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第1章 少女と紫色
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2限目が始まるまでのあと7分間、来のノートを机に仕舞った夏音は、やはり環奈のことが気になり、2つ隣の教室に急いだ。
さっきと同じくドアのガラス窓越しに環奈の席を見ると、環奈の姿は無かった。しょうがなく自分の教室に戻ろうと、後ろを振り返ると、目の前に環奈が立っていた。
「わぁ!ビックリした…。」
思わず声を出した夏音に対し、環奈は冷めた声で聞いた。
「どうしたの?私に用?」
夏音は、ただ遠目で環奈のイロカゲを確認したかっただけだったので、直接本人に聞かれた時の答えを用意していなかった。
「…あ、あの。…その。…。」
モジモジしている夏音に、環奈はイライラしたのか、無言で夏音の横を通り抜け、教室の中へと入って行った。
「はぁ…。」
夏音は、自分を情けなく思った。本当は、環奈に聞きたいことがいくつもあったのに、何も聞けずに、しかも怒らせてしまっただけという失態。夏音は、とりあえず自分の教室に戻ろうと、チラッと環奈のイロカゲを見た。
「…え?」
つい二度見してしまった。夏音が初めて見るイロカゲだったからだ。
「…グレーと青が…青一色…いや紫に近い…?」
夏音は、イロカゲの紫は死に関する色であると認識している。自分の見間違えじゃないかと思い、目を細めて見つめていると、環奈と目が合ってしまい、夏音は慌ててその場を去った。
2限目が始まるチャイムと同時に教室に着いた夏音は、自席にダッシュし、椅子を引いて、画鋲が無いことを確認してから座った。
2限目の数学の授業も、環奈のイロカゲのことが気になって、全く頭に入ってこなかった。
夏音はカラー解読ノートを開きながら、記憶の中の環奈のイロカゲと照らし合わせていた。
イロカゲには全ての色での共通点があった。色が濃い方が悪い意味に繋がりやすいということだ。例えば、イロカゲの青色には複数の意味があるが、そのうちの一つ「体調が優れない」を例にとると、同じ青系でも淡い青よりも黒に近い青の方が命に関わる体調の不良であると夏音は気が付いている。
こうした情報は、勿論一人でコツコツとメモを取って、ノートに纏めたことで得られたものである。
また、イロカゲは頭とつま先で色が異なり、その間は、頭の色からつま先の色に変化をしていくグラデーションカラーをしている。何故2色あるのか、明確な答えは夏音にもわからなかったが、上半身の色が感情、下半身の色が命にかかわる情報を示す色であると考えている。
しかし、夏音の祖母のように、死期が近くなると、イロカゲは紫系の一色に変化するようだった。
夏音がさっき見た環奈のイロカゲは、感情を表す上半身の淡い青と、命を表す下半身の淡いグレーが両方とも、淡い紫色に変化しようとしているように見えた。
こんな現象のイロカゲは見たことが無かった。
「…じゃあ、この式の答えを三嶽。」
「…ふぇっ!?」
数学教師が夏音を指したが、考え事をしていたので、話を全く聞いていなかった。夏音は、まず教科書を急いで開き、黒板の数式を見ながら教科書をペラペラと捲った。
「…25。」
夏音にしか聞こえないくらいの声量で、来が呟いた。
「…25だよ。」
夏音は、来の声に気が付き、黒板に書かれた数式を、あたかも暗算しているような演技を少ししてから「25です。」と答えた。
「…正解だ。教科書を開いてなくても、ちゃんと聞いてたんだな。じゃあ次は…。」
夏音は、ふぅとため息をつくと、ノートの端をビリビリ破り、その紙に「ありがとう」と書いて、振り向くことなく、そっと腕を後ろに伸ばして来の机に置いた。
さっきと同じくドアのガラス窓越しに環奈の席を見ると、環奈の姿は無かった。しょうがなく自分の教室に戻ろうと、後ろを振り返ると、目の前に環奈が立っていた。
「わぁ!ビックリした…。」
思わず声を出した夏音に対し、環奈は冷めた声で聞いた。
「どうしたの?私に用?」
夏音は、ただ遠目で環奈のイロカゲを確認したかっただけだったので、直接本人に聞かれた時の答えを用意していなかった。
「…あ、あの。…その。…。」
モジモジしている夏音に、環奈はイライラしたのか、無言で夏音の横を通り抜け、教室の中へと入って行った。
「はぁ…。」
夏音は、自分を情けなく思った。本当は、環奈に聞きたいことがいくつもあったのに、何も聞けずに、しかも怒らせてしまっただけという失態。夏音は、とりあえず自分の教室に戻ろうと、チラッと環奈のイロカゲを見た。
「…え?」
つい二度見してしまった。夏音が初めて見るイロカゲだったからだ。
「…グレーと青が…青一色…いや紫に近い…?」
夏音は、イロカゲの紫は死に関する色であると認識している。自分の見間違えじゃないかと思い、目を細めて見つめていると、環奈と目が合ってしまい、夏音は慌ててその場を去った。
2限目が始まるチャイムと同時に教室に着いた夏音は、自席にダッシュし、椅子を引いて、画鋲が無いことを確認してから座った。
2限目の数学の授業も、環奈のイロカゲのことが気になって、全く頭に入ってこなかった。
夏音はカラー解読ノートを開きながら、記憶の中の環奈のイロカゲと照らし合わせていた。
イロカゲには全ての色での共通点があった。色が濃い方が悪い意味に繋がりやすいということだ。例えば、イロカゲの青色には複数の意味があるが、そのうちの一つ「体調が優れない」を例にとると、同じ青系でも淡い青よりも黒に近い青の方が命に関わる体調の不良であると夏音は気が付いている。
こうした情報は、勿論一人でコツコツとメモを取って、ノートに纏めたことで得られたものである。
また、イロカゲは頭とつま先で色が異なり、その間は、頭の色からつま先の色に変化をしていくグラデーションカラーをしている。何故2色あるのか、明確な答えは夏音にもわからなかったが、上半身の色が感情、下半身の色が命にかかわる情報を示す色であると考えている。
しかし、夏音の祖母のように、死期が近くなると、イロカゲは紫系の一色に変化するようだった。
夏音がさっき見た環奈のイロカゲは、感情を表す上半身の淡い青と、命を表す下半身の淡いグレーが両方とも、淡い紫色に変化しようとしているように見えた。
こんな現象のイロカゲは見たことが無かった。
「…じゃあ、この式の答えを三嶽。」
「…ふぇっ!?」
数学教師が夏音を指したが、考え事をしていたので、話を全く聞いていなかった。夏音は、まず教科書を急いで開き、黒板の数式を見ながら教科書をペラペラと捲った。
「…25。」
夏音にしか聞こえないくらいの声量で、来が呟いた。
「…25だよ。」
夏音は、来の声に気が付き、黒板に書かれた数式を、あたかも暗算しているような演技を少ししてから「25です。」と答えた。
「…正解だ。教科書を開いてなくても、ちゃんと聞いてたんだな。じゃあ次は…。」
夏音は、ふぅとため息をつくと、ノートの端をビリビリ破り、その紙に「ありがとう」と書いて、振り向くことなく、そっと腕を後ろに伸ばして来の机に置いた。
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