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ミニ番外編
閑話 魔法のティアラ(ノエル・リズム)
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とある平和な昼下がり。
メロディ・ブレゲは娘のリズムとノエルを連れて公園へとピクニックに来ていた。
メロディお手製のサンドウィッチやローストポーク、焼き菓子や色とりどりのフルーツのランチをたらふく食べたノエルとリズムは、公園の花畑へと移動してそこで遊んでいた。
リズムは綺麗な花でティアラを作るのだと張り切っていて、ノエルもリズムに釣られてティアラ制作に意欲を見せていたのだが、ほどなくしてリズムだけが一人でレジャーシートの上でゴロ寝をしているメロディの元へと戻ってきた。
ご機嫌ナナメで頬を膨らませる娘に、メロディは問いかける。
「アラ?リズム一人?ノエルたんはどーしたの?」
「ノエルなんてしらない!」
いつもノエルの突拍子もない行動に呆れながらも付き合っているリズムが珍しく怒っている。
「まぁ珍し。喧嘩でもした?」
「だって!ふたりできれいな、おはなのティアラをつくって“こうかんこ”しようっていってたのに。ノエルってばへんなおはなばっかりえらぶんだもん!」
「花で作ったティアラの“交換こ”をしたかったのネ?それで?変な花って、ノエルたんはどんな花を選んだワケ?」
「……しらない!なんかじみなのばっかり。リズムはノエルのためにカワイイおはなをえらんでるのに……」
「アラまぁ、要するにノエルたんが作ったお花のティアラが気に入らなかったのネ」
「だって、ノエルってば“これもおいしい”“あれもおいしい”ってそんなことばっかりいってつくってるんだもん!」
「おやおや……?まぁでもどうしてその草花を選んだのか、本人に聞いてみるのが一番だと思うわヨ?」
そう言ってメロディが何かを見ているのに気付いたリズムは同じようにそちらへと視線を向ける。
「……ノエル」
そこには自分で作ったティアラを持ってぽつんと立つノエルが居た。
「リズムぅぅ……」
ノエルは半べそをかきながらリズムの名を呼んだ。
メロディがノエルの持つティアラを見る。
それは確かに小さな女の子が喜ぶような花ではなく、どちらかというと地味な印象のティアラだった。
大人の観点からするとそれはそれで素朴で味わいがあると思うのだが。
ノエルはメソメソしながらリズムに言う。
「ごめんねリズムぅ……つぎはちゃんとカワイイのつくるからっ……ごめんねぇ……」
「ノエル……」
ノエルの悲しそうな涙を見て、リズムはすっかり怒りがおさまってしまったようだ。
今度は気まずそうに、そして気遣わしげにノエルを見ていた。
だけどプンスコと怒ってしまった手前、すぐに素直にはなれないのだろう。
メロディはリズムの手を引いてノエルの元へと行った。
そして腰を下ろして目線を合わせ、ノエルに訊いた。
「ノエルたんはなぜそのお花を選んだのかしら?」
ノエルチョイスのティアラの草花を見て、メロディにはもう凡その見当はついていた。
ノエルはティアラに視線を落としながらぽつりぽつりと言う。
「だって……リズムのゴホンゴホンのおくすりになるし、ボイルしたサラダがおいしいから……」
「え?」
ノエルの言葉を聞き、リズムはティアラを見る。
メロディはノエルからティアラを受け取り、リズムに見せた。
「リズム、見てごらんなさいな。このティアラ……ハハコグサ、オオバコ、ハコベ、タンポポ、スギナ、アカツメクサで作られているワ。どれも薬効があって、リズムの喘息にイイものばっかり♡」
「え……」
じつはリズムは小児喘息を患っているのだ。
リズムは驚いた表情を浮かべてノエルを見た。
ノエルは俯きながら言う。
「おちゃにしてのんでもいいってママが……」
「フフ、ハノンらしい。ちゃんとそーいうコトを子供に教えてンのネ。そう、それにアタシたち魔法薬剤師はこれらの植物を原材料に魔法薬を作るコトも多いのヨ。リズムがいつも服用してる喘息のお薬もハハコグサやオオバコから魔法で薬効成分を抽出してンのヨ♡」
「わたしのおくすりも……」
「リズムをゴホンゴホンからまもる、まほうのティアラなの……」
ノエルはそう言ってティアラをぎゅっと握りしめた。
その様子をじっと見つめるリズムの背中を、メロディはツンとつついた。
リズムはメロディを見上げる。
優しく微笑みウィンクをバチン☆とした母を見て、リズムはこくんと頷いた。
そしてノエルが手にしているティアラを自分の頭にのせた。
ノエルはびっくりした表情を浮かべてリズムを見る。
「リズム……?」
「ノエル、ごめん……せっかくノエルがつくってくれたティアラをへんだとかかわいくないとかいって……」
「リズムぅ……」
「ノエルだいすき。ノエルがつくってくれたこのティアラもだいすき」
そう言って微笑んだリズムに、ノエルは泣きながら抱きついた。
「ふぇ~ん……リズムぅぅ~!」
「ごめんねノエル」
「ノエルもリズムがだいしゅきぃぃ~~!」
おんおんと泣きながら愛の告白をするノエルを、リズムは優しく抱きしめる。
「ウフ♡おチビの抱擁♡キュンキュンするわネ」
メロディは満足そうにその光景を眺めていた。
リズムは帰宅後、そのティアラを写真に収め、そしてティアラの草花をお茶にしてもらって飲んだ。
そのお茶は乾燥させて煎じても青臭く苦かったが、リズムが言う事にはノエルの気持ちが込められていると思うと何故か甘く感じた……らしい。
そしてメロディはその抽出した成分から喘息の魔法薬を精製したのだ。
その精製過程を初めて間近で見たリズム。
これを機にリズムは魔法薬に興味を抱き、将来は母のような魔法薬剤師となることを夢見たのであった。
────────────────────
メロディにとって、
オネェの弟子はカメちゃんだけど魔法薬剤師としての弟子は娘のリズムなのでした。
メロディ・ブレゲは娘のリズムとノエルを連れて公園へとピクニックに来ていた。
メロディお手製のサンドウィッチやローストポーク、焼き菓子や色とりどりのフルーツのランチをたらふく食べたノエルとリズムは、公園の花畑へと移動してそこで遊んでいた。
リズムは綺麗な花でティアラを作るのだと張り切っていて、ノエルもリズムに釣られてティアラ制作に意欲を見せていたのだが、ほどなくしてリズムだけが一人でレジャーシートの上でゴロ寝をしているメロディの元へと戻ってきた。
ご機嫌ナナメで頬を膨らませる娘に、メロディは問いかける。
「アラ?リズム一人?ノエルたんはどーしたの?」
「ノエルなんてしらない!」
いつもノエルの突拍子もない行動に呆れながらも付き合っているリズムが珍しく怒っている。
「まぁ珍し。喧嘩でもした?」
「だって!ふたりできれいな、おはなのティアラをつくって“こうかんこ”しようっていってたのに。ノエルってばへんなおはなばっかりえらぶんだもん!」
「花で作ったティアラの“交換こ”をしたかったのネ?それで?変な花って、ノエルたんはどんな花を選んだワケ?」
「……しらない!なんかじみなのばっかり。リズムはノエルのためにカワイイおはなをえらんでるのに……」
「アラまぁ、要するにノエルたんが作ったお花のティアラが気に入らなかったのネ」
「だって、ノエルってば“これもおいしい”“あれもおいしい”ってそんなことばっかりいってつくってるんだもん!」
「おやおや……?まぁでもどうしてその草花を選んだのか、本人に聞いてみるのが一番だと思うわヨ?」
そう言ってメロディが何かを見ているのに気付いたリズムは同じようにそちらへと視線を向ける。
「……ノエル」
そこには自分で作ったティアラを持ってぽつんと立つノエルが居た。
「リズムぅぅ……」
ノエルは半べそをかきながらリズムの名を呼んだ。
メロディがノエルの持つティアラを見る。
それは確かに小さな女の子が喜ぶような花ではなく、どちらかというと地味な印象のティアラだった。
大人の観点からするとそれはそれで素朴で味わいがあると思うのだが。
ノエルはメソメソしながらリズムに言う。
「ごめんねリズムぅ……つぎはちゃんとカワイイのつくるからっ……ごめんねぇ……」
「ノエル……」
ノエルの悲しそうな涙を見て、リズムはすっかり怒りがおさまってしまったようだ。
今度は気まずそうに、そして気遣わしげにノエルを見ていた。
だけどプンスコと怒ってしまった手前、すぐに素直にはなれないのだろう。
メロディはリズムの手を引いてノエルの元へと行った。
そして腰を下ろして目線を合わせ、ノエルに訊いた。
「ノエルたんはなぜそのお花を選んだのかしら?」
ノエルチョイスのティアラの草花を見て、メロディにはもう凡その見当はついていた。
ノエルはティアラに視線を落としながらぽつりぽつりと言う。
「だって……リズムのゴホンゴホンのおくすりになるし、ボイルしたサラダがおいしいから……」
「え?」
ノエルの言葉を聞き、リズムはティアラを見る。
メロディはノエルからティアラを受け取り、リズムに見せた。
「リズム、見てごらんなさいな。このティアラ……ハハコグサ、オオバコ、ハコベ、タンポポ、スギナ、アカツメクサで作られているワ。どれも薬効があって、リズムの喘息にイイものばっかり♡」
「え……」
じつはリズムは小児喘息を患っているのだ。
リズムは驚いた表情を浮かべてノエルを見た。
ノエルは俯きながら言う。
「おちゃにしてのんでもいいってママが……」
「フフ、ハノンらしい。ちゃんとそーいうコトを子供に教えてンのネ。そう、それにアタシたち魔法薬剤師はこれらの植物を原材料に魔法薬を作るコトも多いのヨ。リズムがいつも服用してる喘息のお薬もハハコグサやオオバコから魔法で薬効成分を抽出してンのヨ♡」
「わたしのおくすりも……」
「リズムをゴホンゴホンからまもる、まほうのティアラなの……」
ノエルはそう言ってティアラをぎゅっと握りしめた。
その様子をじっと見つめるリズムの背中を、メロディはツンとつついた。
リズムはメロディを見上げる。
優しく微笑みウィンクをバチン☆とした母を見て、リズムはこくんと頷いた。
そしてノエルが手にしているティアラを自分の頭にのせた。
ノエルはびっくりした表情を浮かべてリズムを見る。
「リズム……?」
「ノエル、ごめん……せっかくノエルがつくってくれたティアラをへんだとかかわいくないとかいって……」
「リズムぅ……」
「ノエルだいすき。ノエルがつくってくれたこのティアラもだいすき」
そう言って微笑んだリズムに、ノエルは泣きながら抱きついた。
「ふぇ~ん……リズムぅぅ~!」
「ごめんねノエル」
「ノエルもリズムがだいしゅきぃぃ~~!」
おんおんと泣きながら愛の告白をするノエルを、リズムは優しく抱きしめる。
「ウフ♡おチビの抱擁♡キュンキュンするわネ」
メロディは満足そうにその光景を眺めていた。
リズムは帰宅後、そのティアラを写真に収め、そしてティアラの草花をお茶にしてもらって飲んだ。
そのお茶は乾燥させて煎じても青臭く苦かったが、リズムが言う事にはノエルの気持ちが込められていると思うと何故か甘く感じた……らしい。
そしてメロディはその抽出した成分から喘息の魔法薬を精製したのだ。
その精製過程を初めて間近で見たリズム。
これを機にリズムは魔法薬に興味を抱き、将来は母のような魔法薬剤師となることを夢見たのであった。
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メロディにとって、
オネェの弟子はカメちゃんだけど魔法薬剤師としての弟子は娘のリズムなのでした。
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