辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子

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3歳

出口はあちらですどうぞ。

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イシュトに抱っこされながら眠ってしまったようだ。

ネージュになる前に来た白い部屋にぽつんといた。
なんとなく、「あ、これ夢だな」という意識があった。

「やあ、久しぶりだね」

いい笑顔で出てきたのは、ルエル様。
その笑顔にイラっとする。

「お久しぶりです。
 そしてどうぞそのままお帰り下さい。
 お帰りはあちらです」

指差した方にドアができていた。
今までなかったはずだけど、
夢の中だからなんでもありかなぁ?って思ったらそのようだ。

「え?なんで?なんでそんなに怒ってるの??」

「いや、あなたでしょう? 
 修也を異世界転移させておいて、あの状態はないわ。
 私はまだ母親のお腹からのスタートだったけど、
 修也は運が悪ければ死んでいたし、
 生きていたけど、かなり色々あって、会った時には死にかけていたんだから
 それとも、それすらもあなたの采配ですか?」

そう、どうも孤児と扱われる事になった原因はこの神#ひと_ルビ_#のせいだ。
修也はどうも大学生くらいの時に転移したらしいけど、
転移後はなぜか赤ん坊になっていた。

いや、元の姿でもそれなりに大変だったろうが、
乳飲み子になんてなったらそれこそすぐに死亡の可能性が格段に上がる。

「私、今の状態ではお話ししましょうなどとは言いたくありません。
 なので、さあ、どうぞお帰り下さい。
 出口はあちらです」

再びドアを指差す。

「え、でも・・・」

「お・か・え・り・く・だ・さ・い」

「・・・はい、すいませんでした」

しょぼくれた感じでとぼとぼとドアから出ていき、パタリ。と閉まる。

夢から覚めたい。
と、目をつぶると意識がぼんやりとして・・・・



目を開けると、イシュトがいた。

「目が覚めましたか?」

イシュトが軽く驚いている様子。

ああ、目が覚めたんだ。

「わたし、どのくらいねてたのかな?」

少しショボショボする目をこすりながらイシュトに聞く。

「寝入ってしばらくしかしていませんよ?
 珍しいですね、すぐに目が覚めてしまうのは」

部屋に戻ってきてベットに寝かされてすぐだったようだ。
まだ掛物もかけられていない。

ふあぁ、とあくびが出る。

「眠たそうですね、もう少し、眠りますか?」

眠いっちゃぁ眠いのだが、どうも妙に目が覚めた感じもある。

「うーん・・・ねむけさめたきがする」

「では、ソファの方へ行きましょう」

ひょいと抱っこされ、寝室から続きの部屋のソファへ移動。
一緒に座ると、私には暖かいひざ掛けがかけられる。

まだまだ体が小さいので、ひざ掛けが毛布状態。

「眠れそうなら無理をせず眠ってくださいね。
 眼も使ったので、まだ眠りが足りないはずです」

やはり、集中して使うと疲れが出る。

イシュトの眼には私が視ようと思ってみているわけではない内容が集中すると視えるらしい。

ただ、本人曰く、自分の知識が増えるたびに少しずつ内容が変わるとのことから、
知識量も問題してくると思われる。

よく、私の体調も視ているらしい。

最近はたまにあ、視てる。って言うのがわかるくらいで、
視られ慣れたようでわからなくなってきてる。

ふぁ、とまたあくびがでる。

ふわふわのひざ掛けとイシュトの体温があったかくて気持ちいい。

ふとイシュトを見上げると、眠そうな顔だ。

再び訪れた睡魔に抗わず目を閉じる。
よしよし、とばかりに頭を撫でられ、
そのまま今度は心地よく眠れそう・・・
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