[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第十章 未踏の地へ

第229話:【蒼き閃光、その手で刻む一歩】

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 テントの中に、白々と夜明けの光が差し込み始めた頃。
 恵梨香は健太郎の腕の中で、昨夜の激しい交わりの余韻に浸りながら、幸せそうにスースーと寝息を立てていた。
 しかし、その静寂を破るように、テントの入り口が「バサッ!」と勢いよく開け放たれた。

「……あ! やっぱり! 健太郎さん、恵梨香ちゃんだけずるいーーっ!」

 飛び込んできたのは、ぷんぷんと頬を膨らませた桃子だった。
彼女はまだパジャマ代わりの薄いシャツ姿のまま、健太郎の広い背中に向かってダイブするように飛びついてきた。

「ちょ、桃子……!?」

「もう! 昨日の夜、恵梨香ちゃんに『健太郎さんを独占させて』って言われて譲ってあげたけど、まさか朝までなんて! 私たち、隣のテントの中にいたのに、健太郎さんがいないから寂しくて寒かったんだよぉ~!」

 桃子は健太郎の首に腕を回し、Fカップの柔らかな双丘を彼の背中にこれでもかと押し付け、スリスリと甘えるように体を揺らす。

「そうよ、健太郎さん」

 続いて、結衣も苦笑いしながらテントに入ってきた。
彼女もまた、どこか寂しげな瞳で健太郎を見つめている。

「朝起きたらお隣がもぬけの殻だったから、桃子ちゃんと一緒に探しに来ちゃった。……あ、でも、恵梨香さんのあの顔。……健太郎さん、ちゃんと『克服』させてあげたんだね」

 結衣は、健太郎の腕の中で泥のように眠る恵梨香の、これまで見たことがないほど穏やかで満たされた寝顔を見て、少しだけ表情を和らげた。

「ふふ、主。あるじを求める乙女の執念を甘く見てはいけませんわ」

 最後に、アイリスが優雅に顕現する。
彼女は全裸のまま絡み合っている健太郎と恵梨香を見下ろし、慈愛に満ちた、しかし茶目っ気のある笑みを浮かべた。

「妾も、あるじの温もりがなくて昨夜は少々寝付けませんでした。……さて、恵梨香は十分に『満たされた』ようですし、次は残された者たちのケアが必要ではありませんか?」

「アイリスお姉ちゃんの言う通りだよ! 健太郎さん、桃子も冷えちゃったから、健太郎さんで温めてくれないと動かないもん!」

 桃子が背後から健太郎の耳元を甘噛みし、そのまま彼の逞しい腰に足を絡めてくる。

「……分かった、分かったから。桃子、そう暴れるな。結衣もアイリスも、こっちへ来い」

 健太郎は苦笑しながら、まだ夢の中の恵梨香を優しく抱き直したまま、朝の光の中で押し寄せてくる愛すべき女性たちを、その大きな腕で受け止めるのだった。

 無人島の朝は、力強い太陽の光と、潮風に乗ったジャングルの香りで始まった。
 昨日設営した革テントの中で、健太郎は微かに動く。
右腕には桃子が、左腕には恵梨香が、そして足元にはアイリスがまとわりつくように眠っていたが、健太郎が起き上がろうとすると、恵梨香がいち早く目を覚ました。

「……ん、健太郎さん……もう行くん?」

 金髪を少し乱した恵梨香が、眠たげな眼差しで健太郎を見上げる。
しかし、昨夜の「彫金師」への決意を思い出したのか、すぐにその瞳に力強い光が宿った。

「ああ、恵梨香。約束通り、蒼海石を採りに行くぞ。他の連中が起きる前に、少し下見をしておきたい」

「よっしゃ! すぐ準備するわ」

 恵梨香は短いスカートを整え、意気揚々とテントを飛び出した。

「健太郎さん、おはよう」

「結衣、おはよう。ちょっと下見に行って来るよ」

結衣な2人を見送り朝食の準備を始めていた。

【翡翠の入り江・岩壁の露頭】

 二人が向かったのは、入り江の端にある湿り気を帯びた岩壁だ。
 波飛沫を浴びて輝くその岩肌には、昨日見つけた『蒼海石』が、深い海の青を凝縮したような光を放って埋まっている。

「さて、恵梨香。彫金師の仕事は、素材を傷つけずに取り出すところから始まる。この蒼海石は硬度がかなり高いが、結晶の走っている方向に沿って力を入れれば、綺麗に割れるはずだ」

 健太郎は手渡した小さなタガネとハンマーを指差す。
恵梨香は「分かった!」と威勢よく岩に向き合ったが、いざ道具を構えると、どこを叩いていいのか迷いが生じているようだった。
 キン、キン、と高い音が響くが、石はびくともしない。

「……あれ? おかしいな、結構力入れてるんやけど……」

「力任せじゃダメだ。振動を石の『芯』に伝えるんだ。……ちょっと貸してみろ」

 健太郎は恵梨香の背後に回り、彼女を包み込むようにしてその手を取った。
 48歳の職人の分厚く、熱い胸板が恵梨香の背中に密着する。
17歳の彼女の華奢な体が、健太郎の大きな体躯にすっぽりと収まった。

「あ……健太郎さん……」

 恵梨香の顔が一気に赤くなる。
耳元で感じる健太郎の吐息と、首筋に触れる彼の腕の逞しさ。
いつもは強気なギャルも、この距離では心臓の鼓動が早まるのを抑えられない。

「いいか、腕の力じゃない。肩の力を抜いて、体重を乗せるように……ここだ。この脈を狙え」

 健太郎は恵梨香の手を握ったまま、迷いのない動きでハンマーを振り下ろした。

 ――パキンッ!

 乾いた音と共に、岩肌から美しい青色の結晶が、まるで花が咲くように剥がれ落ち、健太郎の手のひらに収まった。

「うわ……綺麗……」

「これが蒼海石だ。お前が彫金師として、最初に手にした素材だぞ、恵梨香」

 健太郎が微笑みながら石を差し出すと、恵梨香は潤んだ瞳でそれを受け取った。健太郎の体温が残るその石を、彼女は宝物のように両手で包み込む。

「……健太郎さん。うち、決めたわ。この石で、一番最初に作るもんは……健太郎さんに似合う、最高にかっこええ飾りにしたる。だから、ずっと見ててや?」

 背中に感じる健太郎の熱を噛み締めながら、恵梨香はそう誓った。
男なんて下らないと見下していたかつての彼女はもういない。
今はただ、この無骨で優しい職人の隣に、一人の「作り手」として並びたいと願う少女がそこにいた。

 拠点に戻ると、健太郎はインベントリから昨日テントを作った際に出た「王鱗(おうりん)の端切れ革」を取り出した。

「恵梨香、ちょっとこっちへ来い。彫金をするなら、まずは身なりから整えないとな」

「え? 何や、健太郎さん。もしかして、うちへのプレゼント?」

 恵梨香が期待に満ちた目で近づくと、健太郎は慣れた手つきで革を裁ち始めた。48歳の職人の指先が、魔法のような速度で針を動かしていく。

「彫金は火や細かい破片を扱う。その薄いスカートのままじゃ、せっかくの綺麗な脚が火傷だらけになるからな」

 数分の作業の後、健太郎は一着の「作業用エプロン」と、繊細な指先を守るための「指サック」を完成させた。

「……はい、これ。恵梨香専用だ」

 それは、恵梨香の褐色の肌に映える落ち着いた色合いの革エプロンだった。
胸元には、彼女が大切にしている「目尻のホクロ」と同じ位置に、健太郎が遊び心で刻んだ小さな花の紋章がある。

「うわぁ……! めっちゃかっこええやん! それにこれ、サイズもぴったり……」

「俺がお前のサイズを間違えるはずないだろ

 恵梨香は嬉しそうにエプロンを身に着け、指サックを一本ずつはめていく。
自分をプロとして認めてくれた証。健太郎が自分のために、自分のサイズを測るように作ってくれた事実が、彼女の胸を熱くさせた。

「見て見て、健太郎さん! 似合ってる? なんか、うち、ほんまに職人っぽくなってきたんとちゃう?」

「ああ、よく似合ってるよ。そのエプロンには、俺が使った革の中でも特に丈夫なものを使ってる。どんな火花が飛んできても、恵梨香の体は俺が守ってやるからな」

 健太郎がポンと彼女の肩を叩くと、恵梨香は頬を赤らめ、はにかんだような笑顔を見せた。

「……健太郎さん、ずるいわ。そんなこと言われたら、うち、もっと頑張らなあかんようになるやん」

 恵梨香は、大切に握りしめていた『蒼海石』を、即席で作られた彫金台の上に置いた。
 健太郎から贈られた「防具」を身に纏い、彼女は一人の彫金師として、その原石に最初の一撃を刻み込もうとしていた。
 その真剣な眼差しを、健太郎は満足げに、そして父親のような、あるいは一人の男としての慈しみを持って見守るのだった。
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