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プロローグ ハルさんが好き
しおりを挟むハルさんが好き。
大好き。
まずお顔が好き。
ハルさんは万人受けする美青年ではないけれど、すっきりとした端正な顔立ちをしているの。
そして髪が好き。
黒に近い濃紺の艶々でサラサラな髪。
前髪の長さも襟足も、丁度いい長さなのがこれまた好き。
(わたしがわたし好みに散髪してるから当たり前だけど)
低くめで落ち着いた声も好き。
あの声で「ミルル」と呼ばれると、体の芯から蕩けてふにゃりとなる。
それから背が高いところや魔術師資格を持ってるところや力持ちなところが好き。
優しくて穏やかで思いやりがあって、真面目で誠実でひょうきんで可愛い。
そんな性格が大好き。
あと瞳ね。
あの澄んだ深緑の瞳で見つめられると恥ずかしさと嬉しさでもじもじしてしまうわ。
でも……やっぱり一番好きなのは手。
大きくてちょっと硬めで、指が長くて温かい。
そう、その温かな手が何よりも好きなの。
いつもわたしの手をすっぽりと優しく包み込んでくれる、
ハルさんのその温かな手が本当に大好き。
もう涙が出てくるくらい。
いずれはこの温かな手を離さなくてはならないと分かっているから余計に泣けてくる。
でももう少し。
もう少しだけこの温かな手をわたしに貸していて下さい。
そうしたら一人で歩いてゆけるから。
少し引き摺るような歩き方でも関係ない。
力強く歩いてゆけるから。
ハルさんが人生をやり直して本当に好きな人と一緒になれる、
そう出来るようにするから……
だから、
だからもう少しだけ、わたしの手を握っていて。
ハルさん、
可哀想なわたしの旦那さま。
でもわたしはハルさんが好き。
大好き。
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夜に投稿を始めようと思いましたが、まずはプロローグを。
よろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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