ゴーストスロッター

クランキー

文字サイズ
特大
33 / 138
【第3章】

■第33話 : パチスロ勝負、次の相手は……①

「で、小島が話そうとしてたことってなんなの?」

グダグダになっている会話の中に割って入り、優司が小島に水を向けた。

待ってましたとばかりに小島が喋りだす。

「そう! それなんスけど、やべぇ~ッスよ駅前の『ベガス』!
 あのホール、マジ厳しすぎ!
 ちょっとゴールドXで変則押しやってたら、速攻注意されて出玉没収されちゃいましたよ……。
 今度やったら出禁とかも言われたし」

小島の言葉に、日高が意外そうな声を出す。

「へぇ~、あそこのゴールドXってまだ対策されてねーんだ?
 もうとっくに全国的に対策部品が配られてるはずなのにな。
 そもそも、対策版のゴールドXRが今は主流なのによ」

「そうなんスよ!
 理由はよく知らないんスけど、なぜかそのまま置いてあるんですよね。
 しかもまだ攻略法が使えちゃうし。
 で、なんだか懐かしさもあって攻略法を使ってみたんスけど、30分くらいやったとこで主任みたいのが来て、出玉没収ッスよ!
 ったく、だったらさっさとXRに替えろってのに!」

「まあ、名物的なモンにしようとでも思ってそのままにしてんのかもな。
 ほとんど『XR』なのに、ウチだけ『X』ですよ、みたいな。
 もしそうだとしたら、かなりズレた感覚だけど。
 そんなモン、誰も重宝がらねぇっての」



当時、ゴールドXという機種に実際に通用した攻略法。
2003年7月中旬頃に、インターネットで爆発的に広まったものである。

攻略法の内容は、ある一定の手順を踏むことにより地味にコインが増え続ける、というもの。

丸一日行えば、5000枚(等価交換ならば10万円)以上のコインを獲得できたのだ。

ただし、変則押しのペナルティにより、PGG・SGGなどのボーナスの権利はすべて放棄することになる。 

この攻略法は、ネット上に出回ってからわずか二日ほどで終わった。 
シマ閉鎖 or 店員張り付きにより、一切攻略法が使えなくなったのだ。



話は戻る。



「まあ、落ち着きなよ小島」優司が諭すように言う。「今更そんな古臭い攻略法を使おうとした方が悪いんだよ。
 大体、没収されたコインなんてタカが知れてるだろ?
 普通に立ち回って勝ちなって」

「うーん……そりゃそうッスけど……」

「まあいいじゃねえか!
 夏目も来たことだし、そろそろ『あの話』をしようぜ」

日高が小島の話をさえぎり、本題に入ろうとする。

その言葉を聞いた優司は、今までの弛緩した気分がピリリと引き締まった。

「……俺の勝負相手のことだよね?」

「ああ、やっと決まったぜ。
 小島が見つけてきてくれたよ。
 思ったよりも日数かかったよなぁ。すぐ決まると思ってたんだけど、結局3日かかったもんな」

「ホント、気が気じゃなかったよ。
 もし決まらなかったどうしようと思ってさ……。
 相手がいなくちゃ、話にならないしね」

「まあ、気持ちはわかるけどな。
 でも、焦ってもしょうがないんだし、今後はもっとのんびり行こうぜ!
 そうじゃなきゃ、せっかく自由なスロ生活をやってる意味がないだろ?
 こんなこと、限られた期間しかできないんだしさ。
 社会に出て働き出すまで、せめてこの時間を満喫しようぜ!」

「……まあ、そうなんだけどさ。
 とにかく、勝負相手が決まって一安心だよ! 」

「でも夏目君、相手が決まっただけでそんなに安心してる場合じゃないんじゃないッスか?
 負けたら30万ッスよ?
 勝負なんて水物なんだし……」

優司がすぐに切り返す。

「わかってるよ。でも、勝負しなきゃ金は増えないだろ?
 このまま何も動きがなかったらジリ貧なんだ。
 だったら、まずは勝負相手が決まってくれないと困るじゃん」

「ま、まあ確かに……」

「それに、俺は負ける気なんてしないしね。設定読みなら俺が勝つよ。
 大体、負けたら即引退なんだから、やられるわけにもいかないしさ」

自信たっぷりに言い放つ優司。

「夏目君のウデは信用してるッスけど……」

「まあいいじゃん小島!
 それで、俺の勝負相手はどんな感じなの?」

「あ、それなんスけど、次の相手は……」

優司の問いに小島が答えようとするも、日高が口をはさむ。

「ちょっと待った。
 それは後でゆっくりと小島から聞きな。
 先に、いろいろと話しておきたいことがあるんだ。
 俺の中での今日のメインの話はこれだから」

そう言って、ポケットから折り畳まれた地図のようなものを取り出す日高。

「この街でスロ勝負してく、って決めたなら、今以上にこの街について詳しく知っておく必要がある。
 ちょっと前にこの街について説明した時は、なんだか興味なさそうに聞いてやがったしな」

「……ちょっと前に説明した?」

「ああ。お前が遼介と勝負する前だよ。
 軽く話したろ?
 乾とか神崎とかの話」

「……ああ! なんかあったね、そういえば。
 そっかぁ、興味なさそうにしてるのバレてたのか。ははは……」

「バレバレだよ」

日高は、呆れたように笑った。
バツが悪そうに頭を掻いた後、ぺこりと頭を下げる優司。

「わ、悪かったよ……。
 でも、今回は真剣に聞くから! いろいろ教えてよ!」

「ハッ! 現金なヤツだな」

日高は、再び呆れたように笑った。
しかし、それでいてどこか楽しそうでもあった。
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数:9,943
女風体験記〜今話題の女性用風俗に行ってきたので感想載せます〜 表紙

女風体験記〜今話題の女性用風俗に行ってきたので感想載せます〜

女風に行った感想書いちゃうよ! (あくまでも私が体験したことです。全てのセラピスト様が同じ様な施術をしてるわけでは無いと思います。)
恋愛 完結 短編
文字数:10,166
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか... 表紙

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。
青春 完結 短編
文字数:11,294
還暦の性 若い彼との恋愛模様 表紙

還暦の性 若い彼との恋愛模様

還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話
恋愛 完結 短編
文字数:12,614
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち 表紙

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ライト文芸 完結 短編 R15
文字数:14,350
百合ランジェリーカフェにようこそ! 表紙

百合ランジェリーカフェにようこそ!

 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
青春 連載中 長編 R15
文字数:59,023
【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた― 表紙

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。
恋愛 完結 長編 R15
文字数:61,253
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日- 表紙

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿
歴史・時代 完結 長編
文字数:152,483