辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子

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始まり?

心配事はつきません2

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「ネージュ、お疲れ様だったわね」

ふわりとほほ笑むお母様。
お母様のお腹もメルリィ程ではないが大きくなってきている。

「メルリィはげんきになったのですか?」

メルリィたちの部屋に行った日から3日後、
お茶の時間にお母様のお部屋に呼ばれた。

ちなみに、今回お母様との時間はイシュトは別行動。

イシュトは自分の父親に呼ばれてそちらに行っている。
まぁ、お父様ともお話しするのではないかと思っている。

「セジルからの報告だと、随分食事もとれるようになってきたという話よ。
 まだ臥せっていた影響で動き回れるほどではないようだけど、
 一番悪い状態からは離れたと思って大丈夫だと思うわ」

思わず、ほっと息を吐く。

「よかった。
 おかあさまはだいじょうぶ?
 おなかもおおきくなってきたけど、おしごとしてたんでしょう?」

お母様の隣に座ってお腹を撫でる。

視てみるも特にお母様も弟も異常はなさそうだけど・・・

「ええ、お父様のほうが落ち着いたから、私の仕事も減ってきているわ。
 大丈夫よ。ごめんなさいね、ネージュに構ってあげられなくて・・・」

隣に座ったお母様から頭を撫でられる。
ぴったりとくっついていてもお母様は笑顔で頭を撫でてくれる。

甘えられる時に甘えておこう。

「わたしはイシュトがいてくれたからへいきだよ?
 イシュトといろいろいっぱいみたよ、イシュトがかみにまとめてくれてるから、
 おかあさまにもこんどみせるね。
 たぶんいまイシュトがおとうさまのところにもっていってるだろうから」

「イシュト・・・ミスティの長男ね」

「おかあさまはイシュトのおかあさんとしりあいなの?」

「ええ、ミスティ自身も鑑定眼を持っているけど、
 息子の方が力が強いと一時期は安全のためにここに暮らしていたのよ」

うん、広いもんね、ウチ。
お城?砦??的な。

「一応、ここはお城になるのよ。
 でも隣国から攻められた際には最前線になるから、
 砦の用途も果たすように作られているの。
 ある程度侵入経路は決まっているから、
 中で過ごす分には守りやすいと言われているわね」

「おしろなのか。ちょっとくらいところがおおかったりしてこわいんだけど」

服を掴んでぎゅーっとくっつくと、お母様は笑って私の頭を撫でる。

「あなたはまだ2歳なのよね・・・」

「でももうすぐおねえさんでしょう?もうちょっとしたら3さいになるんだし」

えっへん、と胸を張るとやっぱりお母様は笑う。

でも、お母様も不安定なのかなぁ?
特に体調とかは悪くはなさそうだけど。

「おかあさま、わたしのことをきにしてる?」

「・・・そうね、いくらいろんな記憶のある子とはいえ、まだまだ小さい私の娘だもの」

私の頭を撫でるお母様の顔は、どこか憂鬱、というか、心配事のある顔。
構ってやれないことを気にしてるのかな?

「じゃぁ、こうやってときどきあまやかしてください」

ぱふ。とわき腹にくっつく。
頭を撫でていた手が背中をだっこしてくれる。

うん、おかあさんだなぁ。

くっついたまま顔を上げてニコニコしていると、お母様の憂い顔が少しマシになる。

うーん、やっぱり妊婦さんになると精神的に不安定になるもんだねぇ。

「もうちょっとしたら、このこといっしょにこうやっていれるかな?
 おとうさまもいっしょがいいな。
 4にんでいっしょがいいな。げんきにでておいでー」

お母様のお腹を撫でながら話しかける。

「おかあさま、このこのおなまえきまったの?」

「お父様も考えてくれているらしいけど、よければネージュも考えておいてくれる?」

「わたしも??」

「生まれて、この子の顔を見てから決めるのよ
 ネージュの時は色々候補を挙げていたけど、
 ネージュの顔を見てお父様が候補とは全然違う名前をいきなり言ったのよ。
 でも、なんだかその名前が一番合っているような気がしたから、ネージュにしたの」

おおう、びっくり私の名づけ秘話。

「じゃぁ、このこのかおをみてうかんだなまえをつたえるね」

穏やかに笑うお母様は私の頭をゆっくりなでる。

「ゆっくりげんきにでておいでー」

お腹に向かって話しかける。

「ゆっくりでいいの?」

「このこがでてくるにはまだはやいよ?
 ちゃんとおかあさまのおなかのなかでしっかりおおきくなってからでてこないと、
 このこがたいへんだよ。まだうみづきじゃないから」

「・・・そうね。」

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