳には、人間国宝としての執念と、親が子を想うような深い慈愛が宿っている。
「名は……そうさな。『雪月花(せつげつか)』。桜花、貴様と共にある時、世界を白銀の静寂で満たす、至高の一振りじゃ」
再び、火山に槌音が響き渡る。
ちいさな桜花が見守る中、村正の新たな伝説が、その火花と共に産声を上げた。
【蕾の研鑽、火山に咲く小さな華】
「……村正殿、見ておられよ! 某(それがし)のこの一太刀、しかと目に焼き付けるのじゃ!」
辺境の火山地帯、噴煙が立ち込める断層の広場で、小さな影が跳ねた。
小学生ほどの幼い姿になった桜花は、自分の背丈ほどもある練習用の木刀を必死に構え、大粒の汗を流しながら素振りを繰り返していた。
その足元、ミニスカート風の和装から覗くムチムチとした太腿は、退行した姿であっても健太郎が「材質が良い」と唸るであろう絶妙な肉感を保っている。
「……ぬんっ! とおぉぉっ!」
空気を切り裂く音は鋭いが、やはり以前の「第五形態」の頃の絶大な威力には程遠い。数回振るっただけで、桜花は「はふぅ……」と熱い吐息を漏らし、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「……おかしい。某の計算では、今の突きで岩の一つも両断できているはずなのですが……」
村正は、製作中の『雪月花』の熱を冷ましながら、傍らでうなだれる小さな武器聖霊を眺めてガハハと笑った。
「ガハハ! 桜花よ、そう焦るな。今の貴様は、まだ産声(うぶごえ)を上げたばかりの赤子のようなもの。魂の器が小さくなった分、以前のような無茶はできんわい」
「むぅ……村正殿は笑いすぎにございます。某は、一刻も早く以前の姿に戻り、主をお守りせねばと……」
桜花は口を尖らせて村正の元へトコトコと歩み寄ると、彼の太い腕にギュッとしがみついた。
以前の爆裂ボディならば誘惑の構図になるところだが、今の彼女がやると、まるで孫が祖父に甘えているような、微笑ましい光景である。
だが、村正の手は優しく彼女の頭を撫でつつも、その眼光は鋭い。
「桜花よ。姿が小さくなったことを嘆く必要はない。器が小さくなったということは、それだけ『密度』を高められるということじゃ。……小僧(健太郎)が革を愛で、その繊維を極限まで詰めるようにな。貴様も、この小さな身体に以前以上の霊力を凝縮してみせよ」
「密度……にございますか?」
「左様。それができれば、次に羽化する時、貴様はかつてを遥かに凌駕する『至高の華』となる。……さあ、甘えるのはそこまでじゃ。次は儂が直接、その身体の『深層』に槌の響きを叩き込んでやるわい」
村正は桜花を正面に立たせると、鍛冶用の槌の柄で、彼女の丹田や四肢の要所を軽く叩いた。
それは、健太郎が行う『愛撫』に近い、素材の軸を整えるための職人の調整(メンテ)であった。
「あ……っ、ん、んんぅぅ……っ! 村正殿……その響き、某の奥底まで……熱く、響きます……っ」
小さな桜花の身体が、主の与える刺激に反応して淡い桃色に発光する。
未熟な蕾だからこそ、主の「加工」による感度の上昇は著しい。
彼女の瞳には、かつての誇り高き武器聖霊としての意志が再び宿り、その小さな肢体は、次なる進化への熱を蓄え始めていた。
「よし、良い眼じゃ。……桜花、仕上げにこれを喰らえ」
村正は、現在製作中の神刀『雪月花』の核となる霊石の欠片を、彼女の口へと放り込んだ。
「はぐ……っ、ん、んぐぅ……っ。……あぁ、主の、魂の味がいたします……っ。某……もっと、もっと強くなりまする!」
火山に響く槌音と、小さな少女の気合。
健太郎とアイリスが深淵で戦う中、こちらでもまた、新たなる「最強」が着実に、そして淫らな熱を孕みながら育まれていた。
村正が振り下ろす大槌は、もはや単なる道具ではない。
己の命、職人としての矜持、そして消えた家族への情愛を鋼に叩き込む「祈り」そのものであった。
「――おおぉぉっ! 咲け、桜花! 儂の魂を喰らって、今一度この世に顕現せよッ!!」
渾身の一撃が玉鋼の芯を捉えた瞬間、工房内に爆辞的な桜色の光が吹き荒れた。
鋼から溢れ出した霊子が、渦を巻いて人型を成していく。
黒髪をなびかせ、あのB93(Gカップ)の爆裂ボディを予感させる妖艶な幻影が、陽炎のようにゆらゆらと立ち上がった。
「……村正殿……あぁ、熱い……。主の熱が、某の中に……っ」
幻影は一時的に質量を持ち、汗だくの村正に縋り付いた。
まだ完全な肉体ではない。
だが、彼女は主の「精」を、再誕のための最後の触媒として求めた。村正は、己の全存在をぶつけるように、その幻影を強く抱き抱え、魂の奔流を注ぎ込む。
「ぬうぅぅっ! 受け取れ、桜花ぁっ!!」
激しい閃光が工房を包み込み、視界を白く染め上げた。
やがて光が収まり、もうもうと立ち込める蒸気の向こうから、一人の人影が姿を現した。
……しかし、そこにいたのは、村正の記憶にある「爆裂ボディの妖艶な美女」ではなかった。
「……? 村正殿、なぜそんなに高いところにおられるのです?」
透き通るような黒髪、薄桃色の和装。その面影は確かに桜花のものだ。
だが、その身長は村正の腰にも届かない。ミニスカートから覗くムチムチとした太腿は健在だが、全体的に「ちみっちゃい」小学生ほどの少女の姿になっていたのである。
村正は呆然と目を見開き、数秒の静寂の後、腹の底から声を上げて笑い出した。
「――ガハハハハハッ! 桜花よ、なんちゅう姿じゃ! 随分とちみっちゃくなったのう!!」
「なっ!? 笑いすぎですぞ、村正殿! 某はこれでも真剣に……っ、うぅ、力が出ませぬ……っ」
少女の姿になった桜花が、短い腕を振り回して抗議する。
どうやらアプデによる世界のリセットと、再誕の際の負荷により、彼女は第一形態に近い姿へと退行してしまったようだった。
村正は豪快に笑いながら、ちんまりとした彼女の頭にゴツゴツとした大きな手を置いた。
「よかろう。姿は変われど、その魂の輝きは紛れもなく桜花じゃ。……ガハハ、共にまた一から育つとしよう。小僧(健太郎)のところの妖精姫に負けぬよう、儂がまた貴様を最高の刀に育て上げてやるわい」
「……むぅ。村正殿がそう仰るなら、仕方がありません。某も、主と共に歩む道ならば、この姿も悪くはない……かも、しれませぬな」
桜花は頬を赤らめ、村正の大きな手に頭を預けた。
だが、村正の目はすでに次なる「業」を見据えていた。
「桜花よ。今の貴様は未熟な蕾。ならば、その蕾を護り、いつか大輪の華を咲かせるための『杖』が必要じゃ。……桜花、貴様にもう一振り、妹分を打ってやろう」
村正は炉に残った最高純度の鋼を再び火に入れた。
その瞳には、人間国宝としての執念と、親が子を想うような深い慈愛が宿っている。
「名は……そうさな。『雪月花(せつげつか)』。桜花、貴様と共にある時、世界を白銀の静寂で満たす、至高の一振りじゃ」
再び、火山に槌音が響き渡る。
ちいさな桜花が見守る中、村正の新たな伝説が、その火花と共に産声を上げた。
【蕾の研鑽、火山に咲く小さな華】
「……村正殿、見ておられよ! 某(それがし)のこの一太刀、しかと目に焼き付けるのじゃ!」
辺境の火山地帯、噴煙が立ち込める断層の広場で、小さな影が跳ねた。
小学生ほどの幼い姿になった桜花は、自分の背丈ほどもある練習用の木刀を必死に構え、大粒の汗を流しながら素振りを繰り返していた。
その足元、ミニスカート風の和装から覗くムチムチとした太腿は、退行した姿であっても健太郎が「材質が良い」と唸るであろう絶妙な肉感を保っている。
「……ぬんっ! とおぉぉっ!」
空気を切り裂く音は鋭いが、やはり以前の「第五形態」の頃の絶大な威力には程遠い。数回振るっただけで、桜花は「はふぅ……」と熱い吐息を漏らし、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「……おかしい。某の計算では、今の突きで岩の一つも両断できているはずなのですが……」
村正は、製作中の『雪月花』の熱を冷ましながら、傍らでうなだれる小さな武器聖霊を眺めてガハハと笑った。
「ガハハ! 桜花よ、そう焦るな。今の貴様は、まだ産声(うぶごえ)を上げたばかりの赤子のようなもの。魂の器が小さくなった分、以前のような無茶はできんわい」
「むぅ……村正殿は笑いすぎにございます。某は、一刻も早く以前の姿に戻り、主をお守りせねばと……」
桜花は口を尖らせて村正の元へトコトコと歩み寄ると、彼の太い腕にギュッとしがみついた。
以前の爆裂ボディならば誘惑の構図になるところだが、今の彼女がやると、まるで孫が祖父に甘えているような、微笑ましい光景である。
だが、村正の手は優しく彼女の頭を撫でつつも、その眼光は鋭い。
「桜花よ。姿が小さくなったことを嘆く必要はない。器が小さくなったということは、それだけ『密度』を高められるということじゃ。……小僧(健太郎)が革を愛で、その繊維を極限まで詰めるようにな。貴様も、この小さな身体に以前以上の霊力を凝縮してみせよ」
「密度……にございますか?」
「左様。それができれば、次に羽化する時、貴様はかつてを遥かに凌駕する『至高の華』となる。……さあ、甘えるのはそこまでじゃ。次は儂が直接、その身体の『深層』に槌の響きを叩き込んでやるわい」
村正は桜花を正面に立たせると、鍛冶用の槌の柄で、彼女の丹田や四肢の要所を軽く叩いた。
それは、健太郎が行う『愛撫』に近い、素材の軸を整えるための職人の調整(メンテ)であった。
「あ……っ、ん、んんぅぅ……っ! 村正殿……その響き、某の奥底まで……熱く、響きます……っ」
小さな桜花の身体が、主の与える刺激に反応して淡い桃色に発光する。
未熟な蕾だからこそ、主の「加工」による感度の上昇は著しい。
彼女の瞳には、かつての誇り高き武器聖霊としての意志が再び宿り、その小さな肢体は、次なる進化への熱を蓄え始めていた。
「よし、良い眼じゃ。……桜花、仕上げにこれを喰らえ」
村正は、現在製作中の神刀『雪月花』の核となる霊石の欠片を、彼女の口へと放り込んだ。
「はぐ……っ、ん、んぐぅ……っ。……あぁ、主の、魂の味がいたします……っ。某……もっと、もっと強くなりまする!」
火山に響く槌音と、小さな少女の気合。
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