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【第2章】
■第20話 : 見つからない活路
居酒屋を出た後、しばらく無言のまま歩き続ける優司と日高の二人。
しばらくした後、何かを決心したように優司が口を開いた。
「いろいろ弱音を吐いちゃったけど……とりあえず頑張ってみるよ!
いくら『シルバー』が設定の読みにくい店とはいえ、それは相手も同じ条件だし」
不意に飛び出した優司の前向きな発言に、少し安心したような表情で日高が返答する。
「ああ、そうだな。
お前なら、『シルバー』みたいなホールだろうと何か突破口を見つけられるかもしれないな」
「うん! なんとか付け入るスキを見つけ出してみるよ。
さすがに東口にある『ミラクル』みたいなホールじゃお手上げだけどね。
あそこよりはマシだと思って、足掻いてみるよ」
「確かに、『ミラクル』じゃ話にならないよなぁ。あそこの設定の入れ方はマジで狂ってるからな」
そう言いながら、軽く笑う日高。
優司もつられて笑った。
「じゃあ、また何かあったら連絡するよ」
「ああ、頑張れよ。俺も、できる範囲でなら手は貸すからさ」
「ありがとう。それじゃあまた」
そこで二人は別れた。
日高は自分の家へ、優司はどこか眠れそうな場所を探しに……
◇◇◇◇◇◇
(はぁ、さすがに今日はマンガ喫茶で寝れないな。
金を残しておかないといけないし。
あーあ、久々の野宿か……)
日高と別れた後の優司は、今夜の宿泊場所に頭を悩ませていた。
昨日まではマンガ喫茶やカプセルホテルに泊まっていたが、勝負の日まで最低30万円は維持しなくてはならないため、贅沢は言っていられなかった。
(今の持ち金が約30万5千円か。
やっぱ花火百景で負けたのは痛かった……)
今更ながら、どうせ負けるだろうと思っていた勝負をしてしまった自分に腹が立った。
しかし、これはスロッターならば仕方がないこととも言える。
特に、パチスロでの勝ち方がわかっているスロッターにとっては。
機械割が甘く、かつ安定もしやすい花火百景の設定5以上ならば、期待値を考えれば絶対に打つべきなのだから。
(勝負の日まであと7日か。
もう屋根付きの宿には泊まれないな。
……まあいいさ。野宿には慣れてる)
無理矢理自分を励ましながら、今夜の宿となりそうな場所を探す優司。
とはいえ、久しぶりの野宿。
どんなに無理をしても、やはりショックは隠せない。
(俺は、いつになったらこんな生活から抜け出せるんだろう……)
言いようのない不安に襲われながら、あてどなく街を彷徨うのであった。
◇◇◇◇◇◇
日高と真鍋の因縁を聞いたあの飲みから、3日が経ったある日の朝。
優司は『シルバー』の店内をしばらくチェックした後、外に出て、店の前に設置されていたベンチに座りながらうなだれた。
(だめだ……さっぱり分からない……。
本当に、何も考えずに設定変更してるんじゃないかこの店?
なんの手がかりも見当たらないよ……)
この3日間、いつも以上に詳細に調査した結果、改めて『シルバー』が読みのきかない店だということを認識した。
ホールには、実に様々な特徴がある。
『エース』のように、この店の経営はこれで大丈夫なのだろうか?と心配になってしまうくらい安易な設定の入れ方をしてくる店もあれば、ある程度規則性はあるが、時にトリッキーな設定配分をしてくる店もある。
そして、『シルバー』のように、一切なんの手がかりも掴めないような店ももちろん存在する。
(どうしよう。設定の読めない店で、どうやって設定6を掴めばいいんだ……)
いくら「設定読み」に自信があろうとも、どうしようもない店も多々あるもの。
そういう店にムキになって挑んだりせず、的確に回避し、読みやすい店だけに通うのが勝ち組スロッターの常道である。
(こんな行き詰った時、彼女でもいれば少しは救われるんだろうな)
優司は、なんとなく飯島由香のことを思い出していた。
3日前に見た夢に、唐突に現れた元彼女、由香のことを。
しかし、それはあくまで夢であって、現実にはどこで何をやっているのかすらわからない。
そんなことはわかっているが、それでもついつい考えてしまう。
それくらい、今の優司は追い詰められていた。
絶望すること数十分。
ここでふと、優司にある考えが浮かんだ。
(こうなったら発想を変えよう。
こんな店で、無理に設定を読もうとしなければいいんだ。
……そうだよ、これこそが勝ち組の考え方じゃないかっ!)
画期的なアイデアに思えた。
『シルバー』を勝負ホールに指定してきたのは真鍋だ。
奴を翻意させれば、それで問題は解決する。
(よし、もう一度真鍋と会おう。
アイツは、俺と勝負さえできればいいはずだ。
だったら、ホールを変えなきゃ俺は勝負しない、とでも言い張ればなんとかなるだろう)
絶対に負けが許されない以上、多少格好が悪くても仕方がない。
手段を選んではいられない。
妥協案とはいえ、解決策が見つかったことで安堵が胸に広がる。
早速腰を上げ、この近辺で打っているであろう真鍋を探しにいくことにした。
(なんとしても説得してやる。
もう、この方法しかないんだっ……)
しばらくした後、何かを決心したように優司が口を開いた。
「いろいろ弱音を吐いちゃったけど……とりあえず頑張ってみるよ!
いくら『シルバー』が設定の読みにくい店とはいえ、それは相手も同じ条件だし」
不意に飛び出した優司の前向きな発言に、少し安心したような表情で日高が返答する。
「ああ、そうだな。
お前なら、『シルバー』みたいなホールだろうと何か突破口を見つけられるかもしれないな」
「うん! なんとか付け入るスキを見つけ出してみるよ。
さすがに東口にある『ミラクル』みたいなホールじゃお手上げだけどね。
あそこよりはマシだと思って、足掻いてみるよ」
「確かに、『ミラクル』じゃ話にならないよなぁ。あそこの設定の入れ方はマジで狂ってるからな」
そう言いながら、軽く笑う日高。
優司もつられて笑った。
「じゃあ、また何かあったら連絡するよ」
「ああ、頑張れよ。俺も、できる範囲でなら手は貸すからさ」
「ありがとう。それじゃあまた」
そこで二人は別れた。
日高は自分の家へ、優司はどこか眠れそうな場所を探しに……
◇◇◇◇◇◇
(はぁ、さすがに今日はマンガ喫茶で寝れないな。
金を残しておかないといけないし。
あーあ、久々の野宿か……)
日高と別れた後の優司は、今夜の宿泊場所に頭を悩ませていた。
昨日まではマンガ喫茶やカプセルホテルに泊まっていたが、勝負の日まで最低30万円は維持しなくてはならないため、贅沢は言っていられなかった。
(今の持ち金が約30万5千円か。
やっぱ花火百景で負けたのは痛かった……)
今更ながら、どうせ負けるだろうと思っていた勝負をしてしまった自分に腹が立った。
しかし、これはスロッターならば仕方がないこととも言える。
特に、パチスロでの勝ち方がわかっているスロッターにとっては。
機械割が甘く、かつ安定もしやすい花火百景の設定5以上ならば、期待値を考えれば絶対に打つべきなのだから。
(勝負の日まであと7日か。
もう屋根付きの宿には泊まれないな。
……まあいいさ。野宿には慣れてる)
無理矢理自分を励ましながら、今夜の宿となりそうな場所を探す優司。
とはいえ、久しぶりの野宿。
どんなに無理をしても、やはりショックは隠せない。
(俺は、いつになったらこんな生活から抜け出せるんだろう……)
言いようのない不安に襲われながら、あてどなく街を彷徨うのであった。
◇◇◇◇◇◇
日高と真鍋の因縁を聞いたあの飲みから、3日が経ったある日の朝。
優司は『シルバー』の店内をしばらくチェックした後、外に出て、店の前に設置されていたベンチに座りながらうなだれた。
(だめだ……さっぱり分からない……。
本当に、何も考えずに設定変更してるんじゃないかこの店?
なんの手がかりも見当たらないよ……)
この3日間、いつも以上に詳細に調査した結果、改めて『シルバー』が読みのきかない店だということを認識した。
ホールには、実に様々な特徴がある。
『エース』のように、この店の経営はこれで大丈夫なのだろうか?と心配になってしまうくらい安易な設定の入れ方をしてくる店もあれば、ある程度規則性はあるが、時にトリッキーな設定配分をしてくる店もある。
そして、『シルバー』のように、一切なんの手がかりも掴めないような店ももちろん存在する。
(どうしよう。設定の読めない店で、どうやって設定6を掴めばいいんだ……)
いくら「設定読み」に自信があろうとも、どうしようもない店も多々あるもの。
そういう店にムキになって挑んだりせず、的確に回避し、読みやすい店だけに通うのが勝ち組スロッターの常道である。
(こんな行き詰った時、彼女でもいれば少しは救われるんだろうな)
優司は、なんとなく飯島由香のことを思い出していた。
3日前に見た夢に、唐突に現れた元彼女、由香のことを。
しかし、それはあくまで夢であって、現実にはどこで何をやっているのかすらわからない。
そんなことはわかっているが、それでもついつい考えてしまう。
それくらい、今の優司は追い詰められていた。
絶望すること数十分。
ここでふと、優司にある考えが浮かんだ。
(こうなったら発想を変えよう。
こんな店で、無理に設定を読もうとしなければいいんだ。
……そうだよ、これこそが勝ち組の考え方じゃないかっ!)
画期的なアイデアに思えた。
『シルバー』を勝負ホールに指定してきたのは真鍋だ。
奴を翻意させれば、それで問題は解決する。
(よし、もう一度真鍋と会おう。
アイツは、俺と勝負さえできればいいはずだ。
だったら、ホールを変えなきゃ俺は勝負しない、とでも言い張ればなんとかなるだろう)
絶対に負けが許されない以上、多少格好が悪くても仕方がない。
手段を選んではいられない。
妥協案とはいえ、解決策が見つかったことで安堵が胸に広がる。
早速腰を上げ、この近辺で打っているであろう真鍋を探しにいくことにした。
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