文字の大きさ
大
中
小
27 / 138
【第2章】
■第27話 : 種明かし①
「なんで……なんでこの店で、そんな完璧に設定を読みきれたんだよ!
明らかにおかしいだろ?」
各々コインを流して特殊景品を受け取り、ホールの外へ出ると、真鍋は待ちきれない様子で優司に詰め寄った。
動揺しながらまくしたてる真鍋を尻目に、優司は至って冷静だ。
「何もおかしくはないよ。視野を広げれば、誰にだってできることだからさ。
観察力と洞察力の違いだね」
「て、適当なこと言ってんじゃねぇぞっ?
単なる偶然だろ? 偶然でうまいこと勝てたから、それに乗じて適当に言い繕ってるだけだろ!」
「違うって。
どうしてもっていうなら説明してもいいけど。
俺も、単なる偶然で6ツモれただけだと思われてるんじゃ気分悪いし」
「じゃ、じゃあ説明してくれよ!
このままじゃ納得できねぇよ!」
少し間を取ってから、優司はゆっくりと話し出した。
「正直、最初は凄い悩んだよ。
こんな読みにくいホールで打つことなんてあんまりないしね。
適当にサイコロでも振って設定決めてんのかと思ったくらいだから」
「だろ? 本当ここは読めねぇんだから」
「でも、俺は運まかせの勝負は絶対にしない。
何があろうと負けられるような状況じゃないからね。
負けたら1文無しって状況、かなりプレッシャーだよ?」
「……」
「そんなことより早く説明しろって言いたそうだね」
「ああ、もったいぶるなよな!」
「そんなに焦らないでよ」
一呼吸置き、再び優司が言葉を発する。
「まず俺が注目したのは、このホールのバイト募集の張り紙だったんだ」
「バイト募集の張り紙?」
「ああ。知ってるかもしれないけど、普通、ホール店員ってのは営業終了後1時間くらいは閉店作業をするもんなんだよ。
全台の鍵開けをしてコイン調整したり、台清掃したりとかの作業があるから」
「……で?」
「それなのに、見つけたバイト募集の張り紙によると、なぜかこのホールの遅番は勤務時間が23:30までってなってたんだ」
「……」
「見てのとおり、このホールは4階建ての大型ホールでしょ?
この規模のホールで、あの少ない店員の数じゃ、とても30分で閉店作業なんかできるわけないって判断したんだ。
ちなみに、早番も9:30からだったから、通常より30分勤務時間が短い。だから開店作業でも、台を開けることなんてないんだろうなと思った。
一応確認のために、知り合いの元ホール店員に聞いてみたけどね。
この規模のホールであの店員の数しかいないのに、コイン調整やら台清掃やらが30分で終わるのかどうかって」
知り合いのホール店員というのは、ヒデのことだった。
独断に頼らず、周りの詳しい人間に最終確認したこの行為も今回の勝利に一役買っていた。
「で、それが今日の勝負となんの関係があるんだよ!」
早く自分が負けた理由を知りたくて仕方がない様子だった。
「だから焦るなって。
順序があるんだからさ」
優司は依然余裕を保ちつつ、解説を続けた。
「とりあえずこれで、30分じゃまともな閉店作業や開店作業はできないってことがわかったよね?
ってことは、この『シルバー』は台清掃やコイン調整を滅多にしてない可能性が高いってことになる。
となると、台を開けるのは当然、設定変更の時だけってことになるよね?
コイン調整も清掃もしないなら、他に台を開ける理由がないんだから」
「まあ、そうなるだろうな」
「それなら、どの台を開けたのかがわかれば、必然的に設定変更した台がわかるよね?
……そこで登場するのが、コイツだよ」
そう言って優司は、ポケットの中からあるモノを取り出した。
明らかにおかしいだろ?」
各々コインを流して特殊景品を受け取り、ホールの外へ出ると、真鍋は待ちきれない様子で優司に詰め寄った。
動揺しながらまくしたてる真鍋を尻目に、優司は至って冷静だ。
「何もおかしくはないよ。視野を広げれば、誰にだってできることだからさ。
観察力と洞察力の違いだね」
「て、適当なこと言ってんじゃねぇぞっ?
単なる偶然だろ? 偶然でうまいこと勝てたから、それに乗じて適当に言い繕ってるだけだろ!」
「違うって。
どうしてもっていうなら説明してもいいけど。
俺も、単なる偶然で6ツモれただけだと思われてるんじゃ気分悪いし」
「じゃ、じゃあ説明してくれよ!
このままじゃ納得できねぇよ!」
少し間を取ってから、優司はゆっくりと話し出した。
「正直、最初は凄い悩んだよ。
こんな読みにくいホールで打つことなんてあんまりないしね。
適当にサイコロでも振って設定決めてんのかと思ったくらいだから」
「だろ? 本当ここは読めねぇんだから」
「でも、俺は運まかせの勝負は絶対にしない。
何があろうと負けられるような状況じゃないからね。
負けたら1文無しって状況、かなりプレッシャーだよ?」
「……」
「そんなことより早く説明しろって言いたそうだね」
「ああ、もったいぶるなよな!」
「そんなに焦らないでよ」
一呼吸置き、再び優司が言葉を発する。
「まず俺が注目したのは、このホールのバイト募集の張り紙だったんだ」
「バイト募集の張り紙?」
「ああ。知ってるかもしれないけど、普通、ホール店員ってのは営業終了後1時間くらいは閉店作業をするもんなんだよ。
全台の鍵開けをしてコイン調整したり、台清掃したりとかの作業があるから」
「……で?」
「それなのに、見つけたバイト募集の張り紙によると、なぜかこのホールの遅番は勤務時間が23:30までってなってたんだ」
「……」
「見てのとおり、このホールは4階建ての大型ホールでしょ?
この規模のホールで、あの少ない店員の数じゃ、とても30分で閉店作業なんかできるわけないって判断したんだ。
ちなみに、早番も9:30からだったから、通常より30分勤務時間が短い。だから開店作業でも、台を開けることなんてないんだろうなと思った。
一応確認のために、知り合いの元ホール店員に聞いてみたけどね。
この規模のホールであの店員の数しかいないのに、コイン調整やら台清掃やらが30分で終わるのかどうかって」
知り合いのホール店員というのは、ヒデのことだった。
独断に頼らず、周りの詳しい人間に最終確認したこの行為も今回の勝利に一役買っていた。
「で、それが今日の勝負となんの関係があるんだよ!」
早く自分が負けた理由を知りたくて仕方がない様子だった。
「だから焦るなって。
順序があるんだからさ」
優司は依然余裕を保ちつつ、解説を続けた。
「とりあえずこれで、30分じゃまともな閉店作業や開店作業はできないってことがわかったよね?
ってことは、この『シルバー』は台清掃やコイン調整を滅多にしてない可能性が高いってことになる。
となると、台を開けるのは当然、設定変更の時だけってことになるよね?
コイン調整も清掃もしないなら、他に台を開ける理由がないんだから」
「まあ、そうなるだろうな」
「それなら、どの台を開けたのかがわかれば、必然的に設定変更した台がわかるよね?
……そこで登場するのが、コイツだよ」
そう言って優司は、ポケットの中からあるモノを取り出した。
感想 5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagaseこの物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。