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第48話 緩む表情筋 ★皇帝 SIDE
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これで役者が揃ったのだろうか。こちらが返事をする前に扉を開き、堂々と入室して来たのはジョセフと、第二皇子であるウィリアムだった。ジョセフが顔を出したことで、私はホッと肩の力が抜けた。皇妃たちでは何もできないと分かっていても、多少は緊張していたらしい。第二皇子であるウィリアムは、齢十歳にして一回り近く年上の第一皇子より賢く、次期皇帝にと期待を寄せている。
相変わらず甲高い声でキャンキャンとうるさい皇妃が、第二皇子に喧嘩を売っていたが、正論で軽く扱われているのを見て、笑いそうになってしまった。多少緊張していたとしても、敵意を向けて来た人間に、毅然とした対応が取れている。ウィリアムこそが皇帝の器だという私の判断は、間違っていないだろう。
物思いに耽っていると、私の足元……ズボンの裾をクイクイと引かれている感覚があった。とても小さな力で引かれていて、何度も引かれなければ気がつかなかっただろう。敵意はなさそうだし、その理由が知りたくて、ゆっくりと足を組む。
すると、浮いた足にヒョイと小さな影が乗った。顔は前に向けたまま、視線だけでその影を捉えると、私の足に乗っているのは小さなリスだった。その小リスは自分の肩をポンポンと叩き、首をコテンと傾げた。なんて可愛いんだ! 恐らく、私の肩に乗りたいと言っているのだろう。私は視線だけで頷いてみせた。
それを確認した瞬間、小さなリスは足から飛び降り、恐らく私の座る玉座の脚から登っているのであろう、小さな爪の音がカシカシと聞こえる。想像するだけで可愛いな。緩みそうになる顔を引き締め、小リスが肩に到着するのを待った。近づいて来る、カシカシという音にワクワクしてしまうな。可愛らしい小リスが、何をしたいのか気になって仕方ない。
やっと私の肩に到着した小リスは、皇妃たちから見えない位置に回り込み、小さな声で私の耳元へ向かって話しかけた。私は小さく身悶えながら、一生懸命に耳を澄ませる。
「こんにちは、王様。ボクはアトラ。辺境伯の孫、クリスの契約精霊だよ。本当は念話で話せたら良いんだけど、クリスのおじーちゃんが色んな防御魔法を王様にかけてるせいで、王様に念話しようとすると、その魔法のせいで念話が弾かれる可能性が高いんだって。弾かれると目立つから、王様からボクに念話して、それをボクが仲間に飛ばすから、ボクを中心に話をして欲しいんだ」
ほお。ジョセフが色んな防御魔法をかけてくれているのは知っていたが、弾かれると目立つのだな? 私の方から念話する分には問題ないということなのだろうが、どうすれば念話で話せるのだろうな? 可愛い小リスからのお願いだから、どうにか叶えてやりたいが……困ったように視線を向けると、可愛い小リスは小さく頷いた。
「あ、うん。念話はね、ボクに心の声を飛ばすイメージ? 心の声でボクに語り掛けてみて?」
心で、か。飛ばすイメージとはどんな感じだろうか? まあ、やってみよう。
『小リスの精霊、アトラ殿。聞こえるだろうか?』
「わぁ、凄いね! 一回でできた!」
小さな声で、バレないようにはしゃぐアトラ殿は、やっぱり可愛い。小さいは正義だよなぁ。精霊かぁ……アトラ殿の主であるクリスという子が羨ましいな。
「それでね、ボクが王様に色々伝えることになるからよろしくね。先ずは……王様の影は、敵か味方か分からないから、部屋から追い出した、って言ってる」
『食事を持って来てくれた影たちか。彼らは優秀だから大丈夫なのだが……まぁ、ジョセフが決めたのだろうから、それに従おう。ん? それではこの部屋に、味方は何人いるのだ? 私は何をすればよいのだろうか』
「えっと、味方は……上に三人……いや、四人居るね。前に二人だから、六人味方がいるよ」
『ん? では、敵は皇妃と第一皇子のみなのではないか?』
「うん、そうなるね。皇妃って人に関わりたくないから、誰も入って来ないんだって。この時点で、計画があったとしても破綻してるよねー」
確かにな……我々しかいないのであれば、いくらでも罪を捏ち上げることができるからな。
「目の前のおじーちゃんが、ジョセフの魔法を弾かせたら良いと言ってるよ。誰かに目撃させて、サクッと終わらせようって」
うん? 私に念話して来ると言うことだろうか? 目の前にいるのがジョエルだと言うことだけは理解したが。ジョエルのことだから、この状況に飽きたのだろうな。何でも力業で終わらせたがるし、悪ふざけするのはいつもジョエルだ。ジョセフは真面目を絵に描いたような男だから、今回なら止める側だな。
『誰かが私に念話して来るのかい? 私は何もしなくて良いのかな?』
「えっと……神獣とエルフはもっと派手に演出してやろうと言ってるんだけど、クリスのおじーちゃんは反対していて……目の前のおじーちゃんは、もっとやれって煽ってる」
『な、なるほどな』
くっ、駄目だ。顔が緩むのを我慢できなくなりそうだ。こんな時に笑わせないでほしいな。しんみりとしたいところで笑わせて来る。何せ、神獣殿とエルフ殿がいらっしゃっていて、先ほどこの場にいる『味方』は六人で、『敵』は皇妃たち二人だとアトラ殿は仰った。その事実は、帝国にとって大変ありがたいことなのだ。
『外にロドリゲス公爵たちがいると思うのだが、彼らに目撃させたら色々と解決するんじゃないだろうか? 文句も言えんだろう』
「うん、目撃者は外の四人にするみたい。でね、ジョセフおじーちゃんの魔法は闇魔法だから、念のために神聖力で隠すんだって。おじーちゃんが疑われる可能性をなくしたいからって」
『そうか。では、ジョセフの魔法が弾かれる時、金色に光るのかい?』
「皇妃の得意魔法が水だから、青みを帯びたキラキラにする予定らしいよ? 罪を大きくして、表舞台から去ってもらえって言ってる」
『私もそれには賛成だ。国を荒らす者は、私の周りには要らないからな』
帝国の憂いが、ひとつでも減るのはありがたい。皇妃と第一皇子だから、二つ減ってくれるだろうか。第一皇子はまだ若いから可哀想ではあるが……成人しても自分で考えて行動できない時点で、反対勢力や悪しき者の傀儡にされたら面倒なのでな。私はこの国の皇帝であり、この国を守る義務がある。
「えっと、扉を開けさせてほしいって。目の前のおじーちゃんに命令してほしいみたい。外の人が入って来たら、扉を開け放ったままで、カーテンも開けるんだって。皇妃がまた大声で話し出したら、そのタイミングで魔法を弾くから、わざとらしく苦しそうに倒れてって言ってる」
『面白そうだな、相分かった。直ぐに命令して良いのかな?』
「うん、良いみたい。厳かにやれよって、目の前のおじーちゃんが」
グッ、笑わせに来てるじゃないか! 全く……またこの二人に助けられるのだな。私は求められたことをきっちりと熟すだけだ。目の前にいるのはジョエルだが、表向きはジョセフだ。間違えないように、そして厳かに、だな。
「ジョセフ、外にいる者たちにも意見を求めたい。扉を開けよ」
「はっ!」
急に扉が大きく開かれ、驚いた公爵たちがワタワタしている。
「陛下が意見を聞きたいそうです。中に入り、聞かれたことに対して意見を述べてくだされ」
「は、はい。かしこまりました」
公爵を先頭に、侯爵たちもあとに続いて謁見の間に入室した。扉を閉じる気配もしないのだが、テンパっている彼らはポカンとしていて気がつかない。皇帝の命令だから、取り敢えず入室したって感じだな? そして、入室したタイミングで、カーテンもシャーッと勢い良く全て開いた。それを見た皇妃は予定通りに騒ぎ出してくれたな。
「な、なんですの!? 誰がカーテンを開けて良いと言ったのよ! 早くお閉めなさい!」
「皇妃よ。なぜ、そなたに命令権があると思っているのだ? 私が開けと言えば、当然開くだろう。この国の皇帝は、私なのだからな」
「だから、貴方は早く皇帝から降りてと言ってるじゃない!」
はあ。私は分かりやすい言葉で正論を言ってるはずなのに、皇妃はキャンキャンと同じセリフしか言えやしない。ここは形ばかりではあるが、公爵らにも話を振ってみるか?
「公爵に侯爵らよ。皇妃はこう言っておるのだが、そなたらはどう思う」
「へ、陛下、よろしいでしょうか?」
まるで水を得た魚のように、公爵が目をキラキラとさせながら、あえて小さく手を挙げた。
「何だね。言ってみなさい」
「ゴホン。私どもは、この帝国をもっと大きくしたいと思っておりました。そのためには攻めの姿勢が必要かと。その、陛下は平和主義と言いますか……」
「ほお? であるから、皇帝の座を降りろと?」
「え、えっと、あの、その……」
「ちょっと、ロドリゲス公爵! ハッキリと言いなさいよ!」
「うん? そなたたちは共謀しているのか?」
あえて『共謀しているか?』と聞いたのは、今の皇妃なら「そうだ!」と言いそうだったからだ。共謀とは、『一緒に悪だくみしていること』を指すのだから、公爵は否定したいだろうがな?
「え? いえ、そ、そのようなことは――――――」
「そうよ! わたくしと第一皇子には、ロドリゲス公爵がいるのですわ!」
ピカ――――――――――ッ! お、今か! すごいタイミングだな。青みのある光が私の周りで爆発したように見えた。こんなに派手な演出なのに、ちっとも痛くも痒くもないな。あえて言うならば、眩しくて視界が悪くなったぐらいだ。
「ぐ、ぐうぅぅぅ――――――――っ!」
苦しみながらバターン! とわざとらしく倒れた私に、ジョエルが「陛下!大丈夫ですか!?」とわざとらしく大声で叫びながら近づいて来る。これまた派手な三文芝居だな。
「陛下から離れてください! 近衛はここにいる全員を拘束! ああ、第二皇子は意見を聞かれただけであるから、丁重に部屋へお送りするように。救護班を――――いや、陛下の主治医を呼べ!」
謁見の間では、ジョセフが下した命令を、行動に移す近衛たちで騒然としていた。最後に、第二皇子のウィリアムが部屋に戻るため退出すると、謁見の間の扉は厳かに閉められたのだった。
相変わらず甲高い声でキャンキャンとうるさい皇妃が、第二皇子に喧嘩を売っていたが、正論で軽く扱われているのを見て、笑いそうになってしまった。多少緊張していたとしても、敵意を向けて来た人間に、毅然とした対応が取れている。ウィリアムこそが皇帝の器だという私の判断は、間違っていないだろう。
物思いに耽っていると、私の足元……ズボンの裾をクイクイと引かれている感覚があった。とても小さな力で引かれていて、何度も引かれなければ気がつかなかっただろう。敵意はなさそうだし、その理由が知りたくて、ゆっくりと足を組む。
すると、浮いた足にヒョイと小さな影が乗った。顔は前に向けたまま、視線だけでその影を捉えると、私の足に乗っているのは小さなリスだった。その小リスは自分の肩をポンポンと叩き、首をコテンと傾げた。なんて可愛いんだ! 恐らく、私の肩に乗りたいと言っているのだろう。私は視線だけで頷いてみせた。
それを確認した瞬間、小さなリスは足から飛び降り、恐らく私の座る玉座の脚から登っているのであろう、小さな爪の音がカシカシと聞こえる。想像するだけで可愛いな。緩みそうになる顔を引き締め、小リスが肩に到着するのを待った。近づいて来る、カシカシという音にワクワクしてしまうな。可愛らしい小リスが、何をしたいのか気になって仕方ない。
やっと私の肩に到着した小リスは、皇妃たちから見えない位置に回り込み、小さな声で私の耳元へ向かって話しかけた。私は小さく身悶えながら、一生懸命に耳を澄ませる。
「こんにちは、王様。ボクはアトラ。辺境伯の孫、クリスの契約精霊だよ。本当は念話で話せたら良いんだけど、クリスのおじーちゃんが色んな防御魔法を王様にかけてるせいで、王様に念話しようとすると、その魔法のせいで念話が弾かれる可能性が高いんだって。弾かれると目立つから、王様からボクに念話して、それをボクが仲間に飛ばすから、ボクを中心に話をして欲しいんだ」
ほお。ジョセフが色んな防御魔法をかけてくれているのは知っていたが、弾かれると目立つのだな? 私の方から念話する分には問題ないということなのだろうが、どうすれば念話で話せるのだろうな? 可愛い小リスからのお願いだから、どうにか叶えてやりたいが……困ったように視線を向けると、可愛い小リスは小さく頷いた。
「あ、うん。念話はね、ボクに心の声を飛ばすイメージ? 心の声でボクに語り掛けてみて?」
心で、か。飛ばすイメージとはどんな感じだろうか? まあ、やってみよう。
『小リスの精霊、アトラ殿。聞こえるだろうか?』
「わぁ、凄いね! 一回でできた!」
小さな声で、バレないようにはしゃぐアトラ殿は、やっぱり可愛い。小さいは正義だよなぁ。精霊かぁ……アトラ殿の主であるクリスという子が羨ましいな。
「それでね、ボクが王様に色々伝えることになるからよろしくね。先ずは……王様の影は、敵か味方か分からないから、部屋から追い出した、って言ってる」
『食事を持って来てくれた影たちか。彼らは優秀だから大丈夫なのだが……まぁ、ジョセフが決めたのだろうから、それに従おう。ん? それではこの部屋に、味方は何人いるのだ? 私は何をすればよいのだろうか』
「えっと、味方は……上に三人……いや、四人居るね。前に二人だから、六人味方がいるよ」
『ん? では、敵は皇妃と第一皇子のみなのではないか?』
「うん、そうなるね。皇妃って人に関わりたくないから、誰も入って来ないんだって。この時点で、計画があったとしても破綻してるよねー」
確かにな……我々しかいないのであれば、いくらでも罪を捏ち上げることができるからな。
「目の前のおじーちゃんが、ジョセフの魔法を弾かせたら良いと言ってるよ。誰かに目撃させて、サクッと終わらせようって」
うん? 私に念話して来ると言うことだろうか? 目の前にいるのがジョエルだと言うことだけは理解したが。ジョエルのことだから、この状況に飽きたのだろうな。何でも力業で終わらせたがるし、悪ふざけするのはいつもジョエルだ。ジョセフは真面目を絵に描いたような男だから、今回なら止める側だな。
『誰かが私に念話して来るのかい? 私は何もしなくて良いのかな?』
「えっと……神獣とエルフはもっと派手に演出してやろうと言ってるんだけど、クリスのおじーちゃんは反対していて……目の前のおじーちゃんは、もっとやれって煽ってる」
『な、なるほどな』
くっ、駄目だ。顔が緩むのを我慢できなくなりそうだ。こんな時に笑わせないでほしいな。しんみりとしたいところで笑わせて来る。何せ、神獣殿とエルフ殿がいらっしゃっていて、先ほどこの場にいる『味方』は六人で、『敵』は皇妃たち二人だとアトラ殿は仰った。その事実は、帝国にとって大変ありがたいことなのだ。
『外にロドリゲス公爵たちがいると思うのだが、彼らに目撃させたら色々と解決するんじゃないだろうか? 文句も言えんだろう』
「うん、目撃者は外の四人にするみたい。でね、ジョセフおじーちゃんの魔法は闇魔法だから、念のために神聖力で隠すんだって。おじーちゃんが疑われる可能性をなくしたいからって」
『そうか。では、ジョセフの魔法が弾かれる時、金色に光るのかい?』
「皇妃の得意魔法が水だから、青みを帯びたキラキラにする予定らしいよ? 罪を大きくして、表舞台から去ってもらえって言ってる」
『私もそれには賛成だ。国を荒らす者は、私の周りには要らないからな』
帝国の憂いが、ひとつでも減るのはありがたい。皇妃と第一皇子だから、二つ減ってくれるだろうか。第一皇子はまだ若いから可哀想ではあるが……成人しても自分で考えて行動できない時点で、反対勢力や悪しき者の傀儡にされたら面倒なのでな。私はこの国の皇帝であり、この国を守る義務がある。
「えっと、扉を開けさせてほしいって。目の前のおじーちゃんに命令してほしいみたい。外の人が入って来たら、扉を開け放ったままで、カーテンも開けるんだって。皇妃がまた大声で話し出したら、そのタイミングで魔法を弾くから、わざとらしく苦しそうに倒れてって言ってる」
『面白そうだな、相分かった。直ぐに命令して良いのかな?』
「うん、良いみたい。厳かにやれよって、目の前のおじーちゃんが」
グッ、笑わせに来てるじゃないか! 全く……またこの二人に助けられるのだな。私は求められたことをきっちりと熟すだけだ。目の前にいるのはジョエルだが、表向きはジョセフだ。間違えないように、そして厳かに、だな。
「ジョセフ、外にいる者たちにも意見を求めたい。扉を開けよ」
「はっ!」
急に扉が大きく開かれ、驚いた公爵たちがワタワタしている。
「陛下が意見を聞きたいそうです。中に入り、聞かれたことに対して意見を述べてくだされ」
「は、はい。かしこまりました」
公爵を先頭に、侯爵たちもあとに続いて謁見の間に入室した。扉を閉じる気配もしないのだが、テンパっている彼らはポカンとしていて気がつかない。皇帝の命令だから、取り敢えず入室したって感じだな? そして、入室したタイミングで、カーテンもシャーッと勢い良く全て開いた。それを見た皇妃は予定通りに騒ぎ出してくれたな。
「な、なんですの!? 誰がカーテンを開けて良いと言ったのよ! 早くお閉めなさい!」
「皇妃よ。なぜ、そなたに命令権があると思っているのだ? 私が開けと言えば、当然開くだろう。この国の皇帝は、私なのだからな」
「だから、貴方は早く皇帝から降りてと言ってるじゃない!」
はあ。私は分かりやすい言葉で正論を言ってるはずなのに、皇妃はキャンキャンと同じセリフしか言えやしない。ここは形ばかりではあるが、公爵らにも話を振ってみるか?
「公爵に侯爵らよ。皇妃はこう言っておるのだが、そなたらはどう思う」
「へ、陛下、よろしいでしょうか?」
まるで水を得た魚のように、公爵が目をキラキラとさせながら、あえて小さく手を挙げた。
「何だね。言ってみなさい」
「ゴホン。私どもは、この帝国をもっと大きくしたいと思っておりました。そのためには攻めの姿勢が必要かと。その、陛下は平和主義と言いますか……」
「ほお? であるから、皇帝の座を降りろと?」
「え、えっと、あの、その……」
「ちょっと、ロドリゲス公爵! ハッキリと言いなさいよ!」
「うん? そなたたちは共謀しているのか?」
あえて『共謀しているか?』と聞いたのは、今の皇妃なら「そうだ!」と言いそうだったからだ。共謀とは、『一緒に悪だくみしていること』を指すのだから、公爵は否定したいだろうがな?
「え? いえ、そ、そのようなことは――――――」
「そうよ! わたくしと第一皇子には、ロドリゲス公爵がいるのですわ!」
ピカ――――――――――ッ! お、今か! すごいタイミングだな。青みのある光が私の周りで爆発したように見えた。こんなに派手な演出なのに、ちっとも痛くも痒くもないな。あえて言うならば、眩しくて視界が悪くなったぐらいだ。
「ぐ、ぐうぅぅぅ――――――――っ!」
苦しみながらバターン! とわざとらしく倒れた私に、ジョエルが「陛下!大丈夫ですか!?」とわざとらしく大声で叫びながら近づいて来る。これまた派手な三文芝居だな。
「陛下から離れてください! 近衛はここにいる全員を拘束! ああ、第二皇子は意見を聞かれただけであるから、丁重に部屋へお送りするように。救護班を――――いや、陛下の主治医を呼べ!」
謁見の間では、ジョセフが下した命令を、行動に移す近衛たちで騒然としていた。最後に、第二皇子のウィリアムが部屋に戻るため退出すると、謁見の間の扉は厳かに閉められたのだった。
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