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負けたくない……!
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「じゃかましいわこのゲス野郎がっ!!ウチの旦那をアンタらみたいな腐れ外道と一緒にしさらすなっ!このドあほぅがっ!!そのキモいドタマかち割って腐った脳ミソお天道さんにコンニチワさせたろかゴラァッ!!」
幼い頃から執拗に虐められていた相手、従兄のゲランに植え付けられたトラウマを克服してそう告げたジゼル。
小さく怯え、息を潜めて耐えるしか出来なかったジゼルが前世の記憶と、共に生活する内に芽生えたクロードへの温かな気持ちがジゼルに力を与えたのだ。
突然人が変わったように反撃してきたジゼルをゲランは面食らった様子で見ている。
ジゼルはなおも目の前の最低最悪の男に向かって言い放った。
「なに鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しとんねんこのボケナスが。相変わらず弱いもの虐めしか出来へんのやろ?昔っから強いもんにはヘコヘコして自分より弱いもんには威張り散らしとったもんなぁ?ぷっ!ダサっ!カッコわる!」
「な、な、なんだよお前っ……?急に別人みたいになりやがって……!そ、それにその話し方はなんなんだよっ?ど、どうしていきなり変わったんだよっ?」
人格だけでなく話し方まで激変したジゼルにゲランは分かりやすく狼狽えた。
「ウチがどー変わろうとアンタには関係あらへんやろ゛。この際やからハッキリ言わせて貰うわ、ウチは心っ底アンタら家族のことが大嫌いやっ!コレを機に一切の縁を切らせてもらうから。二度とその小汚い顔を見せんといて!」
「っな?……なっ?……なんだとっ?」
「ほんまやったら今まで散々虐められた礼に釘バットでボコボコにどつき回してやりたいところやけど、そんなんでウチがブタ箱に入れられるなんてアホらしすぎるわ」
「は?釘バット?ブタ箱?」
「とにかくっ!」
ジゼルは鍋を小脇に抱え、ビシィッと指を突き出してゲランに告げた。
「アンタらとはもう絶縁や!他人や!金・輪・際、関わるつもりはないっ、ウチの周り半径十メートル以内にその水虫だらけのクッサイ足で踏み込んだら、ストーカー被害と猥褻物陳列罪で自警団に通報するから覚悟せぇやっ!」
「なっ……?っな……?なにっ?」
ジゼルは爽快だった。
声さえ出てしまえば、するすると今まで言ってやりたかった言葉が出てくる。
ゲランは本来気の小さい男だ。
それを隠すために、または鬱憤晴らしのために立場の弱いジゼルを虐めていただけに過ぎない。
どうして今までこんな矮小で短小な(いやほんまは知らんけど)男が怖かったのだろう。
「ふん、ゴミくそがっ」
ジゼルは清々しながら、口を開けたまま呆然として立つゲランの横を通り過ぎようとした。
が、ジゼルの反撃に遭い、訳が分からず戸惑うばかりであったゲランがハッと我に返り、ジゼルの肩を掴んで引き止める。
「言わせておけばっ!待てジゼルっ!!」
「っ……汚い手で触んらんといてっ!」
「なっ!生意気なんだよジゼルのくせにっ!絶縁だぁ?そんなこと親父が許すわけねぇだろがっ!」
「許すも許さんもウチはもう成人した上に結婚もしてる身ぃや!叔父さんの許しなんかもらわんでもこちらから縁切り出来るんやっ!」
ゲランが強い力で肩を引き、高圧的に言ってもジゼルは少しも怯むことなくそう返した。
そんなジゼルに苛立ちが頂点になったゲランが乱暴にジゼルの細い手首を掴む。
「あっ!」
その拍子に修理が終わったばかりの鍋がガシャンと派手な音を立てて転がり落ちた。
そんな横暴なゲランの態度に怒りを覚えたジゼルが、掴まれた手首を奪い返そうとしながら言い放つ。
「このアホんだらボケナスっ!せっかく修理を終えたばかりの鍋がまた壊れたらどないすんねんっ!」
尚も気丈に言い返すジゼルに、ゲランは完全にぶちギレた。
「っこのっ!もう許さねぇっ!!お前なんか大人しくビクビク怯えて泣きべそかいてりゃいいんだよっ!!」
そう言ってゲランは右手を振り上げる。
そして拳を固く握りしめ、それをジゼル目掛けて振り下ろした。
「っ!!」
殴られる。
幼い頃から何度もこの身に受けてきた暴力だ。
ゲランに対してトラウマを刻まれたジゼルにとって、本当は身が竦むほど怖くて仕方ない。
だけど、たとえ殴られても絶対に負けたくはなかった。
せめて気持ちだけでも、こんな男にだけは絶対に負けたくないのだ。
ジゼルは何度も受け、何度も経験したその衝撃と痛みを覚悟した。
「っ……………………………………?」
だが、その衝撃や痛みにジゼルが襲われることはなかった。
咄嗟に目をぎゅっと閉じたジゼルの頭上からゲランの戸惑う声が聞こえてくる。
「ちょっ………な、な、なんですか貴方はっ!」
───………え?
ジゼルは恐る恐る目を開けた。
そして自分のすぐ側に立つその人物を見て目を丸くする。
「……クロード……!」
「貴様……俺の妻に今、何をしようとしていた?」
ジゼルに殴り掛かろうとしていたゲランの手首を掴み、
彼を睨みつけながら凄みのある声でクロードがそう言った。
───────────────────────
旦那さま登場!
ごめんなさい、次の更新は明日の夜になります。
幼い頃から執拗に虐められていた相手、従兄のゲランに植え付けられたトラウマを克服してそう告げたジゼル。
小さく怯え、息を潜めて耐えるしか出来なかったジゼルが前世の記憶と、共に生活する内に芽生えたクロードへの温かな気持ちがジゼルに力を与えたのだ。
突然人が変わったように反撃してきたジゼルをゲランは面食らった様子で見ている。
ジゼルはなおも目の前の最低最悪の男に向かって言い放った。
「なに鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しとんねんこのボケナスが。相変わらず弱いもの虐めしか出来へんのやろ?昔っから強いもんにはヘコヘコして自分より弱いもんには威張り散らしとったもんなぁ?ぷっ!ダサっ!カッコわる!」
「な、な、なんだよお前っ……?急に別人みたいになりやがって……!そ、それにその話し方はなんなんだよっ?ど、どうしていきなり変わったんだよっ?」
人格だけでなく話し方まで激変したジゼルにゲランは分かりやすく狼狽えた。
「ウチがどー変わろうとアンタには関係あらへんやろ゛。この際やからハッキリ言わせて貰うわ、ウチは心っ底アンタら家族のことが大嫌いやっ!コレを機に一切の縁を切らせてもらうから。二度とその小汚い顔を見せんといて!」
「っな?……なっ?……なんだとっ?」
「ほんまやったら今まで散々虐められた礼に釘バットでボコボコにどつき回してやりたいところやけど、そんなんでウチがブタ箱に入れられるなんてアホらしすぎるわ」
「は?釘バット?ブタ箱?」
「とにかくっ!」
ジゼルは鍋を小脇に抱え、ビシィッと指を突き出してゲランに告げた。
「アンタらとはもう絶縁や!他人や!金・輪・際、関わるつもりはないっ、ウチの周り半径十メートル以内にその水虫だらけのクッサイ足で踏み込んだら、ストーカー被害と猥褻物陳列罪で自警団に通報するから覚悟せぇやっ!」
「なっ……?っな……?なにっ?」
ジゼルは爽快だった。
声さえ出てしまえば、するすると今まで言ってやりたかった言葉が出てくる。
ゲランは本来気の小さい男だ。
それを隠すために、または鬱憤晴らしのために立場の弱いジゼルを虐めていただけに過ぎない。
どうして今までこんな矮小で短小な(いやほんまは知らんけど)男が怖かったのだろう。
「ふん、ゴミくそがっ」
ジゼルは清々しながら、口を開けたまま呆然として立つゲランの横を通り過ぎようとした。
が、ジゼルの反撃に遭い、訳が分からず戸惑うばかりであったゲランがハッと我に返り、ジゼルの肩を掴んで引き止める。
「言わせておけばっ!待てジゼルっ!!」
「っ……汚い手で触んらんといてっ!」
「なっ!生意気なんだよジゼルのくせにっ!絶縁だぁ?そんなこと親父が許すわけねぇだろがっ!」
「許すも許さんもウチはもう成人した上に結婚もしてる身ぃや!叔父さんの許しなんかもらわんでもこちらから縁切り出来るんやっ!」
ゲランが強い力で肩を引き、高圧的に言ってもジゼルは少しも怯むことなくそう返した。
そんなジゼルに苛立ちが頂点になったゲランが乱暴にジゼルの細い手首を掴む。
「あっ!」
その拍子に修理が終わったばかりの鍋がガシャンと派手な音を立てて転がり落ちた。
そんな横暴なゲランの態度に怒りを覚えたジゼルが、掴まれた手首を奪い返そうとしながら言い放つ。
「このアホんだらボケナスっ!せっかく修理を終えたばかりの鍋がまた壊れたらどないすんねんっ!」
尚も気丈に言い返すジゼルに、ゲランは完全にぶちギレた。
「っこのっ!もう許さねぇっ!!お前なんか大人しくビクビク怯えて泣きべそかいてりゃいいんだよっ!!」
そう言ってゲランは右手を振り上げる。
そして拳を固く握りしめ、それをジゼル目掛けて振り下ろした。
「っ!!」
殴られる。
幼い頃から何度もこの身に受けてきた暴力だ。
ゲランに対してトラウマを刻まれたジゼルにとって、本当は身が竦むほど怖くて仕方ない。
だけど、たとえ殴られても絶対に負けたくはなかった。
せめて気持ちだけでも、こんな男にだけは絶対に負けたくないのだ。
ジゼルは何度も受け、何度も経験したその衝撃と痛みを覚悟した。
「っ……………………………………?」
だが、その衝撃や痛みにジゼルが襲われることはなかった。
咄嗟に目をぎゅっと閉じたジゼルの頭上からゲランの戸惑う声が聞こえてくる。
「ちょっ………な、な、なんですか貴方はっ!」
───………え?
ジゼルは恐る恐る目を開けた。
そして自分のすぐ側に立つその人物を見て目を丸くする。
「……クロード……!」
「貴様……俺の妻に今、何をしようとしていた?」
ジゼルに殴り掛かろうとしていたゲランの手首を掴み、
彼を睨みつけながら凄みのある声でクロードがそう言った。
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旦那さま登場!
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