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第2章 先輩と黄色
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夏音はうつ伏せで寝そべる体勢のまま、仔犬をひたすら眺めていた。母親犬のベルも、自分にくるまれている仔犬たちが起きないようにじっと動かずに座り、まるで目と目で会話をするように夏音を見つめていた。
時間が経つのを忘れて眺めていたら、いつの間にか夕方になっていた。茜がリビングのソファに座り、何気なくテレビを付けると、ニュース番組がやっていた。テレビの音に気が付いた夏音は茜の隣に座り、ニュースに釘付けになった。
「学校のニュースってやったかな?」
「もうやっちゃったかもね…あ!」
茜の言葉の途中で、ニュースが夏音の学校の事件を報道し始めた。
“「続いてのニュースです。今日午前10時30分頃、神奈川県小田原市の高等学校で女子生徒が校舎から落下する事件がありました。女子生徒の机からは、遺書のようなものが見つかったことから、警察は自殺の可能性が高いとしつつも、慎重に捜査を進めていくとのことです。では、続いての……。」”
「…遺書、あったんだ…。」
夏音がテレビを凝視しながらボソッと呟いた。心此処に在らずに見えた茜は、テレビのチャンネルをドラマの再放送に切り替えた。
「…母さん。」
「…あんたが心配なのよ。深く考えたり、環奈さんのことを可哀想に思うことは勿論必要なことよ。
だけど、あなた、昔お婆ちゃんが亡くなった時も、しばらくの間、急に人形のように魂が抜けた感じになることが続いてたし。…人の死って嫌よね、本当に。…あ、そうそう!」
茜は何かを思い出したように、キッチンへと掛けていくと、お盆に何かを乗せて戻ってきた。
「はい、夏音の大好物!!」
それは近所のケーキ屋さんのアップルパイだった。夏音は、何も言わずにアップルパイを手に取り、一口頬張った。
「…美味しい。」
その言葉とともに、涙が頬を伝った。茜は何も言わずに、夏音の隣に座り、頭を包むように優しく撫でながら抱き締めた。
【小田原駅】
同時刻、駅のコンコースのベンチに奏は一人で座り炭酸飲料を飲んでいた。環奈の事件の後、すぐに学校から帰宅するように言われ、夏音と一緒に駅まで来ると、電車が反対方向の二人は改札を入ったところで別れた。
奏は夏音の姿が視界から消えると、また改札を出て、今座っているベンチを見つけ、それからずっとこの場所にいる。
奏は、このまま家に帰っても気持ちが落ち着くことはないと分かっていた。奏は、どうしても話がしたい人物がいて、その人物がこの場所を通るのをずっと待っていたのだ。
そして、ようやくその時がきた。奏は、その人物がこちらに向かって歩いてくる姿を見付けてベンチから立ち上がった。
その人物は、目線を下げて歩いていたため、奏の存在に気が付くことができず、奏の目の前を素通りしようとした。
「神楽!」
奏の声に気が付いた久保寺神楽は、顔を上げて声のした方へ振り返った。
「…奏。」
神楽は、環奈と同じクラスで、夏音が見たクラスメイトのイロカゲの中で、一番重い色をしていた生徒であったが、奏は勿論そんなことは知らなかった。
「神楽、ちょっと時間くれない?」
奏の神楽に対する口調は、夏音たちと話す時の天使のようなものではなかった。神楽は、難しい顔をしながらも頷いた。
二人は、無言のままその場を移動し始め、奏の誘導で近くのカフェへと入ることにした。
時間が経つのを忘れて眺めていたら、いつの間にか夕方になっていた。茜がリビングのソファに座り、何気なくテレビを付けると、ニュース番組がやっていた。テレビの音に気が付いた夏音は茜の隣に座り、ニュースに釘付けになった。
「学校のニュースってやったかな?」
「もうやっちゃったかもね…あ!」
茜の言葉の途中で、ニュースが夏音の学校の事件を報道し始めた。
“「続いてのニュースです。今日午前10時30分頃、神奈川県小田原市の高等学校で女子生徒が校舎から落下する事件がありました。女子生徒の机からは、遺書のようなものが見つかったことから、警察は自殺の可能性が高いとしつつも、慎重に捜査を進めていくとのことです。では、続いての……。」”
「…遺書、あったんだ…。」
夏音がテレビを凝視しながらボソッと呟いた。心此処に在らずに見えた茜は、テレビのチャンネルをドラマの再放送に切り替えた。
「…母さん。」
「…あんたが心配なのよ。深く考えたり、環奈さんのことを可哀想に思うことは勿論必要なことよ。
だけど、あなた、昔お婆ちゃんが亡くなった時も、しばらくの間、急に人形のように魂が抜けた感じになることが続いてたし。…人の死って嫌よね、本当に。…あ、そうそう!」
茜は何かを思い出したように、キッチンへと掛けていくと、お盆に何かを乗せて戻ってきた。
「はい、夏音の大好物!!」
それは近所のケーキ屋さんのアップルパイだった。夏音は、何も言わずにアップルパイを手に取り、一口頬張った。
「…美味しい。」
その言葉とともに、涙が頬を伝った。茜は何も言わずに、夏音の隣に座り、頭を包むように優しく撫でながら抱き締めた。
【小田原駅】
同時刻、駅のコンコースのベンチに奏は一人で座り炭酸飲料を飲んでいた。環奈の事件の後、すぐに学校から帰宅するように言われ、夏音と一緒に駅まで来ると、電車が反対方向の二人は改札を入ったところで別れた。
奏は夏音の姿が視界から消えると、また改札を出て、今座っているベンチを見つけ、それからずっとこの場所にいる。
奏は、このまま家に帰っても気持ちが落ち着くことはないと分かっていた。奏は、どうしても話がしたい人物がいて、その人物がこの場所を通るのをずっと待っていたのだ。
そして、ようやくその時がきた。奏は、その人物がこちらに向かって歩いてくる姿を見付けてベンチから立ち上がった。
その人物は、目線を下げて歩いていたため、奏の存在に気が付くことができず、奏の目の前を素通りしようとした。
「神楽!」
奏の声に気が付いた久保寺神楽は、顔を上げて声のした方へ振り返った。
「…奏。」
神楽は、環奈と同じクラスで、夏音が見たクラスメイトのイロカゲの中で、一番重い色をしていた生徒であったが、奏は勿論そんなことは知らなかった。
「神楽、ちょっと時間くれない?」
奏の神楽に対する口調は、夏音たちと話す時の天使のようなものではなかった。神楽は、難しい顔をしながらも頷いた。
二人は、無言のままその場を移動し始め、奏の誘導で近くのカフェへと入ることにした。
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