僕に構わないで

冰彗

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二話

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 寝室から出てリビングに入るとベーコンとチーズの焼けるとても良い匂いがした。

「一七三、おはよう」

「おはよ、日和」

「朝ご飯なーに?」

「今日は日和の好きなベーコンとチーズのホットサンド。ほれ、飲み物」

 一七三はそう言うとフルーツスムージーの入ったコップを僕に渡してきた。僕はそれを受け取り「やった」と小さな声で歓喜した。

 お互い椅子に座り「いただきます」と言ってから皿に盛られているホットサンドにかぶりついた。

「美味し~♪」

「日和は本当にホットサンド好きだよな」

「一七三の作った物だからだよ。料理上手だし」

「練習すれば誰でも出来るが日和は止めといた方がいいな、怪我されたら面倒だし」

「面倒って酷いな」

 会話をしながら朝食を食べていると流しっぱなしだったテレビがニュースを伝える。

 俳優として活動して有名なアルファがオメガと番になり結婚する事になった。喜ばしい事だと言いたげにアナウンサーたちは微笑みを浮かべてコメントしている。

 またオメガと診断された中学一年生の男の子が自殺をした。アナウンサーたちは『またか』と言いたげな表情を浮かべどうでも良さそうに淡々と告げた。

「……苦しさを知らないから、他人事なんだよね」

 食べる手を止めて僕は無意識にそう呟く。

 オメガが自殺するのは珍しい事じゃない。オメガだと診断されて苦しめられるであろう将来を嫌い自殺するオメガ。オメガだというだけで強姦されてしまい、挙句の果てには興味本位でオメガのうなじを噛み番関係になり放置する。この場合、番関係を結んだアルファ以外には拒絶反応を起こすらしい。本当に好きな人とセックスをしたいのに身体は拒んで吐き気まで催す。その事に絶望し、自殺するオメガも珍しくない。

 暗い過去の事を思い出しかけていると一七三がテレビを消した。そして、一七三は僕の前髪を梳かすように頭を優しく撫でてくれた。

「大丈夫、俺は知ってる」

 一七三はそれだけを言うと僕を安心させる為に小さく笑みを浮かべた。

「ありがとう、一七三」

 僕は感謝の言葉を言い残りのホットサンドを食べ始めた。
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