儚げな君の写真を撮りたい

冰彗

文字の大きさ
上 下
12 / 13

十一話 〜立夏side〜

しおりを挟む
立夏side

 昨夜、家に着いた僕と月島君は雪崩れ込むようにベッドに寝転がった。

「月島君、大丈夫? 吐きそうとかない?」

「だーいじょーぶ!」

 僕の問い掛けに陽気に答える月島君を見て少しホッとした。吐き気まであったら結構きついらしいから。

 そんなことを思いベッドから起き上がってお風呂に入ろうと思っていると突然月島君に腕を引っ張られ、ベッドに倒れ込むようになってしまった。

「月島君?」

「どこいくんだよ」

「お風呂。月島君は寝てていいよ」

「やだ」

 一体何が嫌なのか……。

 そんなことを思っていると僕は今更ながらあることに気付いた。

 僕、いま月島君に馬乗りにされてる⁉︎

 自分でも珍しく動揺していることが分かる。

「月島君、退いてっ」

「やだ」

 月島君ははっきりそう言うと僕に首筋に顔をうずめた。かと思えば首筋に軽いキスを落としてきた。

「っん」

「かわい」

 月島君はそう言うと何度も首筋にチュッとキスを落としてきた。

「ちょ、っと、待って」

 僕は慌ててそう言うと月島君は何も言わず無言で僕の顔をじっと見つめてきた。

「…?」

「立夏、って呼んでいいか?」

「えっ」

 どうしていいのか困惑していると月島君は「立夏」と優しい声色で呼んできた。その呼び方が、伊澄が僕を呼ぶ声にそっくりで思わず固まってしまった。

「ほんと、なんで僕に構うわけ? 一緒に居ても楽しくないでしょ」

 思わず、そう言ってしまった。すると月島君はクスッと笑みをこぼして「楽しいよ。それに、俺は立夏が好きだから」と言うとそのまま僕に倒れ込み眠ってしまった。

 酔っ払いって、厄介だ。

 突然の告白に僕は思わず顔を赤くしてしまった。
しおりを挟む

処理中です...