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【第5章(最終章)】
■第131話 : 6否定
「いらっしゃいませいらっしゃいませっ!
さぁ本日も、当ホール『ミラクル』へお越しいただき、誠にありがとうございますっ!
さぁただいまから、設定発表の方を始めさせていただきますっ!」
店内の音楽が変わると同時に、けたたましいマイク放送が始まった。
時刻は16:00。
つまり、優司が台を選んでからは45分後、神崎が台を選んでからは30分後。
双方とも、かなりギリギリのタイミングだった。
「ひ、広瀬さん! もう始まりましたよ設定発表!
昼の3時から夜の10時までの間とは聞いてましたけど、まさか本当にこんな早くやるなんて」
「それが『ミラクル』クオリティだよ。普通だったらもっと引っ張るよなぁ?」
「本当ですよ! このホールは商売をなんだと思ってんですかね?」
「税金対策の店、なんて噂もあるけどな。
もしくは、あえてこういう時間に発表すんのもプロモーションの一つだと思ってるのかもね。
……そんなことはいいから、とりあえずチェックに行くぞ。俺はカイジのシマを見とく。伊藤は銭形を見といてくれ」
「はい!」
伊藤は、すぐに銭形のシマまで歩いていった。
広瀬は、元々いたカイジの154番台の後ろあたりに居続けた。
カイジの161番台で黙々と稼動を続ける神崎の姿を見ながら、広瀬は思った。
(いよいよ発表か。
神崎はなんであの台を選んだんだろう? 皆目検討がつかない。
でも、選んだ時のあの表情、やぶれかぶれで選んだわけでもなさそうだ。何かを掴んで、強い根拠に基づいて座ってた。実際、ついさっき245Gで当たってたし。設定6なら濃いところだ。
でも、ほとんど稼動がなかったあんなノーヒントの状況からなんであの台を……。くそっ、わからない……)
パチスロに関しては一家言ある広瀬。
そんな自分が、神崎の思惑を全く推測できないことに情けなさと苛立ちを感じていた。
優司の台選びには、それほどまで違和感はなかった。
前日のボーナス履歴が良く、今日も良い感じで当たっている。
この報告を伊藤から聞き、据え置きというヒントも併せて考えればおかしな台選択ではない。
しかし、神崎の台選びには全く納得できる部分がない。
前日に設定発表された台でもなく、今日のボーナス履歴についても稼動がないからなんら参考にならない状態。
なぜこんな台に自信を持って座れるのか。
微塵も納得がいかず、つい苛立ちすら感じてしまったのだ。
(あの神崎が土壇場で選んだ台だ。何か意味があるはず。
でも、その意味ってのは一体何なんだ……?
……まあいい。まずはこの設定発表だ。どっちに6の札が刺さるのか。それとも両方刺さるのか、両方とも刺さらないのか。
この店は、イベントの時なら6の台には必ず札が刺さる。曖昧な結果にはならない)
広瀬は、夢夢ワールドDXから設定札を刺して回っている店員の動きを凝視していた。
◇◇◇◇◇◇
(来たっ……いよいよ銭形コーナーの設定発表だ)
自分の台の稼動などそっちのけで、夢夢コーナーと北斗コーナーの設定発表を注視していた優司。
当然、設定6と発表された台は昨日6だった台ではなかった。
しかし、夢夢も北斗も、2台ずつ設定6の台が発表された。
(やっぱ設定6の台は増えてるんだな。それなら、据え置きにしろ何かトリッキーな罠があったにしろ、俺の台が6の可能性は相当高い。俺の台も、まだ1時間も稼動してないけど、3G連抜きで既に3回ボーナスを引いてる。もちろん565Gはまだ超えてない。
へへ、なんか久々にまともに引けてるな。そうこなくっちゃ!
こんなに順調なんだし、このシマに2台も6があるとすればもらったようなモンだ! さぁ来い!)
優司は、半ばわくわくしながら設定発表を待っていた。
(それにしても……神崎はなんであんな台に座ってるんだ? 全然稼動もなく、前日の設定だってわからないような台に……」
神崎の思惑がわからずに混乱する優司。
「続きまして、銭形コーナーの設定発表に移らせていただきますっ!」
そうこうしているうちに、設定札を刺して回っている店員がいよいよ銭形のシマへ体を向けた。
優司が座る147番台は、シマの右から3番目。
シマの位置上、右ハジ台である145番台から発表が行なわれるので、優司の台が6ならば早めに発表となる。
神崎の台選びについて意識がいっていた優司だが、そんな意識は一瞬で吹っ飛び、店員の一挙手一投足に目を奪われた。
そして店員は、設定の書かれた紙を見ながらマイクに向かって声を送り込む。
「それでは発表させていただきます!
銭形コーナー、本日設定6の台はっ……145番台っ! おめでとうございますっ!」
設定6確定の札が刺さったのは、全く眼中になかった右ハジ台である145番台だった。
(はっ……? う、嘘でしょ……? なんであの台……? 2000Gくらいしか稼動してないのに、もう565Gを2回も超えてるんだぞ……?)」
困惑する優司。
しかし、すぐに気を取り直した。
(いや、落ち着け俺。あの台がどうだったかなんてどうでもいい。それよりも、俺の台がどうなのか、だ。
夢夢と北斗を見る限り、6は各シマに2台。あと1台が俺の台ならなんの問題もないんだ。
大丈夫だ……大丈夫なはずだ……)
必死で自分を勇気付けていた優司。
しかし次の瞬間、その行為が全く無駄だったということを否応なく思い知らされた。
「銭形コーナーの発表は以上ですっ! 続きまして、吉宗コーナーの設定発表に入りますっ!」
優司の視界には、一瞬で深い闇が舞い降りた。
◇◇◇◇◇◇
(やっぱり145番台が6だったか)
銭形の設定発表が始まる直前から、中央通路側にて銭形のシマの様子を静かに窺っていた神崎。
自分の予想が正しかったことを確認し、ゆっくりとカイジのシマへ戻っていった。
(ということは……もう勝負は終わったな。あとは……勝負後の夏目のことだ。土屋がどう出てくるか……。あと、吉田がどう動いてくるのか……)
神崎は、すでに自分の台が6だと発表されることを確信していた。
さぁ本日も、当ホール『ミラクル』へお越しいただき、誠にありがとうございますっ!
さぁただいまから、設定発表の方を始めさせていただきますっ!」
店内の音楽が変わると同時に、けたたましいマイク放送が始まった。
時刻は16:00。
つまり、優司が台を選んでからは45分後、神崎が台を選んでからは30分後。
双方とも、かなりギリギリのタイミングだった。
「ひ、広瀬さん! もう始まりましたよ設定発表!
昼の3時から夜の10時までの間とは聞いてましたけど、まさか本当にこんな早くやるなんて」
「それが『ミラクル』クオリティだよ。普通だったらもっと引っ張るよなぁ?」
「本当ですよ! このホールは商売をなんだと思ってんですかね?」
「税金対策の店、なんて噂もあるけどな。
もしくは、あえてこういう時間に発表すんのもプロモーションの一つだと思ってるのかもね。
……そんなことはいいから、とりあえずチェックに行くぞ。俺はカイジのシマを見とく。伊藤は銭形を見といてくれ」
「はい!」
伊藤は、すぐに銭形のシマまで歩いていった。
広瀬は、元々いたカイジの154番台の後ろあたりに居続けた。
カイジの161番台で黙々と稼動を続ける神崎の姿を見ながら、広瀬は思った。
(いよいよ発表か。
神崎はなんであの台を選んだんだろう? 皆目検討がつかない。
でも、選んだ時のあの表情、やぶれかぶれで選んだわけでもなさそうだ。何かを掴んで、強い根拠に基づいて座ってた。実際、ついさっき245Gで当たってたし。設定6なら濃いところだ。
でも、ほとんど稼動がなかったあんなノーヒントの状況からなんであの台を……。くそっ、わからない……)
パチスロに関しては一家言ある広瀬。
そんな自分が、神崎の思惑を全く推測できないことに情けなさと苛立ちを感じていた。
優司の台選びには、それほどまで違和感はなかった。
前日のボーナス履歴が良く、今日も良い感じで当たっている。
この報告を伊藤から聞き、据え置きというヒントも併せて考えればおかしな台選択ではない。
しかし、神崎の台選びには全く納得できる部分がない。
前日に設定発表された台でもなく、今日のボーナス履歴についても稼動がないからなんら参考にならない状態。
なぜこんな台に自信を持って座れるのか。
微塵も納得がいかず、つい苛立ちすら感じてしまったのだ。
(あの神崎が土壇場で選んだ台だ。何か意味があるはず。
でも、その意味ってのは一体何なんだ……?
……まあいい。まずはこの設定発表だ。どっちに6の札が刺さるのか。それとも両方刺さるのか、両方とも刺さらないのか。
この店は、イベントの時なら6の台には必ず札が刺さる。曖昧な結果にはならない)
広瀬は、夢夢ワールドDXから設定札を刺して回っている店員の動きを凝視していた。
◇◇◇◇◇◇
(来たっ……いよいよ銭形コーナーの設定発表だ)
自分の台の稼動などそっちのけで、夢夢コーナーと北斗コーナーの設定発表を注視していた優司。
当然、設定6と発表された台は昨日6だった台ではなかった。
しかし、夢夢も北斗も、2台ずつ設定6の台が発表された。
(やっぱ設定6の台は増えてるんだな。それなら、据え置きにしろ何かトリッキーな罠があったにしろ、俺の台が6の可能性は相当高い。俺の台も、まだ1時間も稼動してないけど、3G連抜きで既に3回ボーナスを引いてる。もちろん565Gはまだ超えてない。
へへ、なんか久々にまともに引けてるな。そうこなくっちゃ!
こんなに順調なんだし、このシマに2台も6があるとすればもらったようなモンだ! さぁ来い!)
優司は、半ばわくわくしながら設定発表を待っていた。
(それにしても……神崎はなんであんな台に座ってるんだ? 全然稼動もなく、前日の設定だってわからないような台に……」
神崎の思惑がわからずに混乱する優司。
「続きまして、銭形コーナーの設定発表に移らせていただきますっ!」
そうこうしているうちに、設定札を刺して回っている店員がいよいよ銭形のシマへ体を向けた。
優司が座る147番台は、シマの右から3番目。
シマの位置上、右ハジ台である145番台から発表が行なわれるので、優司の台が6ならば早めに発表となる。
神崎の台選びについて意識がいっていた優司だが、そんな意識は一瞬で吹っ飛び、店員の一挙手一投足に目を奪われた。
そして店員は、設定の書かれた紙を見ながらマイクに向かって声を送り込む。
「それでは発表させていただきます!
銭形コーナー、本日設定6の台はっ……145番台っ! おめでとうございますっ!」
設定6確定の札が刺さったのは、全く眼中になかった右ハジ台である145番台だった。
(はっ……? う、嘘でしょ……? なんであの台……? 2000Gくらいしか稼動してないのに、もう565Gを2回も超えてるんだぞ……?)」
困惑する優司。
しかし、すぐに気を取り直した。
(いや、落ち着け俺。あの台がどうだったかなんてどうでもいい。それよりも、俺の台がどうなのか、だ。
夢夢と北斗を見る限り、6は各シマに2台。あと1台が俺の台ならなんの問題もないんだ。
大丈夫だ……大丈夫なはずだ……)
必死で自分を勇気付けていた優司。
しかし次の瞬間、その行為が全く無駄だったということを否応なく思い知らされた。
「銭形コーナーの発表は以上ですっ! 続きまして、吉宗コーナーの設定発表に入りますっ!」
優司の視界には、一瞬で深い闇が舞い降りた。
◇◇◇◇◇◇
(やっぱり145番台が6だったか)
銭形の設定発表が始まる直前から、中央通路側にて銭形のシマの様子を静かに窺っていた神崎。
自分の予想が正しかったことを確認し、ゆっくりとカイジのシマへ戻っていった。
(ということは……もう勝負は終わったな。あとは……勝負後の夏目のことだ。土屋がどう出てくるか……。あと、吉田がどう動いてくるのか……)
神崎は、すでに自分の台が6だと発表されることを確信していた。
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