2 / 4
一話
しおりを挟む
意識が少し浮上してくると周りの音が少しだが感じ取れるようになる。
外で鳴くスズメの鳴き声。車の走行音。瞼の裏からでも分かる太陽の光。そして、空腹を感じさせるベーコンとチーズの焼ける良い匂い。
瞼をゆっくり開けると見慣れた寝室の天井が一番最初に視界に入る。もう何年も見ている朝の光景にホッと安堵の息を漏らす。
リビングに通じる扉の向こうからは人の足音とテレビの音が聞こえてくる。恐らく朝のニュースでも見ながら朝食の準備をしているのだろう。
上半身を起こしてベッド脇のサイドテーブルに置いている赤色の眼鏡を手に取り耳に掛けると先程よりも視界がクリアに見えた。まあこれ、伊達眼鏡なんだけどね。伊達眼鏡をするようになってから視力が悪くなったような気がする。遠くの文字が見えにくいんだよね。近視かな。
そろそろ本格的にちゃんとした眼鏡を用意する必要があるかな。そんな事を考えていると扉を三回ノックする音が聞こえてきた。
「日和、起きてるか?」
「うん、起きてるよ」
「なら早くこっちに来いよ。朝飯はもう出来てるんだからな。あ、そうだ。飲み物は何が良い? コーヒー以外が良いならフルーツスムージーでも作ろうか?」
「そうだね。苺と牛乳、少し蜂蜜を入れたフルーツスムージーをお願い」
「分かった。早く来いよ」
扉の向こうにいる幼馴染の夢咲一七三は聞きたい事だけを聞くと扉の前から居なくなってしまった。
幼馴染の一七三と同居するようになって早数年、家事全般全く出来ない僕の代わりに一七三が食事、洗濯、掃除諸々をやってくれている。本当、至れり尽くせりって感じだ。
一度だけ一七三の仕事が忙しい時に食事の用意をしようと思ってキッチンに入ったが指は包丁で切ってしまうわ、力加減が出来ずにまな板を真っ二つに割ってしまうわ、塩と砂糖を間違えて入れてしまうとなんとも言えない料理音痴を披露してしまった。
その惨状を見た一七三は僕に一言、「キッチンに入るの禁止」と言ったのだ。
あれに関しては僕もびっくりしているのだ。料理をした事がないとはいえあそこまで出来ないのは最早ある種の天才ではないだろうか。
閑話休題。
僕はパジャマ代わりにしているスウェットを脱ぎ外に行く時用の洋服に着替えた。腰まで伸びている桃色の髪が鬱陶しいと思う時もあるが切る気は更々ない。髪を櫛で梳かしハーフアップにする。身長があまり高くない僕の外見を鏡で見るとパッと見は女性にしか見えない。
「これはこれでどうなんだろうな……」
自嘲的に笑みを零しながら上記を述べる。
外で鳴くスズメの鳴き声。車の走行音。瞼の裏からでも分かる太陽の光。そして、空腹を感じさせるベーコンとチーズの焼ける良い匂い。
瞼をゆっくり開けると見慣れた寝室の天井が一番最初に視界に入る。もう何年も見ている朝の光景にホッと安堵の息を漏らす。
リビングに通じる扉の向こうからは人の足音とテレビの音が聞こえてくる。恐らく朝のニュースでも見ながら朝食の準備をしているのだろう。
上半身を起こしてベッド脇のサイドテーブルに置いている赤色の眼鏡を手に取り耳に掛けると先程よりも視界がクリアに見えた。まあこれ、伊達眼鏡なんだけどね。伊達眼鏡をするようになってから視力が悪くなったような気がする。遠くの文字が見えにくいんだよね。近視かな。
そろそろ本格的にちゃんとした眼鏡を用意する必要があるかな。そんな事を考えていると扉を三回ノックする音が聞こえてきた。
「日和、起きてるか?」
「うん、起きてるよ」
「なら早くこっちに来いよ。朝飯はもう出来てるんだからな。あ、そうだ。飲み物は何が良い? コーヒー以外が良いならフルーツスムージーでも作ろうか?」
「そうだね。苺と牛乳、少し蜂蜜を入れたフルーツスムージーをお願い」
「分かった。早く来いよ」
扉の向こうにいる幼馴染の夢咲一七三は聞きたい事だけを聞くと扉の前から居なくなってしまった。
幼馴染の一七三と同居するようになって早数年、家事全般全く出来ない僕の代わりに一七三が食事、洗濯、掃除諸々をやってくれている。本当、至れり尽くせりって感じだ。
一度だけ一七三の仕事が忙しい時に食事の用意をしようと思ってキッチンに入ったが指は包丁で切ってしまうわ、力加減が出来ずにまな板を真っ二つに割ってしまうわ、塩と砂糖を間違えて入れてしまうとなんとも言えない料理音痴を披露してしまった。
その惨状を見た一七三は僕に一言、「キッチンに入るの禁止」と言ったのだ。
あれに関しては僕もびっくりしているのだ。料理をした事がないとはいえあそこまで出来ないのは最早ある種の天才ではないだろうか。
閑話休題。
僕はパジャマ代わりにしているスウェットを脱ぎ外に行く時用の洋服に着替えた。腰まで伸びている桃色の髪が鬱陶しいと思う時もあるが切る気は更々ない。髪を櫛で梳かしハーフアップにする。身長があまり高くない僕の外見を鏡で見るとパッと見は女性にしか見えない。
「これはこれでどうなんだろうな……」
自嘲的に笑みを零しながら上記を述べる。
0
あなたにおすすめの小説
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
隣の番は、俺だけを見ている
雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。
ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。
執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。
【キャラクター設定】
■主人公(受け)
名前:湊(みなと)
属性:Ω(オメガ)
年齢:17歳
性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。
特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。
■相手(攻め)
名前:律(りつ)
属性:α(アルファ)
年齢:18歳
性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。
特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる