19 / 21
アリスとアライグマ
しおりを挟む
アリスは庭の水道で手を洗っていました。
その理由は、もうすぐランチだからです。
そしてそのまた理由は、先に手を洗っておけば、早くランチが食べれるからです。
アリスは石鹸を手に擦り着け、爪先の裏まで入念に爪の下に爪を入れ洗います。
すると横からヌッと知らない手が出て来て、両手を擦り合わし始めました。
降り向くとその正体は白いアライグマでした。
アライグマはアリスに言いました。
「いつまで手を洗ってるんだい、待ちきれず横から入ってしまったよ」
アリスはそうせかされたので洗うのを止めてハンカチを取り出し少し気になっていた事を手を拭きながら、たずねました。
「アライグマさんが手を洗う意味はあるの?」
「お、君は僕の言葉が理解できるのかい天才だな」
「……」
「アリスー、ご飯よー」
待ちに待ったお母さんの声がしたのでアリスは家の中に入りました。
ハム、ツナ、タマゴ、お肉を挟んだ三角のサンドウイッチが四個お皿に乗って用意されていました。
手を洗ったかいがありました。
窓からさっきのアライグマが覗いていました。
その顔は羨ましいそうに見えました。
、から、アリスはお母さんに言いました。
「あのアライグマさんに一つサンドウイッチあげていい?」
お母さんは言いました。
「アライグマさんには、アライグマさんの食べ物があるから、ダメよ」
「ダメなの?」
「お腹壊しちゃうから」
アリスは頷きながらも一番楽しみにしていた、ローストビーフのサンドウイッチを残し、お母さんが台所に行った隙に、お皿を両手に持ち外に出ました。
両手はお皿でふさがっていたのでちゃんと靴を履けて無かったので片方の靴は投げてしまいました。
遠くの方にまだアライグマが見えました。
アリスは追いかけました。
そして少し離れた廃教会のテラスの下に潜り込んで行くアライグマの背中が見えました。
アリスもお皿の上のサンドウィッチに予備と言う事で持ったいぶって使わないでいた綺麗なブルーな金縁のハンカチをかぶせて低い姿勢でテラスの下に潜り込みました。
しゃがみながら蜘蛛の巣などに気を付けて進みます。
やっぱり奥にアライグマがいました。そこには、フカフカの藁のベットとがあり、数本の色々な花も差した空き瓶もありました。
アライグマは差し込んでる光りの下で分厚い本を読んでいました。
アリスは後ろからその本を覗き込み言いました。
「それは聖書ね」
「うん、有難い言葉をいつも頂いているよ、そして読みがいがあり、毎回見るたびに、発見があり少し内容も違う気がするんだ、これは良い物を拾ったよ、えっ!」
とそこまで言ってアライグマは、ややビックリして背側にしゃがんでいるアリスの方に振り向きました。
アリスはアライグマにハンカチを退けたサンドウィッチをサッと差し出しました。
「え、持って来てくれたの、僕にくれるのかい」
「ええ、あなたも手を洗っていたでしょ」
アライグマはサンドイッチを食べながら言いました。
「うん、やはり火の入った人間の食べ物は美味しいね、特にこのマヨネーズはエレガントに最高傑作だね、考えた人は凄いよ」
「凄いの?」
「うん、人間は本当に凄いよ、調べれは調べる程に感心するよ、中でも安心して寝れるあの鍵は羨ましい、僕に出来た事は真似して手を洗う事くらい迄だったよ、そして今日はありがとう」
「よかったね」
とアリスは言いました。
「うん、今まで良い事はひとつも無かったけど、今日は本当に良い日たよ、死ぬのが惜しくなったよ」
「あなた死ぬの?」
「うん、まだ少し先だけど、近いね」
「近いの」
「うん、身体中の毛の色が抜けて来たからね、僕には飲む薬も無いしね、繰り返すけど人間は本当に凄いよ、生まれ変わりで魂の時を繋ぎ、やがては死すら克服し、その時には作り出したあの完璧な神様さえもいらなくなるだろうね」
「……毛なら染めれば良いのよ、お母さんもそうしてるから、持って来てあげる」
「それは助かるよ」
とアライグマは藁の寝床の下から色とりどりの銀紙に小分けに包まれた色々な形の大小なチョコレートが沢山入った袋を取り出しました。
「君はお客様だから大きいの三つあげるよ、本当はもっとあげたいけど、人間のお菓子は中々手に入らないから、毎日ちょっとづつ食べてるんだ」
「お菓子も持って来てあげるわ、待ってて」
とアリスは家へ髪染め薬を取りに戻ると、玄関にお母さんが立っていました。
お母さんは言いました。
「アリスはズーとアライグマさんのお世話をできるの?」
アリスは少し考えて今は無理と答えを出し、首を横に振りました。
そしてアリスは足を洗い、アライグマさんとはそのままお別れしました。
[終]
解説
チャイルドパワー、それは子供の頃にのみ携わっている特殊能力。内容的には、高所から落ちても怪我をしなかったり、やたらクジ運が高かったり、動物の言葉が理解できたり、精霊や悪霊が見えたり、人の死期を感じたり、親が無くした物をアッサリと見つけたり。
その多くは成長と共に役目を終えた様に消えて行く。
その理由は、もうすぐランチだからです。
そしてそのまた理由は、先に手を洗っておけば、早くランチが食べれるからです。
アリスは石鹸を手に擦り着け、爪先の裏まで入念に爪の下に爪を入れ洗います。
すると横からヌッと知らない手が出て来て、両手を擦り合わし始めました。
降り向くとその正体は白いアライグマでした。
アライグマはアリスに言いました。
「いつまで手を洗ってるんだい、待ちきれず横から入ってしまったよ」
アリスはそうせかされたので洗うのを止めてハンカチを取り出し少し気になっていた事を手を拭きながら、たずねました。
「アライグマさんが手を洗う意味はあるの?」
「お、君は僕の言葉が理解できるのかい天才だな」
「……」
「アリスー、ご飯よー」
待ちに待ったお母さんの声がしたのでアリスは家の中に入りました。
ハム、ツナ、タマゴ、お肉を挟んだ三角のサンドウイッチが四個お皿に乗って用意されていました。
手を洗ったかいがありました。
窓からさっきのアライグマが覗いていました。
その顔は羨ましいそうに見えました。
、から、アリスはお母さんに言いました。
「あのアライグマさんに一つサンドウイッチあげていい?」
お母さんは言いました。
「アライグマさんには、アライグマさんの食べ物があるから、ダメよ」
「ダメなの?」
「お腹壊しちゃうから」
アリスは頷きながらも一番楽しみにしていた、ローストビーフのサンドウイッチを残し、お母さんが台所に行った隙に、お皿を両手に持ち外に出ました。
両手はお皿でふさがっていたのでちゃんと靴を履けて無かったので片方の靴は投げてしまいました。
遠くの方にまだアライグマが見えました。
アリスは追いかけました。
そして少し離れた廃教会のテラスの下に潜り込んで行くアライグマの背中が見えました。
アリスもお皿の上のサンドウィッチに予備と言う事で持ったいぶって使わないでいた綺麗なブルーな金縁のハンカチをかぶせて低い姿勢でテラスの下に潜り込みました。
しゃがみながら蜘蛛の巣などに気を付けて進みます。
やっぱり奥にアライグマがいました。そこには、フカフカの藁のベットとがあり、数本の色々な花も差した空き瓶もありました。
アライグマは差し込んでる光りの下で分厚い本を読んでいました。
アリスは後ろからその本を覗き込み言いました。
「それは聖書ね」
「うん、有難い言葉をいつも頂いているよ、そして読みがいがあり、毎回見るたびに、発見があり少し内容も違う気がするんだ、これは良い物を拾ったよ、えっ!」
とそこまで言ってアライグマは、ややビックリして背側にしゃがんでいるアリスの方に振り向きました。
アリスはアライグマにハンカチを退けたサンドウィッチをサッと差し出しました。
「え、持って来てくれたの、僕にくれるのかい」
「ええ、あなたも手を洗っていたでしょ」
アライグマはサンドイッチを食べながら言いました。
「うん、やはり火の入った人間の食べ物は美味しいね、特にこのマヨネーズはエレガントに最高傑作だね、考えた人は凄いよ」
「凄いの?」
「うん、人間は本当に凄いよ、調べれは調べる程に感心するよ、中でも安心して寝れるあの鍵は羨ましい、僕に出来た事は真似して手を洗う事くらい迄だったよ、そして今日はありがとう」
「よかったね」
とアリスは言いました。
「うん、今まで良い事はひとつも無かったけど、今日は本当に良い日たよ、死ぬのが惜しくなったよ」
「あなた死ぬの?」
「うん、まだ少し先だけど、近いね」
「近いの」
「うん、身体中の毛の色が抜けて来たからね、僕には飲む薬も無いしね、繰り返すけど人間は本当に凄いよ、生まれ変わりで魂の時を繋ぎ、やがては死すら克服し、その時には作り出したあの完璧な神様さえもいらなくなるだろうね」
「……毛なら染めれば良いのよ、お母さんもそうしてるから、持って来てあげる」
「それは助かるよ」
とアライグマは藁の寝床の下から色とりどりの銀紙に小分けに包まれた色々な形の大小なチョコレートが沢山入った袋を取り出しました。
「君はお客様だから大きいの三つあげるよ、本当はもっとあげたいけど、人間のお菓子は中々手に入らないから、毎日ちょっとづつ食べてるんだ」
「お菓子も持って来てあげるわ、待ってて」
とアリスは家へ髪染め薬を取りに戻ると、玄関にお母さんが立っていました。
お母さんは言いました。
「アリスはズーとアライグマさんのお世話をできるの?」
アリスは少し考えて今は無理と答えを出し、首を横に振りました。
そしてアリスは足を洗い、アライグマさんとはそのままお別れしました。
[終]
解説
チャイルドパワー、それは子供の頃にのみ携わっている特殊能力。内容的には、高所から落ちても怪我をしなかったり、やたらクジ運が高かったり、動物の言葉が理解できたり、精霊や悪霊が見えたり、人の死期を感じたり、親が無くした物をアッサリと見つけたり。
その多くは成長と共に役目を終えた様に消えて行く。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる