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さわこさんと、クリスマスの忘年会 その3
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私達の忘年会は、バテアさんのお宅の2階のリビングが会場です。
少々狭いため、寝室まで使って行います。
居酒屋さわこさんで行ってもよかったのですが、それだと少しお仕事な感じがしちゃいますので、あえてこちらで行うことにした次第です。
調理は、一階の居酒屋さわこさんの厨房で行っています。
出来上がった料理を、うどんの踏み踏みを終えたエンジェさんとベルが
「わっせわっせ」
「わっせわっせ」
息のあったかけ声を掛け合いながら運んでくれています。
ふふ……
その様子を見ていると、なんだか本当の姉妹みたいですね。
二階には、先ほどから三味線の練習を兼ねて演奏をしていた和音とミリーネアさん。
それを肴に、コタツでどぶろくならぬアミろくで乾杯を繰り返しているバテアさん、みはる、ワノンさん、ラニィさんの四人。
先ほど狩りから戻ってこられたばかりのリンシンさんが、もうすぐお風呂からあがってここに加わります
そこに
「お待たせ~」
「ハロー、お邪魔します」
アミリアさんとエミリアの2人が、ちょうど到着したところでございます。
いつもは正方形の形状にしているコタツなのですが、今日は以前、居酒屋酒話で使用していた頃のように長方形にしてあります。
定員的には10名です。
ですが、ふくよかなリンシンさんには狭い面に一人で座っていただきまして、あとは、ベル・エンジェさん・ワノンさん・和音・ミリーネアさんといった小柄な方々に上手く詰めて座ってもらえばどうにかなるのでは……
「さわこ、あたしはどこに座ったらいいの?」
……そうでした
ツカーサさんがいました……
ぽんじりの焼き鳥につられてお越しになってしまったツカーサさん。
気がつくとそのまま居座ってしまっているんですよね。
「ツカーサ、あんた旦那さんがいるでしょう?」
そうバテアさんがおっしゃいましても、
「あはは、今日は夜勤なんだよぉ。寂しいんだから相手してよぉ」
と言いながら、バテアさんにすり寄っておられます。
まぁ、自宅がお隣というご近所様ですし……
「あいているとこに座ってくださいな」
笑顔でそう言った私は、料理を少し大目に準備するため、厨房へ再度降りていきました。
◇◇
時間はそれから2時間少々経過したでしょうか。
「わ~さこ~、飲んでる~!」
バテアさんが、真っ赤な顔をしながら私の肩を抱いておられます。
すでに顔が真っ赤です。
しかも、私のことを「さわこ」ではなく「わさこ」と呼ばれているということは、意識が少々怪しくなっているご様子といいますか……
お酒には強いバテアさんなのですが……
「このお酒、美味しいじゃない」
と、ワノンさんがご持参なさったアミろくをぐいぐいお飲みになっていたそうなんです。
このお酒、口当たりはとてもいいのですが、アルコール度数が高めなんです。
しかも、このお酒を杜氏として担当した和音によりますと、
「アミリアさんのお米で作るとね、なんかすごくアルコール度数が高くなるんだよぉ」
って笑っていたのですが……
そのため、ほどよい口当たりとは裏腹に、異常に高いアルコール度数のアミろくを、いつものお酒を飲む感覚でグイグイ飲んでしまったバテアさん……そりゃ、酩酊もしようというものでございます。
私もこのアミろくを美味しく頂いてはいるのですが……へべれけになってしまったバテアさんを見てしまうと、ついつい他のお酒を口にしてしまうといいますか……
そんな私を抱き寄せて、さらにお酒を飲ませようとなさるバテアさん。
すると
「バーちゃん、さーちゃんをいじめちゃ駄目にゃ!」
そう言いながら、ベルがバテアさんの上着をひっぱり始めました。
「そうよ! からみ酒はマナー違反よバーちゃん」
そこに、エンジェさんまでもが、バテアさんのことを『バーちゃん』呼称しながらかけつけてきまして、ベルと一緒にバテアさんの服をひっぱりはじめました。
「だからぁ、アタシはバーちゃんじゃないってのぉ」
反論しているバテアさんなのですが、へべれけなもんですから、いつものような怒り口調ではなく楽しそうに笑いながらおっしゃっています。
そんなバテアさんを、ベルとエンジェさんは、
「よいしょ!よいしょ!」
「よいしょ!よいしょ!」
と、息の合ったかけ声とともにコタツから引っ張り出していきまして、そのままズルズルとベッドの方へと引きずっていきました。
「あのバテアがここまで気持ちよくよっぱらうってことは、まぁ成功ってことだわ」
ワノンさんが嬉しそうに笑いながらうどんをずるずるとすすっておられます。
すでにお鍋を空になさっているワノンさん。
「さわこ、うどん頼むわさ」
すぐに、そう言って私に言ってこられた次第です。
そうなんです。
ワノンさんは、このおうどんをすごく気に入っておられまして、お店にいらした時もお鍋を食べ終えるとすぐにおうどんを注文なさって食べられるのですが……毎回5,6人分はお食べになっているんです。
「いやはや、今までいろんな物を口にしてきたけどさ、酒以外じゃ、このうどんが最高だわ」
ワノンさんは、そういいながらうどんを凄い勢いで口に運んでいます。
その横では
「ですよねぇ、私も同感ですぅ」
そう言いながら、和音もうどんをすすっています。
……そうなんです。
ワノンさん同様、和音もおうどんが大好物なんです。
中学校の頃から同じクラスになることが多かった和音なのですが、お弁当箱の中にうどんの麺を入れてきていてですね、職員室でお湯を入れてもらい、それにスープの素をまぜて食べていた印象があまりにも強いといいますか……
社会人になってからも、一緒に食事をするときは、こちらが指定しない限り必ずうどん屋につれこまれていました、はい。
それにつられてか、
「あはは、私もうどんもらっちゃおうかな」
「イエス、アミリア姉さん、私もぜひ」
「そうね、私も頂きますわ」
と、アミリアさん、エミリア、ラニィさんまで、おうどんをご用命くださったほどなんです。
焼き鳥
串焼き
コロコロステーキ
タテガミライオンやマウントオアのお肉をふんだんに使った料理も机の上に目白押しです。
「うそ……これ、タテガミライオン!?」
それを見つめながら、ミリーネアさんが目を丸くなさっておいでです。
「こんなにいいお肉がこんなに贅沢に……わぁ、なんか歌が出来ちゃいそう……」
そのお肉を頬張りながら、ミリーネアさんってば、メモ帳のような物を取り出しまして、
「口に広がる肉汁の~ ラララ……至高のハーモニー……」
そんな事を呟きながら、ペンを走らせておいでです。
さすがは吟遊詩人さんですね。
◇◇
お酒を机上に並べていますので、皆さん、近くの方同士でそれを注ぎあっては乾杯を繰り返しています。
そんな中……
私は、コタツのすぐ脇にございますベッドに腰掛けてお酒をいただいていました。
私の後方では、早々に酔い潰れてしまったバテアっさんが寝息を立てておいでです。
そのすぐ横に腰掛けている私。
「バテアさん……今年一年、本当にお世話になりました」
私は、その寝顔に向かって笑顔でそう言いました。
バテアさんは、相変わらず寝息をたて続けています。
その胸元のお布団を直した私は、そこに座ったまま皆さんの楽しそうなお姿を見つめておりました。
ほどなくして、ベルが私の膝の上にのってきまして
「さーちゃん、コタツ空いてるニャ、一緒に行こうニャ」
そう言ってくれたのですが、
「いいのよベル。私はここで」
笑顔でそうお返事しました。
ベルは、少し不思議そうな表情をしたものの、
「じゃあ、ベルもここでいいニャ」
そう言って、牙猫の姿に変化して、私の膝の上で丸くなりました。
その背中を撫でながら、私は楽しい一時を過ごしていった次第ございます。
ーつづく
少々狭いため、寝室まで使って行います。
居酒屋さわこさんで行ってもよかったのですが、それだと少しお仕事な感じがしちゃいますので、あえてこちらで行うことにした次第です。
調理は、一階の居酒屋さわこさんの厨房で行っています。
出来上がった料理を、うどんの踏み踏みを終えたエンジェさんとベルが
「わっせわっせ」
「わっせわっせ」
息のあったかけ声を掛け合いながら運んでくれています。
ふふ……
その様子を見ていると、なんだか本当の姉妹みたいですね。
二階には、先ほどから三味線の練習を兼ねて演奏をしていた和音とミリーネアさん。
それを肴に、コタツでどぶろくならぬアミろくで乾杯を繰り返しているバテアさん、みはる、ワノンさん、ラニィさんの四人。
先ほど狩りから戻ってこられたばかりのリンシンさんが、もうすぐお風呂からあがってここに加わります
そこに
「お待たせ~」
「ハロー、お邪魔します」
アミリアさんとエミリアの2人が、ちょうど到着したところでございます。
いつもは正方形の形状にしているコタツなのですが、今日は以前、居酒屋酒話で使用していた頃のように長方形にしてあります。
定員的には10名です。
ですが、ふくよかなリンシンさんには狭い面に一人で座っていただきまして、あとは、ベル・エンジェさん・ワノンさん・和音・ミリーネアさんといった小柄な方々に上手く詰めて座ってもらえばどうにかなるのでは……
「さわこ、あたしはどこに座ったらいいの?」
……そうでした
ツカーサさんがいました……
ぽんじりの焼き鳥につられてお越しになってしまったツカーサさん。
気がつくとそのまま居座ってしまっているんですよね。
「ツカーサ、あんた旦那さんがいるでしょう?」
そうバテアさんがおっしゃいましても、
「あはは、今日は夜勤なんだよぉ。寂しいんだから相手してよぉ」
と言いながら、バテアさんにすり寄っておられます。
まぁ、自宅がお隣というご近所様ですし……
「あいているとこに座ってくださいな」
笑顔でそう言った私は、料理を少し大目に準備するため、厨房へ再度降りていきました。
◇◇
時間はそれから2時間少々経過したでしょうか。
「わ~さこ~、飲んでる~!」
バテアさんが、真っ赤な顔をしながら私の肩を抱いておられます。
すでに顔が真っ赤です。
しかも、私のことを「さわこ」ではなく「わさこ」と呼ばれているということは、意識が少々怪しくなっているご様子といいますか……
お酒には強いバテアさんなのですが……
「このお酒、美味しいじゃない」
と、ワノンさんがご持参なさったアミろくをぐいぐいお飲みになっていたそうなんです。
このお酒、口当たりはとてもいいのですが、アルコール度数が高めなんです。
しかも、このお酒を杜氏として担当した和音によりますと、
「アミリアさんのお米で作るとね、なんかすごくアルコール度数が高くなるんだよぉ」
って笑っていたのですが……
そのため、ほどよい口当たりとは裏腹に、異常に高いアルコール度数のアミろくを、いつものお酒を飲む感覚でグイグイ飲んでしまったバテアさん……そりゃ、酩酊もしようというものでございます。
私もこのアミろくを美味しく頂いてはいるのですが……へべれけになってしまったバテアさんを見てしまうと、ついつい他のお酒を口にしてしまうといいますか……
そんな私を抱き寄せて、さらにお酒を飲ませようとなさるバテアさん。
すると
「バーちゃん、さーちゃんをいじめちゃ駄目にゃ!」
そう言いながら、ベルがバテアさんの上着をひっぱり始めました。
「そうよ! からみ酒はマナー違反よバーちゃん」
そこに、エンジェさんまでもが、バテアさんのことを『バーちゃん』呼称しながらかけつけてきまして、ベルと一緒にバテアさんの服をひっぱりはじめました。
「だからぁ、アタシはバーちゃんじゃないってのぉ」
反論しているバテアさんなのですが、へべれけなもんですから、いつものような怒り口調ではなく楽しそうに笑いながらおっしゃっています。
そんなバテアさんを、ベルとエンジェさんは、
「よいしょ!よいしょ!」
「よいしょ!よいしょ!」
と、息の合ったかけ声とともにコタツから引っ張り出していきまして、そのままズルズルとベッドの方へと引きずっていきました。
「あのバテアがここまで気持ちよくよっぱらうってことは、まぁ成功ってことだわ」
ワノンさんが嬉しそうに笑いながらうどんをずるずるとすすっておられます。
すでにお鍋を空になさっているワノンさん。
「さわこ、うどん頼むわさ」
すぐに、そう言って私に言ってこられた次第です。
そうなんです。
ワノンさんは、このおうどんをすごく気に入っておられまして、お店にいらした時もお鍋を食べ終えるとすぐにおうどんを注文なさって食べられるのですが……毎回5,6人分はお食べになっているんです。
「いやはや、今までいろんな物を口にしてきたけどさ、酒以外じゃ、このうどんが最高だわ」
ワノンさんは、そういいながらうどんを凄い勢いで口に運んでいます。
その横では
「ですよねぇ、私も同感ですぅ」
そう言いながら、和音もうどんをすすっています。
……そうなんです。
ワノンさん同様、和音もおうどんが大好物なんです。
中学校の頃から同じクラスになることが多かった和音なのですが、お弁当箱の中にうどんの麺を入れてきていてですね、職員室でお湯を入れてもらい、それにスープの素をまぜて食べていた印象があまりにも強いといいますか……
社会人になってからも、一緒に食事をするときは、こちらが指定しない限り必ずうどん屋につれこまれていました、はい。
それにつられてか、
「あはは、私もうどんもらっちゃおうかな」
「イエス、アミリア姉さん、私もぜひ」
「そうね、私も頂きますわ」
と、アミリアさん、エミリア、ラニィさんまで、おうどんをご用命くださったほどなんです。
焼き鳥
串焼き
コロコロステーキ
タテガミライオンやマウントオアのお肉をふんだんに使った料理も机の上に目白押しです。
「うそ……これ、タテガミライオン!?」
それを見つめながら、ミリーネアさんが目を丸くなさっておいでです。
「こんなにいいお肉がこんなに贅沢に……わぁ、なんか歌が出来ちゃいそう……」
そのお肉を頬張りながら、ミリーネアさんってば、メモ帳のような物を取り出しまして、
「口に広がる肉汁の~ ラララ……至高のハーモニー……」
そんな事を呟きながら、ペンを走らせておいでです。
さすがは吟遊詩人さんですね。
◇◇
お酒を机上に並べていますので、皆さん、近くの方同士でそれを注ぎあっては乾杯を繰り返しています。
そんな中……
私は、コタツのすぐ脇にございますベッドに腰掛けてお酒をいただいていました。
私の後方では、早々に酔い潰れてしまったバテアっさんが寝息を立てておいでです。
そのすぐ横に腰掛けている私。
「バテアさん……今年一年、本当にお世話になりました」
私は、その寝顔に向かって笑顔でそう言いました。
バテアさんは、相変わらず寝息をたて続けています。
その胸元のお布団を直した私は、そこに座ったまま皆さんの楽しそうなお姿を見つめておりました。
ほどなくして、ベルが私の膝の上にのってきまして
「さーちゃん、コタツ空いてるニャ、一緒に行こうニャ」
そう言ってくれたのですが、
「いいのよベル。私はここで」
笑顔でそうお返事しました。
ベルは、少し不思議そうな表情をしたものの、
「じゃあ、ベルもここでいいニャ」
そう言って、牙猫の姿に変化して、私の膝の上で丸くなりました。
その背中を撫でながら、私は楽しい一時を過ごしていった次第ございます。
ーつづく
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