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第2章 先輩と黄色
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イロカゲの黄色は、珍しい現象で、他のイロカゲとは違って、上半身下半身という区切りで見える色ではなかった。
片倉のイロカゲは、上半身が心配を意味する青系の色で、下半身はほとんどの人と同じ薄いグレーだったが、それとは別にお腹の辺りに点のような黄色いイロカゲが見えていた。
このイロカゲは、最近では夏音の飼い犬のベルに見えていた現象だった。
(片倉先輩、“妊娠してる”んだ。)
夏音は聞きたくてもそんな質問は絶対に出来なかった。勿論デリカシー的な側面もあるが、イロカゲの黄色は妊娠の初期でしか見れないため、片倉本人も妊娠していることに気が付いていない可能性もあったからだ。
つまり、お腹の辺りの黄色のイロカゲは胎児の物であり、母体のイロカゲと重なっているように見えていた。そして、胎児が成長すると、胎児のイロカゲは、普通の人間と同じ二色のイロカゲの見え方に変化することを夏音は知っていた。
「…三嶽さん?」
片倉は、自分のお腹の辺りに、ずっと視線を寄せている夏音を不思議に感じた。夏音は、片倉の言葉が聞こえずに、変わらず視線をお腹に送っていた。
「夏音ちゃん!!」
小島の声にハッと我に返った夏音。
「夏音ちゃん、さっきから縁の腹見てるけど、何かあった?」
「へっ?あ、いや別に何も。…すみません、ぼーっとしちゃって。疲れが出てる…のかな。」
何とか誤魔化そうとした夏音は、話題を戻そうと話を続けた。
「小島先輩、さっきの環奈が死んだのが自分のせいみたいな話って、一体どういうことなんですか?」
小島は、またうつむいて暫く考え込んでから、ゆっくり話し出した。
「…俺、由比さんから告白されたんだ。でも…」
「…断った?」
小島の言葉が途切れたとこに、夏音が想像で聞いた。小島は、コクンと頷いた。
「昨日だったんだ。由比さんが死ぬ前の日…だから…だから…。」
「小島くん。悪く考えちゃうのはわかるけど、私はそうじゃないと思うよ。確かに由比さんを傷付けるような事だったかもしれないけど、好きな人に振られたからって、直ぐに命を絶つかしら。」
片倉は、落ち込む小島を必死で励ましていた。
片倉の言葉に、夏音はドキっとした。“環奈を傷付けるような事”…という言葉で、夏音は環奈が死ぬ直前に、約束を破り環奈を怒らせてしまった事を思い出した。
実はこの考えは、夏音の中でずっと潜在していた。“自分が環奈を自殺に追い込んだんだ…”。環奈が死んだのは自分のせいにはしたくないという身勝手な考えで、無理矢理頭の奥底に眠らせていた記憶だったのだ。
もう夏音の頭の中は、自分のせいで環奈が死んだんだという考えに支配されてしまい、気が付くと涙が流れていた。
「…三嶽さん?」
片倉が心配そうに夏音に声を掛けた。片倉の言葉でうつむいていた小島も顔を上げ、夏音を見つめた。
「…小島先輩。先輩は悪くないですよ。環奈が死んだのは、きっと私のせいです。小島先輩よりも、環奈が死ぬもっと直前に彼女を傷付けたんです。」
夏音は遠くの滑り台を見つめながら話した。
「三嶽さん。あなたまでそんなことを。私は小島くんも三嶽さんも関係ないと思ってるわ。だから、あなたを呼んだの。」
片倉の言葉に、夏音は意味が分からずに、涙を拭うことなく二人に振り向いた。
「…縁がさ、環奈が死んだのは朝倉先生が原因じゃないかって。夏音ちゃんなら、何か聞いてるじゃないかと思ってさ。」
小島は、そう言いながら夏音にハンカチを手渡した。夏音は一回涙を拭い、片倉に質問した。
「どうして朝倉先生が原因だと思うんですか?」
片倉は、夏音の顔を見ながら答えた。
「…2週間くらい前に私見ちゃったのよ。部活が終わって解散した後、忘れ物に気が付いて美術室に戻ったの。そしたら、まだ明かりがついてて、ドアのガラス部分から中を覗いたら、由比さんと朝倉先生が抱き合ってたの。…気不味くなるのが嫌で直ぐに引き返しちゃったけど。」
「…だから、縁は二人の恋愛関係の縺れじゃないかって。…でも、由比さんは昨日俺に告白してきたわけだし…何か色々混乱しちゃってよ。…夏音ちゃん、何か知らないかい?」
二人の話が衝撃すぎて、夏音は何もリアクションが出来なかった。
片倉のイロカゲは、上半身が心配を意味する青系の色で、下半身はほとんどの人と同じ薄いグレーだったが、それとは別にお腹の辺りに点のような黄色いイロカゲが見えていた。
このイロカゲは、最近では夏音の飼い犬のベルに見えていた現象だった。
(片倉先輩、“妊娠してる”んだ。)
夏音は聞きたくてもそんな質問は絶対に出来なかった。勿論デリカシー的な側面もあるが、イロカゲの黄色は妊娠の初期でしか見れないため、片倉本人も妊娠していることに気が付いていない可能性もあったからだ。
つまり、お腹の辺りの黄色のイロカゲは胎児の物であり、母体のイロカゲと重なっているように見えていた。そして、胎児が成長すると、胎児のイロカゲは、普通の人間と同じ二色のイロカゲの見え方に変化することを夏音は知っていた。
「…三嶽さん?」
片倉は、自分のお腹の辺りに、ずっと視線を寄せている夏音を不思議に感じた。夏音は、片倉の言葉が聞こえずに、変わらず視線をお腹に送っていた。
「夏音ちゃん!!」
小島の声にハッと我に返った夏音。
「夏音ちゃん、さっきから縁の腹見てるけど、何かあった?」
「へっ?あ、いや別に何も。…すみません、ぼーっとしちゃって。疲れが出てる…のかな。」
何とか誤魔化そうとした夏音は、話題を戻そうと話を続けた。
「小島先輩、さっきの環奈が死んだのが自分のせいみたいな話って、一体どういうことなんですか?」
小島は、またうつむいて暫く考え込んでから、ゆっくり話し出した。
「…俺、由比さんから告白されたんだ。でも…」
「…断った?」
小島の言葉が途切れたとこに、夏音が想像で聞いた。小島は、コクンと頷いた。
「昨日だったんだ。由比さんが死ぬ前の日…だから…だから…。」
「小島くん。悪く考えちゃうのはわかるけど、私はそうじゃないと思うよ。確かに由比さんを傷付けるような事だったかもしれないけど、好きな人に振られたからって、直ぐに命を絶つかしら。」
片倉は、落ち込む小島を必死で励ましていた。
片倉の言葉に、夏音はドキっとした。“環奈を傷付けるような事”…という言葉で、夏音は環奈が死ぬ直前に、約束を破り環奈を怒らせてしまった事を思い出した。
実はこの考えは、夏音の中でずっと潜在していた。“自分が環奈を自殺に追い込んだんだ…”。環奈が死んだのは自分のせいにはしたくないという身勝手な考えで、無理矢理頭の奥底に眠らせていた記憶だったのだ。
もう夏音の頭の中は、自分のせいで環奈が死んだんだという考えに支配されてしまい、気が付くと涙が流れていた。
「…三嶽さん?」
片倉が心配そうに夏音に声を掛けた。片倉の言葉でうつむいていた小島も顔を上げ、夏音を見つめた。
「…小島先輩。先輩は悪くないですよ。環奈が死んだのは、きっと私のせいです。小島先輩よりも、環奈が死ぬもっと直前に彼女を傷付けたんです。」
夏音は遠くの滑り台を見つめながら話した。
「三嶽さん。あなたまでそんなことを。私は小島くんも三嶽さんも関係ないと思ってるわ。だから、あなたを呼んだの。」
片倉の言葉に、夏音は意味が分からずに、涙を拭うことなく二人に振り向いた。
「…縁がさ、環奈が死んだのは朝倉先生が原因じゃないかって。夏音ちゃんなら、何か聞いてるじゃないかと思ってさ。」
小島は、そう言いながら夏音にハンカチを手渡した。夏音は一回涙を拭い、片倉に質問した。
「どうして朝倉先生が原因だと思うんですか?」
片倉は、夏音の顔を見ながら答えた。
「…2週間くらい前に私見ちゃったのよ。部活が終わって解散した後、忘れ物に気が付いて美術室に戻ったの。そしたら、まだ明かりがついてて、ドアのガラス部分から中を覗いたら、由比さんと朝倉先生が抱き合ってたの。…気不味くなるのが嫌で直ぐに引き返しちゃったけど。」
「…だから、縁は二人の恋愛関係の縺れじゃないかって。…でも、由比さんは昨日俺に告白してきたわけだし…何か色々混乱しちゃってよ。…夏音ちゃん、何か知らないかい?」
二人の話が衝撃すぎて、夏音は何もリアクションが出来なかった。
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