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第2章 先輩と黄色
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職員室では、警察が教師に聞き取り捜査を行っていた。
コンコンッ。ガラガラガラ。
「失礼します。」
順番が回ってきたと聞いた朝倉は、聞き取りをしている職員室のドアを開けた。すると、男女二人組の刑事が席を立ち上がって出迎えた。
「お忙しい中すみません。この件を捜査している内藤(ないとう)と、こちらは曽我(そが)です。」
朝倉はペコリと頭を下げ、女性刑事の内藤の対面に座ると、早速質問した。
「あの、由比は自殺したと聞いていたんですが、これは一体何の捜査なんですか?」
「…彼女、イジメに合っていたのはご存知ですか?」
「…いえ、由比が自殺してから、周りの生徒たちがそう言っていたことを耳にしたのが初めてで。部活の顧問もしながら、由比の悩みに気付くことも、彼女から相談できる信頼を得られていなかったことも、本当に情けない話です。」
朝倉は申し訳なさそうに答えた。
「そうですか。…では、これ意味わかりますか?」
男性刑事の曽我が、そう言ってビニール袋に入った紙切れを机の上に置いた。
「これは…?」
朝倉はビニール袋のまま手に取り、紙に書かれた殴り書きのような字体の文章をゆっくり音読した。
「“色が真実を語る。ついにあの人まで漆黒に。もう私には誰もいない、誰も だれもだれもだれもつらいつらいつらい ごめんなさいごめんなさいもう死……”。」
文章の最後の方になるにつれて、字体は大きく歪み最後は解読できなかった。
「それ、由比環奈さんの教室の机の中にあったものです。私達は遺書と考えています。」
内藤が淡々とした口調で言った。曽我が続けた。
「それで、色とか漆黒とか、その単語が示す意味が私達には分からなくて。色ってことで、単純ですが美術部とかが関係してたり…何か心当たりありませんか?」
朝倉は、しばらく紙を見つめながら考えたが、何も浮かばずに、首を傾げるばかりだった。
「…すみません。今はさっぱり思い付きません。」
「そうですか。なら何かわかったら連絡ください。」
そう言うと、曽我が名刺を机に置いた。
【三嶽宅】
同時刻。
夏音は、テレビのリモコンでチャンネルをカチャカチャ替えていた。環奈のニュースを取り上げている番組を探していたのだ。しかし、自殺が濃厚ということ以外、事件の捜査も進んでないことから、長い時間この事件を取り上げる番組がなく、新しい情報は何も得られなかった。
夏音が、諦めてまた仔犬の所に行こうとソファを立ち上がると、ポケットに入れていたスマホの着信音が鳴った。
「…小島(こじま)先輩?」
夏音は電話に出た。
「もしもし。三嶽です。」
「あ、夏音ちゃん?今日は大変だったよな。今どこ?」
「家です…けど。」
「由比さんの事で話したいことがあるんだけど、中央公園来れない?」
「…環奈の事?…い、行きます。今すぐ向かいますんで。」
夏音はそう言うと電話を切って、一応鏡で全身を確認してから玄関に向かった。
「あれ?夏音、どっか行くの?」
バタバタしている夏音に気が付いて、茜がキッチンの扉から顔を出した。夏音は慌てており、すっかり茜に出掛けることを伝え忘れていた。
「あ、うん。美術部の先輩が環奈の件で話があるって。夕飯もわかんないから、私の分は用意しなくていいや。」
夏音は、茜の返事を聞かぬうちに、玄関を飛び出した。
「…もう!折角カレー作ってたのに。」
茜は夏音が消えた玄関に怒りをぶつけるように呟いた。
電話をくれた小島叶多(こじまかなた)は、同じ美術部の三年生で、環奈を美術部に誘った男の先輩だ。夏音は、小島なら何か環奈について詳しい事を知ってるんじゃないかと思った。
待ち合わせの公園に着くと、遠くのベンチに小島と同じく美術部の先輩である片倉縁(かたくらゆかり)が座っているのが見えた。二人は夏音の姿を見ると、ベンチから立ちあがり手を振り、夏音は駆け足でベンチへと向かった。
「お待たせしました。」
「いやぁ、こちらこそ急にごめんね。」
小島が夏音にベンチに座るようにジェスチャーした。夏音はベンチに座ると、小島に質問した。
「あの、環奈の事って?」
「…いや、あのさ、由比さんが死んだのは俺のせいかもって…思って。」
うつむきながら話す小島の言葉に、夏音は驚いた。
夏音は咄嗟にイロカゲを見て、小島の言葉に嘘がないことを確認した。
小島の横で、片倉は小島を励ますような言葉を掛けていた。
「…あれ?」
いきなり驚いたような声をあげた夏音に、二人は夏音の顔に視線を向けた。
「…どうしたの?三嶽さん。」
「え、…いや、何でもないです。」
夏音は片倉の質問に嘘をついた。
(片倉先輩…黄色い。これって…?)
夏音は心の中で呟いた。
コンコンッ。ガラガラガラ。
「失礼します。」
順番が回ってきたと聞いた朝倉は、聞き取りをしている職員室のドアを開けた。すると、男女二人組の刑事が席を立ち上がって出迎えた。
「お忙しい中すみません。この件を捜査している内藤(ないとう)と、こちらは曽我(そが)です。」
朝倉はペコリと頭を下げ、女性刑事の内藤の対面に座ると、早速質問した。
「あの、由比は自殺したと聞いていたんですが、これは一体何の捜査なんですか?」
「…彼女、イジメに合っていたのはご存知ですか?」
「…いえ、由比が自殺してから、周りの生徒たちがそう言っていたことを耳にしたのが初めてで。部活の顧問もしながら、由比の悩みに気付くことも、彼女から相談できる信頼を得られていなかったことも、本当に情けない話です。」
朝倉は申し訳なさそうに答えた。
「そうですか。…では、これ意味わかりますか?」
男性刑事の曽我が、そう言ってビニール袋に入った紙切れを机の上に置いた。
「これは…?」
朝倉はビニール袋のまま手に取り、紙に書かれた殴り書きのような字体の文章をゆっくり音読した。
「“色が真実を語る。ついにあの人まで漆黒に。もう私には誰もいない、誰も だれもだれもだれもつらいつらいつらい ごめんなさいごめんなさいもう死……”。」
文章の最後の方になるにつれて、字体は大きく歪み最後は解読できなかった。
「それ、由比環奈さんの教室の机の中にあったものです。私達は遺書と考えています。」
内藤が淡々とした口調で言った。曽我が続けた。
「それで、色とか漆黒とか、その単語が示す意味が私達には分からなくて。色ってことで、単純ですが美術部とかが関係してたり…何か心当たりありませんか?」
朝倉は、しばらく紙を見つめながら考えたが、何も浮かばずに、首を傾げるばかりだった。
「…すみません。今はさっぱり思い付きません。」
「そうですか。なら何かわかったら連絡ください。」
そう言うと、曽我が名刺を机に置いた。
【三嶽宅】
同時刻。
夏音は、テレビのリモコンでチャンネルをカチャカチャ替えていた。環奈のニュースを取り上げている番組を探していたのだ。しかし、自殺が濃厚ということ以外、事件の捜査も進んでないことから、長い時間この事件を取り上げる番組がなく、新しい情報は何も得られなかった。
夏音が、諦めてまた仔犬の所に行こうとソファを立ち上がると、ポケットに入れていたスマホの着信音が鳴った。
「…小島(こじま)先輩?」
夏音は電話に出た。
「もしもし。三嶽です。」
「あ、夏音ちゃん?今日は大変だったよな。今どこ?」
「家です…けど。」
「由比さんの事で話したいことがあるんだけど、中央公園来れない?」
「…環奈の事?…い、行きます。今すぐ向かいますんで。」
夏音はそう言うと電話を切って、一応鏡で全身を確認してから玄関に向かった。
「あれ?夏音、どっか行くの?」
バタバタしている夏音に気が付いて、茜がキッチンの扉から顔を出した。夏音は慌てており、すっかり茜に出掛けることを伝え忘れていた。
「あ、うん。美術部の先輩が環奈の件で話があるって。夕飯もわかんないから、私の分は用意しなくていいや。」
夏音は、茜の返事を聞かぬうちに、玄関を飛び出した。
「…もう!折角カレー作ってたのに。」
茜は夏音が消えた玄関に怒りをぶつけるように呟いた。
電話をくれた小島叶多(こじまかなた)は、同じ美術部の三年生で、環奈を美術部に誘った男の先輩だ。夏音は、小島なら何か環奈について詳しい事を知ってるんじゃないかと思った。
待ち合わせの公園に着くと、遠くのベンチに小島と同じく美術部の先輩である片倉縁(かたくらゆかり)が座っているのが見えた。二人は夏音の姿を見ると、ベンチから立ちあがり手を振り、夏音は駆け足でベンチへと向かった。
「お待たせしました。」
「いやぁ、こちらこそ急にごめんね。」
小島が夏音にベンチに座るようにジェスチャーした。夏音はベンチに座ると、小島に質問した。
「あの、環奈の事って?」
「…いや、あのさ、由比さんが死んだのは俺のせいかもって…思って。」
うつむきながら話す小島の言葉に、夏音は驚いた。
夏音は咄嗟にイロカゲを見て、小島の言葉に嘘がないことを確認した。
小島の横で、片倉は小島を励ますような言葉を掛けていた。
「…あれ?」
いきなり驚いたような声をあげた夏音に、二人は夏音の顔に視線を向けた。
「…どうしたの?三嶽さん。」
「え、…いや、何でもないです。」
夏音は片倉の質問に嘘をついた。
(片倉先輩…黄色い。これって…?)
夏音は心の中で呟いた。
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