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プロローグ セフ令嬢は引き際をわきまえている
しおりを挟む始まりはただの勢いだった。
女性文官と若い騎士の合コンで知り合い、お酒に酔った勢いに任せて肌を重ねた。
二度目はなんとなく偶然が重なって。
一度寝た相手の事が気になって、それとなしに知り合いに聞いて知った彼の過去に同情したのもあると思う。
三度目からは、とくに理由なんてなかった。
もう二度も寝たのだからとなし崩しに関係が始まった感じだった。
きっかけがきっかけだったので好いた惚れたもなく始まった私たちの関係。
同僚でも友人でも恋人でもないこの体だけの関係を世の中はセフレと呼ぶらしい。
だから私たちはセフレ同士。
彼は平民騎士で、私は黙っているけど一応男爵家の令嬢だ。
……イケメン騎士ハッシュ=ダルトンのセフレになったセフ令嬢……ぷっ。
オープンにするのは少し憚られるこの関係。
互いのタイミングが合ったら逢瀬を重ねる関係が始まって一年半。
ハッシュはどうか知らないけど、私は彼に堕ちていた。
私なんてただのセフ令嬢なのに、優しくて素敵な彼の事をいつしか好きになってしまっていたのだ。
ハッシュは私の事をどう思っているのだろう。
知りたい。
知りたいけど知るのが怖い。
この関係が壊れるのが何より嫌だった。
だけどそれを確かめる前に、どうやらこの関係に終わりを告げる時が近付いている事に気付いてしまう。
ハッシュの周りにチラほらとチラつく女の影。
一度目は“香り”で、二度目は実際にその女性の存在を認識してからはもう、彼との関係に継続の希望は見出せなかった。
所詮私はセフ令嬢。
オーケィ大丈夫、引き際はわきまえている。
泣いて縋って見苦しい醜態を晒す前に、
この胸の痛みで呼吸が止まってしまう前に、
彼の前から消えましょう。
心配しないで、
セフ令嬢は引き際はわきまえているつもりだから。
だから、
あなたまで私の事なんて要らないとは言わないで欲しい……。
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作者の体調不良をお気遣いくださり、誠にありがとうございます。
(〃ω〃)ヤサシイ…
無理せずぼちぼち投稿してまいりますね。
更新は基本夜。
体調次第で朝の更新もあったりすると思います。
よろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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