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ミニ番外編
簡単更新 小さな主君
三年の任期を終え、近衛騎士として王宮に戻ってきたルシアン。
お粗末な嫌がらせを受けていたミシェルと共にポレットの私室へと訪った。
正式な辞令は出ているものの出仕開始日は明後日なので、今日は個人的な面会となる。
「お兄様!」
入室したルシアンを見るなり、ポレットは顔を綻ばせてルシアンの元へと飛び込む勢いで駆け寄った。
ルシアンは優しい笑みをポレットに向けながら言う。
「そんなに急いで、転んだらどうするんだ」
「転びそうになったらお兄様が助けてくれるもの。小さな頃からそうだったでしょう?」
「それはもちろん」
「ふふ」
夫であるデイビッドからの寵愛と、嫡男を産んだ事により妃の座を盤石なものとしているポレットだが、ワイズ家の家族の前ではただのポレットに、兄が大好きな妹に戻るのだ。
「そしてこれからは、シルヴェストを守ってくれるのね」
そう言ったポレットがベビーベッドで眠る我が子を見た。
ルシアンもそれに倣い生後間もない未来の君主へと視線を向けた。
これからルシアンが命を賭して守る主君であるシルヴェストへと。
「さっきお乳を飲んで眠ったばかりなの。よく眠る子だから一度眠ったらなかなか起きないのよ。雷が鳴っても平気で眠っているわ」
「豪胆な子だな。ワイズのお祖父様に似たんだな」
「ふふふ。側でよく顔を見てあげて」
ポレットに促され、ルシアンは静かに甥っ子の元へと歩み寄る。
その健やかな寝顔を見て、自然と顔が綻ぶ。
「可愛いな……。そして驚くほどデイビッド殿下にそっくりだ」
「そうなの。髪色も面立ちも笑っちゃうくらいにデイ様にそっくりなの。……でもね、」
そう言ったポレットの、母親の声に反応したのか、眠っているはずのシルヴェストの瞼がゆっくりと開いた。
「……わぁ……!」
生後間もない甥の瞳を見たルシアンが静かに感嘆の声を漏らす。
赤ん坊独特の、澄んだ青白い白目の真ん中に据わるその虹彩は、ワイズの血が流れる証である真緋色であった。
シルヴェストの瞳とルシアンの瞳、ふたつの赤い瞳の視線が重なり合う。
まだ視力が未熟であろうシルヴェストが一心にルシアンを見つめている。
ルシアンはそっとその小さな手に触れ、大きな両の手で包み込んだ。
そしてそのままその場に跪く。
「シルヴェスト殿下、お初にお目にかかります。
私の名はルシアン・ワイズ。貴方の伯父であり、貴方に生涯剣を捧げる者です。以後、お見知り置きを」
ルシアンが小さな主君と邂逅し、そして忠誠を誓った瞬間であった。
お粗末な嫌がらせを受けていたミシェルと共にポレットの私室へと訪った。
正式な辞令は出ているものの出仕開始日は明後日なので、今日は個人的な面会となる。
「お兄様!」
入室したルシアンを見るなり、ポレットは顔を綻ばせてルシアンの元へと飛び込む勢いで駆け寄った。
ルシアンは優しい笑みをポレットに向けながら言う。
「そんなに急いで、転んだらどうするんだ」
「転びそうになったらお兄様が助けてくれるもの。小さな頃からそうだったでしょう?」
「それはもちろん」
「ふふ」
夫であるデイビッドからの寵愛と、嫡男を産んだ事により妃の座を盤石なものとしているポレットだが、ワイズ家の家族の前ではただのポレットに、兄が大好きな妹に戻るのだ。
「そしてこれからは、シルヴェストを守ってくれるのね」
そう言ったポレットがベビーベッドで眠る我が子を見た。
ルシアンもそれに倣い生後間もない未来の君主へと視線を向けた。
これからルシアンが命を賭して守る主君であるシルヴェストへと。
「さっきお乳を飲んで眠ったばかりなの。よく眠る子だから一度眠ったらなかなか起きないのよ。雷が鳴っても平気で眠っているわ」
「豪胆な子だな。ワイズのお祖父様に似たんだな」
「ふふふ。側でよく顔を見てあげて」
ポレットに促され、ルシアンは静かに甥っ子の元へと歩み寄る。
その健やかな寝顔を見て、自然と顔が綻ぶ。
「可愛いな……。そして驚くほどデイビッド殿下にそっくりだ」
「そうなの。髪色も面立ちも笑っちゃうくらいにデイ様にそっくりなの。……でもね、」
そう言ったポレットの、母親の声に反応したのか、眠っているはずのシルヴェストの瞼がゆっくりと開いた。
「……わぁ……!」
生後間もない甥の瞳を見たルシアンが静かに感嘆の声を漏らす。
赤ん坊独特の、澄んだ青白い白目の真ん中に据わるその虹彩は、ワイズの血が流れる証である真緋色であった。
シルヴェストの瞳とルシアンの瞳、ふたつの赤い瞳の視線が重なり合う。
まだ視力が未熟であろうシルヴェストが一心にルシアンを見つめている。
ルシアンはそっとその小さな手に触れ、大きな両の手で包み込んだ。
そしてそのままその場に跪く。
「シルヴェスト殿下、お初にお目にかかります。
私の名はルシアン・ワイズ。貴方の伯父であり、貴方に生涯剣を捧げる者です。以後、お見知り置きを」
ルシアンが小さな主君と邂逅し、そして忠誠を誓った瞬間であった。
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