妖狐の嫁になれと言われました。

冰彗

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二話

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 ざわざわと騒がしい声が聞こえてくる。喧しいな、なんて思っているとあることを思った。

 俺、一人暮らし用のアパートに住んでいるはずなのになんで周囲が騒がしいんだ?

 瞼を開けて勢いよく上半身を起こして周囲を見渡すと知らない人たちに囲まれていた。

「おぉ、舞桜さま。お目覚めになられましたか?」

「まお? まおって誰のことですか? というか、あんたたちは……?」

 寝台に寝かされていた俺に最初に話し掛けたのはおじいちゃんと呼んだ方が合うんじゃないかと思うくらいの高齢の男性だった。その人の頭には動物の耳が生えていて、腰辺りには動物の尻尾が生えていた。

「わたくしの名前はおきな、妖狐の一族の者でございます」

「はぁ……」

「あなたさまは舞桜さまですよ、漆黒の髪に黄金色の瞳。間違いなく舞桜さまです」

「えぇ……」

 舞桜って、どこかで聞いたことあるな、とそんなことを考えていると部屋に金色に近しい茶色の長い髪をした男性が入ってきた。

「翁、起きたか?」

「はい、紅葉さま」

 翁はその男性に向かって頭を下げてそう言う。

 またしても聞いたことのある名前。その男性の容姿を見てまた驚いた。その人にも動物の耳と尻尾が生えていたからだ。

 夢なんじゃないかと思い、俺は己の頬を両手でパンと叩いてみる。

「……痛い」

 痛みがあるってことは、夢じゃない?

 そんなことを思っていると紅葉と呼ばれた男性は俺に顔を近付けてきた。

「っ……」

「…………」

 どう反応したらいいのだろうか。

 そんなことを思っていると紅葉は突然俺のことを抱き締めてきた。

「!?」

「舞桜、会いたかったっ……!」

 また、舞桜。

 俺は紅葉を突き飛ばした。

「俺は、舞桜さんじゃありません!」

 大きな声でそう言うと翁は慌てた様子でおろおろとしており、紅葉は「は?」と低い声を放った。
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