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8.二日目

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「今日の朝、小次郎さんと冬吾くんって人に会いました」

ベッドに座ったまま、沈黙に耐え兼ねて口を開いた。

「何の報告だ。勝手に出るなと言っただろう」

夜遅くになって、男が部屋に帰って来た。

「トイレに行こうとしたら出くわしただけだし」

「余計な詮索や勝手なことは一切するな」

勝手な言い分ばっかり。
少しぐらいなら出てもいいって言ったくせに。
ん?言ってないかな?
トイレぐらいならいいって言ったかな…
まあ、いいや…

明後日の方向を向いていると、突然ギシっとベッドが軋んだ。
男の膝が掛かると、厚く柔らかなベッドのスプリングがその重みで沈む。

「えっ…?!なに?!」

私はきょろきょろと当たりを見回した。
思わずベッドの上でじりじりと顔を引きつらせて、座ったまま後退る。

「早く慣れてもらわないとこっちが困る」

「えっ?!嘘でしょ?!昨日の今日よ?こういうのって毎日するもんじゃないでしょ?!」

「普通はな。今は普通の状況ではない」

「でっ、でもまだ身体もツラいし…」

後退っていた腰が、ベッドボードにとんとついた。

「お前の都合は聞いてない。早くしないといつまで経っても是匡これまさに引き渡せないだろうが。こっちだって暇じゃないんだ」

立てていた両膝をグンと引っ張られて、大きな男の身体の下に引き寄せられた。

「大丈夫だ、昨日より少しはマシだろ。…多分」

な、何今の最後にとってつけたような“多分”は。
余計に不安になる。

男が帯紐を引くとはらりと浴衣が開いて、また男に裸体を曝け出されてしまう。

やっぱり裸を見られるなんて、慣れない!

ぎゅっと目を瞑ったが、男は気にも止めずにその窪みへと躊躇なく指を這わす。
くっと男が指に力を入れると、やっぱり痛くて声を上げた。

「…んっ…ちょっ、嘘!待っ…いきなりはまだ痛いし…!」

「いつまでも力を入れてるからだろ。何度も力を抜けと言ってるのに素直じゃないからそうなる」

「なっ、素直じゃないって言ったって、慣れてないんだから仕方ないでしょ?!」

「屁理屈はいいから、早く力抜け」

男が溜め息をついてみせる。

「じゃ、じゃあ…キスしてくれたら言うこと聞く」

俯きかげんで目を伏せて言ってみたが、自分で言って顔が赤くなってしまう。

「あ゛っ?!」

「だっ、だって昨日キスされたら力抜けたんだもんっ!」

男を上目遣いで見上げたが、案の定男は怪訝な顔をしている。

「勘違いするなよ?別に俺はお前に特別な感情があるから、抱いてやってるわけじゃない。仕事だからやっているだけだ」

「そんなこと分かってますっ!少しでも痛みがマシになればと思ってるだけですっ!!」

「甘えるな」

男が冷たい眼で私を見下ろした。

「こういう時女の子は甘えたいものでしょっ!!男と違って、女はいつでもどこでも誰とでも簡単に身体が反応するわけじゃないんです!!!多少はそれなりの扱いをしてもらわなくちゃ、応じられません!!」

経験ないからよく分かんないけど。
きっと女の子なら誰でも、嘘だって分かってたって優しく触れられたい。
労られたいって思うはずだもん…

「めんどくさ…」

「それ!!!絶対女子に言っちゃダメなやつだから!」

「…分かった。それで大人しく従ってくれるなら、仕方ないな。ただし慣れるまでだぞ?」

何で俺が…という顔をしながらぐいと私の腕を引いて起こすと、男がそのまま顔を傾け唇を深く重ねた。
柔らかい唇の感触が伝わり、強引に男の舌が歯を抉じ開け入り込んでくる。

「…っんんぅ…」

男の濡れた舌がゆっくりと歯列をなぞり、まだ戸惑うことしかできない私の舌を捉えた。
舌が動くたびに唾液が絡まり、ちゅくちゅくと卑猥な水音が響く。
そのままもっと奥深くまで舌で犯されて、思わず口を離した。

「…ふっ…んぅ…っ…なっんか…昨日のキスよりエロいんですけどっ…んんっ……」

こんなのっ…反則!
力抜く前に頭がふやけてしまう。

「…お前がねだったんだろ」

見上げられたまま、吐息混じりの低い声で囁かれると、ゾクゾクと背筋が甘く疼いた。
じわっと溢れる感覚が、下着も何もつけていない下半身にあるのが分かる。

初めて感じた感覚だった。

いつでもどこでも誰とでも簡単に身体が反応するわけじゃないと自分で言っておきながら、自分の意思とは無関係に反応する身体が恨めしい。
これが女の反応なのかとぼんやり考えていると、男が指を下の入り口へと這わせた。

「濡れてるな」

「あっ、そこやだっ!まだ触らないでっ…」

私の意思などお構い無しで、男が容赦なくその太い指を腟内なかへと押し込んだ。
まだほぐれきれていない腟内なかを押し拡げられて、苦痛に表情を歪ませる。

「あっ、ちょっ…苦しっ…指抜いて…」

私の訴えを無視して、男が不意にまた口を塞いだ。
男の指はそのまま抜かれることなく、クチュクチュと卑猥な音を響かせながら腟内なかでゆっくりと動き出す。

「あっ…ぁんっ…はあっ、苦し…ってばっ!…あっ…んんっ…」

思わず男の口からまた唇を離して声を漏らした。

何これっ…
変な声が勝手に…
まだ奥は苦しいのに、もっとそれとは別の感じが込み上げてくる。

「だいぶ滑りがよくなったな。昨日の今日でもう気持ちよくなってきたか」

「んっ、やっあっ違っ…違うっ…」

「それを素直じゃないと言うんだ」

そう言って男が卑猥な音と共に、指をずるりと引き抜いた。
ドサっとそのまま私をベッドに倒して、その上に男が伸し掛かる。

「あっ…!やだっ、それはまだ怖いっ…」

どんと男の胸を押したがもちろんびくともせずに、その熱く硬いものを秘部に押し充てられて咄嗟に腰を反らせた。

「女の身体は男を受け入れるようにうまくできてる。後は慣れるだけだ」

そう言われてまたぐいと腰を引き寄せられると、その尖端をぐっと押し込められ思わず声を上げた。

「ァあっ…待っ…」

男が私の声を遮るようにまた口を塞いで、舌を絡ませてくる。

「…ぅんんっ…」

やっぱりまだ少し痛いっ…
でも…それとは違う感じも込み上げてきて、力が勝手に抜けていく…

唇が離れると、男が少し苦しそうに息を吐いた。

「そのまま最後まで力脱いてろ」

男に突かれる度に、明らかに昨日の痛みとは別の感覚の波がやはり押し寄せてくる。

こんなの毎日続けられたらこのまま本当におかしくなってしまうんじゃないかと、まるで自分が自分じゃなくなっていくような、そんな未知の恐怖に私は心底ゾッとした。
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