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無口な彼女
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『ここはどこなんだ?』
一面、満月に照らされる草原に立っていた……
辺りは無風で、そんなに寒くは無い……
とりあえず少し遠くに見える丘を目指して歩いた…近づくと丘の上になにやら人影が見える、俺はその丘を上り、その人に逢いに行った……
頂上には切り株があり、その切り株の前で女性が正座し、本を読んでいた……
近づいてもその女性は読書に熱中しているのか? 俺の事には気づいていないようだった、顔を確認しようとしたが、本を読んでる事もあってか、顔は下を向いて影っており、よく見えず、とりあえずは話しかけてみる事にした。
「こんばんは……」
「……」
『ムっ』無視してきた。
「あの~ ここはどこですか?」
「……」
『やはり無視している』
ならばと四つん這いの体勢になり、女性の顔を下から覗いて見た、目は切れ長でなにやら怖い感じがしたけど、瓜顔でカッコいいと感じた、その時、鋭い彼女の目が俺を見つめてきた……
俺はその無言の圧に負け、思わず一言
「すみません、お邪魔しやしたぁ」
と少しふざけて詫びを、入れて見たが
相変わらず彼女は無反応で、なにも言ってくれない……
よく見たら、切り株の切断面は綺麗にヤスリかなにかで、平にならされており、座卓として利用されているようだ、その上には数冊の本が置いてあった。
「すみません、俺も読んで良いですか?」
「……」
「俺は、お邪魔ですか?」
なにも言ってくれない。と言う事はオッケーと言う事にして、
俺も彼女と対面する様に座り、本を恐る恐る彼女の反応に注視しながら、手を伸ばし取ってみたが、彼女は相変わらず読書に熱中しいる……
噛みついてくる気配はなさそうだ
手に取ったその本は過去に濡らしてしまったのかヨレヨレだった、年期も入っている様に感じる……
本を開いてみたら、最初の白紙の次のページは挿絵だった。物置が描かれていた。
次のページも差し絵で恐らく、その物置の中を描いた物と感じた。
更に次のページ、空に浮かぶ満月?
次のページは白紙、その次も白紙、白紙、白紙、最後迄白紙……
コ、コレは有名な見たら不幸が訪れると言われているアレにパターンが酷似している気がし、恐怖を感じ、直ぐにその奇妙な本を戻した。
この目の前の女性は一体何者?
その時、なにやら眠くなってきたが、俺は枕が無いと昔の首の古傷が痛み寝れない……
何か枕になる物を探したがあるわけない……
いや一つあった、彼女の膝……
俺は思った。
膝を枕にされたら流石に無視はできないだろうと。
彼女の膝に頭を乗っけて見た……
見上げたら彼女のアゴが見える……
相変わらず反応は無い、彼女は黙々と本を読んでいる。
『この人は、人なのか?』と感じたが
俺はうつ伏せになり彼女のお尻の辺りを摩ってみたがやはり反応はしない。
俺は調子に乗り彼女の股ぐらに手を入れようとしたら彼女に両手で頭を掴まれた!
そこからグイッと顔を仰向けの体勢に引き戻された!
そして彼女はなんと! 俺の顔に唾を垂らしてきた!「えー ごっごめんなさい!」
逃げ様としても身体が金縛りの様に動かない!
《ポタポタポタポタ》
「ちょ!っとおわー」(無症状で容赦ない感じが怖かった……)
その唾が目の中に入り、視界が真っ白くなり……目が覚めた。
カランカランと雨が屋根に当たる音が響いている事から直ぐに思い出した……
ここは納屋で俺は片付けをしていたら、その社会とは隔離された、閉鎖的な納屋の中の空間世界の魅力に気づいてしまい、同時に小説のネタが湧き。『しめた!』と思い、一回台所に戻り、缶ビールと柿ピーナッツを持ち込み、一人酒盛りを初め、その肴にスマホで好きな妄想をしながら、小説をほろ酔い気分で書きつつ、そのまま、いつの間に寝てしまっていたようだ、俺の目元には天井からアル物をつたって垂れている、水滴が当たっていた……
そのアル物とは、棚の上で倒れて俺を見上げる感じに頭だけ出している、細身のコケシで、そのコケシの顔は何やら夢の中の、あの無愛想な彼女に何処となく似ている感じがした……。
天井にはもうすぐ時命が訪れると思われる古電球が、月の様な弱い光で周囲を照らし、その下で寝てた俺は、納屋に忘れさられた古本を数冊無意識に重ね枕として代用していたようだ。
俺は彼女に悪い事をしたと思い、その枕にしていた数冊の古本とコケシを自室に持ち帰り、枕元に近い本棚に収めた、でも彼女は再び夢に出てきてくれる事はなかった……。
あれは夢を媒体にした九十九神である彼女の精神世界だったのだろう。
完全に嫌われてしまった俺がその世界に再び招待される事はもうないのだろうな、当然である……。
俺は思った、ただ静かに彼女の横で本だけを読んでさえいればな……と。(終)
木の精霊[題材]
木は生きていたものであり、その木で作られた物には魂が宿っている。
又は顔などを書いたり彫るなどの加工をした人形類は、浮遊霊が良い物・悪い物に関係無く宿りやすい。
一面、満月に照らされる草原に立っていた……
辺りは無風で、そんなに寒くは無い……
とりあえず少し遠くに見える丘を目指して歩いた…近づくと丘の上になにやら人影が見える、俺はその丘を上り、その人に逢いに行った……
頂上には切り株があり、その切り株の前で女性が正座し、本を読んでいた……
近づいてもその女性は読書に熱中しているのか? 俺の事には気づいていないようだった、顔を確認しようとしたが、本を読んでる事もあってか、顔は下を向いて影っており、よく見えず、とりあえずは話しかけてみる事にした。
「こんばんは……」
「……」
『ムっ』無視してきた。
「あの~ ここはどこですか?」
「……」
『やはり無視している』
ならばと四つん這いの体勢になり、女性の顔を下から覗いて見た、目は切れ長でなにやら怖い感じがしたけど、瓜顔でカッコいいと感じた、その時、鋭い彼女の目が俺を見つめてきた……
俺はその無言の圧に負け、思わず一言
「すみません、お邪魔しやしたぁ」
と少しふざけて詫びを、入れて見たが
相変わらず彼女は無反応で、なにも言ってくれない……
よく見たら、切り株の切断面は綺麗にヤスリかなにかで、平にならされており、座卓として利用されているようだ、その上には数冊の本が置いてあった。
「すみません、俺も読んで良いですか?」
「……」
「俺は、お邪魔ですか?」
なにも言ってくれない。と言う事はオッケーと言う事にして、
俺も彼女と対面する様に座り、本を恐る恐る彼女の反応に注視しながら、手を伸ばし取ってみたが、彼女は相変わらず読書に熱中しいる……
噛みついてくる気配はなさそうだ
手に取ったその本は過去に濡らしてしまったのかヨレヨレだった、年期も入っている様に感じる……
本を開いてみたら、最初の白紙の次のページは挿絵だった。物置が描かれていた。
次のページも差し絵で恐らく、その物置の中を描いた物と感じた。
更に次のページ、空に浮かぶ満月?
次のページは白紙、その次も白紙、白紙、白紙、最後迄白紙……
コ、コレは有名な見たら不幸が訪れると言われているアレにパターンが酷似している気がし、恐怖を感じ、直ぐにその奇妙な本を戻した。
この目の前の女性は一体何者?
その時、なにやら眠くなってきたが、俺は枕が無いと昔の首の古傷が痛み寝れない……
何か枕になる物を探したがあるわけない……
いや一つあった、彼女の膝……
俺は思った。
膝を枕にされたら流石に無視はできないだろうと。
彼女の膝に頭を乗っけて見た……
見上げたら彼女のアゴが見える……
相変わらず反応は無い、彼女は黙々と本を読んでいる。
『この人は、人なのか?』と感じたが
俺はうつ伏せになり彼女のお尻の辺りを摩ってみたがやはり反応はしない。
俺は調子に乗り彼女の股ぐらに手を入れようとしたら彼女に両手で頭を掴まれた!
そこからグイッと顔を仰向けの体勢に引き戻された!
そして彼女はなんと! 俺の顔に唾を垂らしてきた!「えー ごっごめんなさい!」
逃げ様としても身体が金縛りの様に動かない!
《ポタポタポタポタ》
「ちょ!っとおわー」(無症状で容赦ない感じが怖かった……)
その唾が目の中に入り、視界が真っ白くなり……目が覚めた。
カランカランと雨が屋根に当たる音が響いている事から直ぐに思い出した……
ここは納屋で俺は片付けをしていたら、その社会とは隔離された、閉鎖的な納屋の中の空間世界の魅力に気づいてしまい、同時に小説のネタが湧き。『しめた!』と思い、一回台所に戻り、缶ビールと柿ピーナッツを持ち込み、一人酒盛りを初め、その肴にスマホで好きな妄想をしながら、小説をほろ酔い気分で書きつつ、そのまま、いつの間に寝てしまっていたようだ、俺の目元には天井からアル物をつたって垂れている、水滴が当たっていた……
そのアル物とは、棚の上で倒れて俺を見上げる感じに頭だけ出している、細身のコケシで、そのコケシの顔は何やら夢の中の、あの無愛想な彼女に何処となく似ている感じがした……。
天井にはもうすぐ時命が訪れると思われる古電球が、月の様な弱い光で周囲を照らし、その下で寝てた俺は、納屋に忘れさられた古本を数冊無意識に重ね枕として代用していたようだ。
俺は彼女に悪い事をしたと思い、その枕にしていた数冊の古本とコケシを自室に持ち帰り、枕元に近い本棚に収めた、でも彼女は再び夢に出てきてくれる事はなかった……。
あれは夢を媒体にした九十九神である彼女の精神世界だったのだろう。
完全に嫌われてしまった俺がその世界に再び招待される事はもうないのだろうな、当然である……。
俺は思った、ただ静かに彼女の横で本だけを読んでさえいればな……と。(終)
木の精霊[題材]
木は生きていたものであり、その木で作られた物には魂が宿っている。
又は顔などを書いたり彫るなどの加工をした人形類は、浮遊霊が良い物・悪い物に関係無く宿りやすい。
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