180 / 343
連載
さわこさんと、温泉の休日 その2
しおりを挟む
「にゃは~……あったかくて気持ちいいにゃあ」
温泉の中ですっかりくつろいでいる様子のベルは、私の隣で体をまっすぐ伸ばしています。
浮力で、ベルの体が湯船に浮かんでいます。
牙猫のベルは、人型になってもその背中や肩のあたりが濃い目の毛で覆われています。
そのおかげでしょうか、浮力が強いのかもしれませんね。
ベルは、お湯の中でも綺麗にまっすぐ浮かんでいるんです。
あまりにも綺麗にまっすぐ浮かんでいるものですから……私もつい「出来るかしら」と思ってしまいまして、ベルト同じように体を伸ばしてみたのですが……駄目ですね、私はお尻の辺りからゆっくり沈んでしまいました。
……いえ、違うんですよ。これは決して私のお尻が重たいわけではなくてですね……
私は、慌ててお湯の中で座り直しました。
どうやら、私が子供っぽいことをしていいたことはみんなにはバレていないようです。
バテアさんはお酒を飲みながら景色を眺めておられますし、リンシンさんはお酒に夢中です。
ベルはベルで、お湯に浮かんだまま、気持ちよさそうに目を閉じていますので。
その事に安堵しながら、私も改めてお酒のグラスに手を伸ばしました。
◇◇
文字通り、心ゆくまで温泉を満喫した私達は、一度お湯からあがり、部屋の中でくつろいでいました。
すると
「失礼いたします。お食事をお持ちしてもよろしいでしょうか?」
と、まるでそのタイミングを見計らっていたかのように、仲居さん……この世界では従業員さん呼称のようなのですが、その方がノックして部屋に入ってこられました。
「みんな、いいかしら?」
バテアさんが、そう言って私達の方を確認してくださいました。
それに対して、私は、
「はい、大丈夫です」
そうお返事いたしました。
リンシンさんも、
「……うん、いいよ」
と、笑顔でお返事されました。
よく見ると、リンシンさんはすでに真っ赤になっています。
お風呂で飲んでいたお酒の影響でしょうね。
あ、でも、リンシンさんはお酒を飲むとすぐに真っ赤になるんですけど、実はそこまで酔っ払ってはいないんですよ。
リンシンさんの場合、体が大きいせいか滅多に酔い潰れることがございませんので……っていいますか、リンシンさんが酔い潰れたのを、私、拝見したことがまだ一度も無いかも知れません。
……これに関しましては、リンシンさんが酔い潰れる頃には、先に私の方が酔っ払っていて、記憶に残っていないだけのような気が……
ベルも、もちろん食事に同意いたしました。
それを受けまして、バテアさんが、
「じゃあ、お願いしますね」
そう、従業員さんにお願いしてくださいました。
ほどなくしまして、部屋の中に食事が運ばれてきました。
「うわぁ……」
私達の前に運ばれてきたのは、見た目も麗しいお料理の載っているお膳でした。
一人一人にお膳が用意されていて、小鉢やお皿の上に彩り豊かな料理が並んでいます。
そのお膳が1人に3つ運ばれてきました。
この温泉がございますのが山の中だからでしょうか、山菜を使用した料理が多いようにお見受けいたします。
「じゃあ、いただきましょうか」
「はい、そうですね」
バテアさんの言葉に、私は笑顔で頷きました。
料理に向かって、一度両手を合わせた私は、
「いただきます」
そう言いながら軽く頭を下げました。
すると、それに合わせて、
「いただきます」
と、バテアさん。
「……いただきます」
と、リンシンさん。
「いただきますニャ」
と、ベル。
みんな一斉に手を合わせて軽く頭をさげました。
この日本式の食事の挨拶は、私が常日頃から行っているのですが……今ではすっかり皆さんにも伝播している感じでございます。
挨拶が終わりますと、
「さぁ、さわこ」
バテアさんがお酒の瓶を私へと差し向けてくださいました。
「ありがとうございます」
私は笑顔でお礼を申し上げながら、お膳のグラスをバテアさんへ差し出しました。
それを口に運びますと、ふわっと甘みが広がっていきます。
この世界特有の、果実酒のようですね。
まろやかに口の中を覆い尽くし、それでいて飲み干すとすべての味が喉を通過し、体の中に落ちていくかのようです。
この独特の味わい……かなりのものでございます。
ですが……ワノンさんがお造りになられておりますパルマ酒を飲み慣れている私といたしましては、少々物足りなさを感じてしまいます。
……ここのお酒も美味しいのですが、やはりワノンさんのお酒の方が一段上ですね。
お酒を頂きながら、私は内心でそんな事を考えておりました。
……もっとも、それを口にすることはございません。
えぇ、このような席でそのような事を口にいたしますのは無粋と、心得ておりますので。
それに、このお酒が不味いという訳ではございません。
ワノンさんのお酒がすごいということなのですから。
お酒を口にいたしました私は、次いで料理へ手を伸ばしていきました。
このお宿の食事はナイフとフォークを駆使して頂くようになっております。
これが、この世界の一般的な食べ方です。
居酒屋さわこさんではお箸もお出ししていて、それが常連客の皆さんを中心に広まってはおりますけれども、あれはこの世界ではむしろ例外ですものね。
ですが……ここで私はあえてある物を取り出しました。
はい、マイ箸でございます。
漆塗りの赤いお箸。
もう十年来の私の相棒でございます。
郷に入りては郷に従えと申しますが……やはりここは譲れません。
それはさておき……さぁ、お食事を頂きましょう。
私は、前菜の小鉢を手に取り、それを口に運んでいきました。
山菜を煮付けたものに、黄色いソースがかかっています。
そうですね、私の世界の料理で例えますと、ほうれん草のおひたしの辛子和えといった感じでしょうか。
辛子ソースがほどよくおひたしを包んでいます。
その辛み具合が絶品です。
最初の一口でこれでございます。
これは、大変期待してよさそうですね。
「ここの料理長をしているエルフってね、若い頃から各地で修行してたそうなのよ」
バテアさんがそう教えてくださいました。
エルフの方々は大変長命だそうでして、私と同年齢に見えても遙かに年上ということを何度も経験しております。
かく言う、バテアさんもエルフです。
私より少しお姉さんくらいにしか見えないのですが……あれ? そう言えばバテアさんってば正式には何歳でしたっけ?
改めて思い返してみますと……きちんとお聞きした事ってなかったかもしれません。
私がそんなことを考えておりますと、バテアさんがそんな私の心を見透かすかのようににっこり微笑まれまして、
「さぁ、さわこ。余計なことは考えないで、料理とお酒を楽しみましょう」
そう言って、悪戯っぽく笑われました。
なんでしょう……そんな笑顔をされてしまいますと、それ以上お聞き出来ない気持ちになってしまいます。
バテアさんの年齢……多少気にはなりますけれども、あえてそれ以上詮索することを諦めた私は、改めて料理へ向き合っていきました。
メイン料理として、お膳の真ん中に鎮座しておりますのは……これは一目でわかりました。
間違いありません……タテガミライオンのお肉を使ったステーキですね。
このタテガミライオンのお肉は、この世界最高級珍味の1つとされているんです。
居酒屋さわこさんでも、このタテガミライオンのお肉を使用した料理をいくつかお出ししておりますが、本来ですと、私のお店ではとても扱えない……そんな代物なのでございます。
それもこれも、辺境都市ナカンコンベにございますおもてなし商会のファラさんが、このタテガミライオンのお肉をお安く卸売りしてくださるからなんですよ。
本当に、ファラさんにが感謝しても仕切れません。
さて、そんなことを考えながら、私はそのお肉を一切れお箸でつまみました。
それを口に入れますと……いわゆる照り焼きにされている感じですね。
お肉の表面に、ソースの味が何層にもわたって塗り固められていまして、それを口の中で噛みしめると同時に、一気にその味が解放されるといった感じでございます。
その中に、私の世界でいいますところのマスタード……いえ、これは山椒の方が近いかも知れませんね、ピリリとした味が、その味を引き締めてくれています。
その絡み具合が本当に絶妙です。
「あぁ……幸せですねぇ」
私は、思わずそんな言葉を口にしておりました。
美味しいお酒に、美味しい料理。
温泉を満喫した後に、こんな至福の時をすごせているのですもの。
そう思うのも当然ですよね。
私は、満面に笑顔を浮かべながら、料理を口に運び続けておりました。
ーつづく
温泉の中ですっかりくつろいでいる様子のベルは、私の隣で体をまっすぐ伸ばしています。
浮力で、ベルの体が湯船に浮かんでいます。
牙猫のベルは、人型になってもその背中や肩のあたりが濃い目の毛で覆われています。
そのおかげでしょうか、浮力が強いのかもしれませんね。
ベルは、お湯の中でも綺麗にまっすぐ浮かんでいるんです。
あまりにも綺麗にまっすぐ浮かんでいるものですから……私もつい「出来るかしら」と思ってしまいまして、ベルト同じように体を伸ばしてみたのですが……駄目ですね、私はお尻の辺りからゆっくり沈んでしまいました。
……いえ、違うんですよ。これは決して私のお尻が重たいわけではなくてですね……
私は、慌ててお湯の中で座り直しました。
どうやら、私が子供っぽいことをしていいたことはみんなにはバレていないようです。
バテアさんはお酒を飲みながら景色を眺めておられますし、リンシンさんはお酒に夢中です。
ベルはベルで、お湯に浮かんだまま、気持ちよさそうに目を閉じていますので。
その事に安堵しながら、私も改めてお酒のグラスに手を伸ばしました。
◇◇
文字通り、心ゆくまで温泉を満喫した私達は、一度お湯からあがり、部屋の中でくつろいでいました。
すると
「失礼いたします。お食事をお持ちしてもよろしいでしょうか?」
と、まるでそのタイミングを見計らっていたかのように、仲居さん……この世界では従業員さん呼称のようなのですが、その方がノックして部屋に入ってこられました。
「みんな、いいかしら?」
バテアさんが、そう言って私達の方を確認してくださいました。
それに対して、私は、
「はい、大丈夫です」
そうお返事いたしました。
リンシンさんも、
「……うん、いいよ」
と、笑顔でお返事されました。
よく見ると、リンシンさんはすでに真っ赤になっています。
お風呂で飲んでいたお酒の影響でしょうね。
あ、でも、リンシンさんはお酒を飲むとすぐに真っ赤になるんですけど、実はそこまで酔っ払ってはいないんですよ。
リンシンさんの場合、体が大きいせいか滅多に酔い潰れることがございませんので……っていいますか、リンシンさんが酔い潰れたのを、私、拝見したことがまだ一度も無いかも知れません。
……これに関しましては、リンシンさんが酔い潰れる頃には、先に私の方が酔っ払っていて、記憶に残っていないだけのような気が……
ベルも、もちろん食事に同意いたしました。
それを受けまして、バテアさんが、
「じゃあ、お願いしますね」
そう、従業員さんにお願いしてくださいました。
ほどなくしまして、部屋の中に食事が運ばれてきました。
「うわぁ……」
私達の前に運ばれてきたのは、見た目も麗しいお料理の載っているお膳でした。
一人一人にお膳が用意されていて、小鉢やお皿の上に彩り豊かな料理が並んでいます。
そのお膳が1人に3つ運ばれてきました。
この温泉がございますのが山の中だからでしょうか、山菜を使用した料理が多いようにお見受けいたします。
「じゃあ、いただきましょうか」
「はい、そうですね」
バテアさんの言葉に、私は笑顔で頷きました。
料理に向かって、一度両手を合わせた私は、
「いただきます」
そう言いながら軽く頭を下げました。
すると、それに合わせて、
「いただきます」
と、バテアさん。
「……いただきます」
と、リンシンさん。
「いただきますニャ」
と、ベル。
みんな一斉に手を合わせて軽く頭をさげました。
この日本式の食事の挨拶は、私が常日頃から行っているのですが……今ではすっかり皆さんにも伝播している感じでございます。
挨拶が終わりますと、
「さぁ、さわこ」
バテアさんがお酒の瓶を私へと差し向けてくださいました。
「ありがとうございます」
私は笑顔でお礼を申し上げながら、お膳のグラスをバテアさんへ差し出しました。
それを口に運びますと、ふわっと甘みが広がっていきます。
この世界特有の、果実酒のようですね。
まろやかに口の中を覆い尽くし、それでいて飲み干すとすべての味が喉を通過し、体の中に落ちていくかのようです。
この独特の味わい……かなりのものでございます。
ですが……ワノンさんがお造りになられておりますパルマ酒を飲み慣れている私といたしましては、少々物足りなさを感じてしまいます。
……ここのお酒も美味しいのですが、やはりワノンさんのお酒の方が一段上ですね。
お酒を頂きながら、私は内心でそんな事を考えておりました。
……もっとも、それを口にすることはございません。
えぇ、このような席でそのような事を口にいたしますのは無粋と、心得ておりますので。
それに、このお酒が不味いという訳ではございません。
ワノンさんのお酒がすごいということなのですから。
お酒を口にいたしました私は、次いで料理へ手を伸ばしていきました。
このお宿の食事はナイフとフォークを駆使して頂くようになっております。
これが、この世界の一般的な食べ方です。
居酒屋さわこさんではお箸もお出ししていて、それが常連客の皆さんを中心に広まってはおりますけれども、あれはこの世界ではむしろ例外ですものね。
ですが……ここで私はあえてある物を取り出しました。
はい、マイ箸でございます。
漆塗りの赤いお箸。
もう十年来の私の相棒でございます。
郷に入りては郷に従えと申しますが……やはりここは譲れません。
それはさておき……さぁ、お食事を頂きましょう。
私は、前菜の小鉢を手に取り、それを口に運んでいきました。
山菜を煮付けたものに、黄色いソースがかかっています。
そうですね、私の世界の料理で例えますと、ほうれん草のおひたしの辛子和えといった感じでしょうか。
辛子ソースがほどよくおひたしを包んでいます。
その辛み具合が絶品です。
最初の一口でこれでございます。
これは、大変期待してよさそうですね。
「ここの料理長をしているエルフってね、若い頃から各地で修行してたそうなのよ」
バテアさんがそう教えてくださいました。
エルフの方々は大変長命だそうでして、私と同年齢に見えても遙かに年上ということを何度も経験しております。
かく言う、バテアさんもエルフです。
私より少しお姉さんくらいにしか見えないのですが……あれ? そう言えばバテアさんってば正式には何歳でしたっけ?
改めて思い返してみますと……きちんとお聞きした事ってなかったかもしれません。
私がそんなことを考えておりますと、バテアさんがそんな私の心を見透かすかのようににっこり微笑まれまして、
「さぁ、さわこ。余計なことは考えないで、料理とお酒を楽しみましょう」
そう言って、悪戯っぽく笑われました。
なんでしょう……そんな笑顔をされてしまいますと、それ以上お聞き出来ない気持ちになってしまいます。
バテアさんの年齢……多少気にはなりますけれども、あえてそれ以上詮索することを諦めた私は、改めて料理へ向き合っていきました。
メイン料理として、お膳の真ん中に鎮座しておりますのは……これは一目でわかりました。
間違いありません……タテガミライオンのお肉を使ったステーキですね。
このタテガミライオンのお肉は、この世界最高級珍味の1つとされているんです。
居酒屋さわこさんでも、このタテガミライオンのお肉を使用した料理をいくつかお出ししておりますが、本来ですと、私のお店ではとても扱えない……そんな代物なのでございます。
それもこれも、辺境都市ナカンコンベにございますおもてなし商会のファラさんが、このタテガミライオンのお肉をお安く卸売りしてくださるからなんですよ。
本当に、ファラさんにが感謝しても仕切れません。
さて、そんなことを考えながら、私はそのお肉を一切れお箸でつまみました。
それを口に入れますと……いわゆる照り焼きにされている感じですね。
お肉の表面に、ソースの味が何層にもわたって塗り固められていまして、それを口の中で噛みしめると同時に、一気にその味が解放されるといった感じでございます。
その中に、私の世界でいいますところのマスタード……いえ、これは山椒の方が近いかも知れませんね、ピリリとした味が、その味を引き締めてくれています。
その絡み具合が本当に絶妙です。
「あぁ……幸せですねぇ」
私は、思わずそんな言葉を口にしておりました。
美味しいお酒に、美味しい料理。
温泉を満喫した後に、こんな至福の時をすごせているのですもの。
そう思うのも当然ですよね。
私は、満面に笑顔を浮かべながら、料理を口に運び続けておりました。
ーつづく
32
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。