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【第2章】
■第27話 : 種明かし①
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「なんで……なんでこの店で、そんな完璧に設定を読みきれたんだよ!
明らかにおかしいだろ?」
各々コインを流して特殊景品を受け取り、ホールの外へ出ると、真鍋は待ちきれない様子で優司に詰め寄った。
動揺しながらまくしたてる真鍋を尻目に、優司は至って冷静だ。
「何もおかしくはないよ。視野を広げれば、誰にだってできることだからさ。
観察力と洞察力の違いだね」
「て、適当なこと言ってんじゃねぇぞっ?
単なる偶然だろ? 偶然でうまいこと勝てたから、それに乗じて適当に言い繕ってるだけだろ!」
「違うって。
どうしてもっていうなら説明してもいいけど。
俺も、単なる偶然で6ツモれただけだと思われてるんじゃ気分悪いし」
「じゃ、じゃあ説明してくれよ!
このままじゃ納得できねぇよ!」
少し間を取ってから、優司はゆっくりと話し出した。
「正直、最初は凄い悩んだよ。
こんな読みにくいホールで打つことなんてあんまりないしね。
適当にサイコロでも振って設定決めてんのかと思ったくらいだから」
「だろ? 本当ここは読めねぇんだから」
「でも、俺は運まかせの勝負は絶対にしない。
何があろうと負けられるような状況じゃないからね。
負けたら1文無しって状況、かなりプレッシャーだよ?」
「……」
「そんなことより早く説明しろって言いたそうだね」
「ああ、もったいぶるなよな!」
「そんなに焦らないでよ」
一呼吸置き、再び優司が言葉を発する。
「まず俺が注目したのは、このホールのバイト募集の張り紙だったんだ」
「バイト募集の張り紙?」
「ああ。知ってるかもしれないけど、普通、ホール店員ってのは営業終了後1時間くらいは閉店作業をするもんなんだよ。
全台の鍵開けをしてコイン調整したり、台清掃したりとかの作業があるから」
「……で?」
「それなのに、見つけたバイト募集の張り紙によると、なぜかこのホールの遅番は勤務時間が23:30までってなってたんだ」
「……」
「見てのとおり、このホールは4階建ての大型ホールでしょ?
この規模のホールで、あの少ない店員の数じゃ、とても30分で閉店作業なんかできるわけないって判断したんだ。
ちなみに、早番も9:30からだったから、通常より30分勤務時間が短い。だから開店作業でも、台を開けることなんてないんだろうなと思った。
一応確認のために、知り合いの元ホール店員に聞いてみたけどね。
この規模のホールであの店員の数しかいないのに、コイン調整やら台清掃やらが30分で終わるのかどうかって」
知り合いのホール店員というのは、ヒデのことだった。
独断に頼らず、周りの詳しい人間に最終確認したこの行為も今回の勝利に一役買っていた。
「で、それが今日の勝負となんの関係があるんだよ!」
早く自分が負けた理由を知りたくて仕方がない様子だった。
「だから焦るなって。
順序があるんだからさ」
優司は依然余裕を保ちつつ、解説を続けた。
「とりあえずこれで、30分じゃまともな閉店作業や開店作業はできないってことがわかったよね?
ってことは、この『シルバー』は台清掃やコイン調整を滅多にしてない可能性が高いってことになる。
となると、台を開けるのは当然、設定変更の時だけってことになるよね?
コイン調整も清掃もしないなら、他に台を開ける理由がないんだから」
「まあ、そうなるだろうな」
「それなら、どの台を開けたのかがわかれば、必然的に設定変更した台がわかるよね?
……そこで登場するのが、コイツだよ」
そう言って優司は、ポケットの中からあるモノを取り出した。
明らかにおかしいだろ?」
各々コインを流して特殊景品を受け取り、ホールの外へ出ると、真鍋は待ちきれない様子で優司に詰め寄った。
動揺しながらまくしたてる真鍋を尻目に、優司は至って冷静だ。
「何もおかしくはないよ。視野を広げれば、誰にだってできることだからさ。
観察力と洞察力の違いだね」
「て、適当なこと言ってんじゃねぇぞっ?
単なる偶然だろ? 偶然でうまいこと勝てたから、それに乗じて適当に言い繕ってるだけだろ!」
「違うって。
どうしてもっていうなら説明してもいいけど。
俺も、単なる偶然で6ツモれただけだと思われてるんじゃ気分悪いし」
「じゃ、じゃあ説明してくれよ!
このままじゃ納得できねぇよ!」
少し間を取ってから、優司はゆっくりと話し出した。
「正直、最初は凄い悩んだよ。
こんな読みにくいホールで打つことなんてあんまりないしね。
適当にサイコロでも振って設定決めてんのかと思ったくらいだから」
「だろ? 本当ここは読めねぇんだから」
「でも、俺は運まかせの勝負は絶対にしない。
何があろうと負けられるような状況じゃないからね。
負けたら1文無しって状況、かなりプレッシャーだよ?」
「……」
「そんなことより早く説明しろって言いたそうだね」
「ああ、もったいぶるなよな!」
「そんなに焦らないでよ」
一呼吸置き、再び優司が言葉を発する。
「まず俺が注目したのは、このホールのバイト募集の張り紙だったんだ」
「バイト募集の張り紙?」
「ああ。知ってるかもしれないけど、普通、ホール店員ってのは営業終了後1時間くらいは閉店作業をするもんなんだよ。
全台の鍵開けをしてコイン調整したり、台清掃したりとかの作業があるから」
「……で?」
「それなのに、見つけたバイト募集の張り紙によると、なぜかこのホールの遅番は勤務時間が23:30までってなってたんだ」
「……」
「見てのとおり、このホールは4階建ての大型ホールでしょ?
この規模のホールで、あの少ない店員の数じゃ、とても30分で閉店作業なんかできるわけないって判断したんだ。
ちなみに、早番も9:30からだったから、通常より30分勤務時間が短い。だから開店作業でも、台を開けることなんてないんだろうなと思った。
一応確認のために、知り合いの元ホール店員に聞いてみたけどね。
この規模のホールであの店員の数しかいないのに、コイン調整やら台清掃やらが30分で終わるのかどうかって」
知り合いのホール店員というのは、ヒデのことだった。
独断に頼らず、周りの詳しい人間に最終確認したこの行為も今回の勝利に一役買っていた。
「で、それが今日の勝負となんの関係があるんだよ!」
早く自分が負けた理由を知りたくて仕方がない様子だった。
「だから焦るなって。
順序があるんだからさ」
優司は依然余裕を保ちつつ、解説を続けた。
「とりあえずこれで、30分じゃまともな閉店作業や開店作業はできないってことがわかったよね?
ってことは、この『シルバー』は台清掃やコイン調整を滅多にしてない可能性が高いってことになる。
となると、台を開けるのは当然、設定変更の時だけってことになるよね?
コイン調整も清掃もしないなら、他に台を開ける理由がないんだから」
「まあ、そうなるだろうな」
「それなら、どの台を開けたのかがわかれば、必然的に設定変更した台がわかるよね?
……そこで登場するのが、コイツだよ」
そう言って優司は、ポケットの中からあるモノを取り出した。
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