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ジャポンに行きたいのに、どうしてかしら。ことごとくユージンが来る。
情報漏洩? と思うけど、私の計画なんて全て突発的なものだから、情報漏洩はありえないわね。
「一緒に行こうか、アスティ」
「行かないわ。今から頭痛で寝るの」
「アスティ、そう言って昨日もだったよ。やっぱり城で暮らそうか」
ああ言えばこう言うぅ……。一緒に行きたくないのに。
それでなくともユージンは顔だけで目立つのに。前回のはフードのおかげでジャポンの店以外の人間に見られてはなかったと思うけど、私はばっちり見られてる。
もう行きたくないレベルよ。行くけど。今度からはフードを被って行くわ。
怪しいけど、それくらいしなくちゃ危険なの!
「ユージン、仕事は?」
「アスティのために余裕を持って終わらせてるから」
にっこりと笑顔だけど、なんかクマができてない? って、あら? よく見たら私のユージンの美しい顔に、疲れが出てる!
「ユージン、寝て」
「アスティからお誘い?」
「違うわ。その疲れた顔をどうにかしてと言ってるの」
ユージンの顔を手で包む。ちょっと肌もカサカサしてるじゃない。信じられない。
出掛けてる場合じゃない。こんなの、完璧なユージンの顔が疲れてるなんて。休ませないと。
「疲れてるでしょ? 無理しちゃダメよ。休まないと」
「ちょっと寝てないだけだよ。平気。一緒にあの店に行こう?」
寝てないってどんだけ寝てないのよ。
わからないけど、美しい顔に疲れが出るくらいだもの。それだけ寝てないってことよね。可哀想に。私の美しい顔が。
寝るとしたら私の部屋よね。部屋のベッドを使わせればいいわ。客室もあるけど、あそこはあくまで客室。客室のベッドと私のベッド、どちらがいいかなんて決まってる。私のベッドはふかふかもふもふの最上級のものなのよ。ベッドにはこだわりました。
毎日寝る場所だもの。こだわらなくちゃね。
「寝ましょう、ユージン。あなたが心配だわ」
「アスティ……」
マーズに部屋に行くことを伝えて、ユージンの手を引く。
別に誘ってるわけじゃないわよ。それに今のユージンは疲れててそんなこと考えられないだろうし。
私だって元気いっぱいの成人男性と二人きりになったら危険だってくらいわかるわ。今のユージンは元気いっぱいじゃないからいいの。
靴を履き替えさせて、部屋のベッドに案内する。
「寝て、ユージン」
「いや、アスティ……」
「一人じゃ眠れないの? しょうがないわね。膝枕は……ちょっと辛いから、添い寝してあげるわ」
膝枕はしてあげてもいいんだけど、その間ヒマでしょうがなくなるのが目に見えてる。
ユージンに膝枕なんてしてあげたら、どんな反応をするのか気になるところだけど、準備ができてないからまた今度ね。
ユージンを無理矢理ベッドに押し倒して、その横に私も横になった。
「寝なさい」
「アスティ……眠いけど、これで寝たらすごくもったいない気が……」
「寝るの。添い寝だけならいつでもしてあげる。だからさっさと寝て、いつもの美しいユージンに戻って」
言っておくけど、添い寝はユージンだけの特権よ。誰にでもするわけじゃないわ。膝枕は秘密兵器たちにはよくしてたけど。マーズには今でもしてるわね。キュリーもたまに。あとは最近は会ってないけど、ヴィーにも。さすがに男の子たちにはしてないけど。
ちなみにヴィーは領地の孤児院を任せてる秘密兵器その4。金曜日に拾ったからヴィーね。ピーターとジュンはセットだから、二人合わせて秘密兵器その3なの。
添い寝もあの子達が小さい頃にはよくしたけど、今はしてない。ユージンだけ。
それ以上のこともしてるしね。添い寝ぐらいどうってことないわ。むしろユージンの美しい顔を近くで拝めて、グッジョブってやつ。
「ほら、寝なさい」
ポンポンとユージンの頭を撫でてあげる。ユージンは顔を赤くしたかと思うと、私をギュッと抱き寄せて、腕の中へと閉じ込めた。
撫でられるのも、ユージンがかわいくなっちゃうスイッチなの? あとでしよう。
でも、添い寝って普通は私がユージンを抱き締めて寝てあげるものじゃないのかしら。これじゃあ、私はただの抱き枕だわ。
「ねぇ、ユージン……って、寝てる……」
どんだけ疲れてたのよ。
顔を上げてユージンを見ると、ユージンは気持ち良さそうにスヤスヤと寝ていた。つまり、それだけ疲れてたってことね。
私と会うために無理し過ぎってこと?
気持ちは嬉しいけど、そんなに無理して欲しくないのに。
ユージンの身体が一番だわ。私の大好きな顔だもの。いつでも元気でいてくれないと。
せっかくだから、ユージンの顔をジッと見つめる。
伏せられた睫毛の長さ。ユージンの睫毛って本当に長い。マッチ一本乗りそう。マッチなんてないけど。
少しクマがあるけど、許容範囲ね。そんなものじゃユージンの美しさのバランスは崩れない。そりゃあクマがないほうがユージンは美しいけど。
そういえば髪を縛ってたら寝づらいわよね。
ということで、おそるおそるユージンの髪を縛る紐を外した。
はらりとユージンの流れる髪がベッドに落ちる。
「はぅっ」
なにこれなにこれ~! すごく素敵だわ! 髪下ろした姿も好き~!
そういえばユージンの髪を下ろした姿を見るのは初めてだわ。だって私が起きるときには、いつも先に起きていたもの。それにしてるときも、ユージンはいつも髪は縛ってたし。
もったいないことをしたわ。こんなの今まで見逃してたなんて。
いつもキチッとしてるのに、無防備な姿ってとってもときめく。これも一種のギャップ萌えね。
どうしてユージンはこんなに美しいのかしら。神秘だわ。奇跡だわ。
ユージンが私を好きになったことは奇跡でもなんでもないわよ。私の実力だもの。
ユージンをジッと見てたら、私もなんだか眠くなってきた。
寝てもいいわよね。今日もなにもない日だもの。
「からだは、だいじにしてね」
ユージンの胸にぐりぐりと顔を寄せて目を閉じる。
人の温もりってやっぱり心地いいわ……。
ユージンの温もりに自分の身を任せて、私は心地いい眠りに誘われた。
情報漏洩? と思うけど、私の計画なんて全て突発的なものだから、情報漏洩はありえないわね。
「一緒に行こうか、アスティ」
「行かないわ。今から頭痛で寝るの」
「アスティ、そう言って昨日もだったよ。やっぱり城で暮らそうか」
ああ言えばこう言うぅ……。一緒に行きたくないのに。
それでなくともユージンは顔だけで目立つのに。前回のはフードのおかげでジャポンの店以外の人間に見られてはなかったと思うけど、私はばっちり見られてる。
もう行きたくないレベルよ。行くけど。今度からはフードを被って行くわ。
怪しいけど、それくらいしなくちゃ危険なの!
「ユージン、仕事は?」
「アスティのために余裕を持って終わらせてるから」
にっこりと笑顔だけど、なんかクマができてない? って、あら? よく見たら私のユージンの美しい顔に、疲れが出てる!
「ユージン、寝て」
「アスティからお誘い?」
「違うわ。その疲れた顔をどうにかしてと言ってるの」
ユージンの顔を手で包む。ちょっと肌もカサカサしてるじゃない。信じられない。
出掛けてる場合じゃない。こんなの、完璧なユージンの顔が疲れてるなんて。休ませないと。
「疲れてるでしょ? 無理しちゃダメよ。休まないと」
「ちょっと寝てないだけだよ。平気。一緒にあの店に行こう?」
寝てないってどんだけ寝てないのよ。
わからないけど、美しい顔に疲れが出るくらいだもの。それだけ寝てないってことよね。可哀想に。私の美しい顔が。
寝るとしたら私の部屋よね。部屋のベッドを使わせればいいわ。客室もあるけど、あそこはあくまで客室。客室のベッドと私のベッド、どちらがいいかなんて決まってる。私のベッドはふかふかもふもふの最上級のものなのよ。ベッドにはこだわりました。
毎日寝る場所だもの。こだわらなくちゃね。
「寝ましょう、ユージン。あなたが心配だわ」
「アスティ……」
マーズに部屋に行くことを伝えて、ユージンの手を引く。
別に誘ってるわけじゃないわよ。それに今のユージンは疲れててそんなこと考えられないだろうし。
私だって元気いっぱいの成人男性と二人きりになったら危険だってくらいわかるわ。今のユージンは元気いっぱいじゃないからいいの。
靴を履き替えさせて、部屋のベッドに案内する。
「寝て、ユージン」
「いや、アスティ……」
「一人じゃ眠れないの? しょうがないわね。膝枕は……ちょっと辛いから、添い寝してあげるわ」
膝枕はしてあげてもいいんだけど、その間ヒマでしょうがなくなるのが目に見えてる。
ユージンに膝枕なんてしてあげたら、どんな反応をするのか気になるところだけど、準備ができてないからまた今度ね。
ユージンを無理矢理ベッドに押し倒して、その横に私も横になった。
「寝なさい」
「アスティ……眠いけど、これで寝たらすごくもったいない気が……」
「寝るの。添い寝だけならいつでもしてあげる。だからさっさと寝て、いつもの美しいユージンに戻って」
言っておくけど、添い寝はユージンだけの特権よ。誰にでもするわけじゃないわ。膝枕は秘密兵器たちにはよくしてたけど。マーズには今でもしてるわね。キュリーもたまに。あとは最近は会ってないけど、ヴィーにも。さすがに男の子たちにはしてないけど。
ちなみにヴィーは領地の孤児院を任せてる秘密兵器その4。金曜日に拾ったからヴィーね。ピーターとジュンはセットだから、二人合わせて秘密兵器その3なの。
添い寝もあの子達が小さい頃にはよくしたけど、今はしてない。ユージンだけ。
それ以上のこともしてるしね。添い寝ぐらいどうってことないわ。むしろユージンの美しい顔を近くで拝めて、グッジョブってやつ。
「ほら、寝なさい」
ポンポンとユージンの頭を撫でてあげる。ユージンは顔を赤くしたかと思うと、私をギュッと抱き寄せて、腕の中へと閉じ込めた。
撫でられるのも、ユージンがかわいくなっちゃうスイッチなの? あとでしよう。
でも、添い寝って普通は私がユージンを抱き締めて寝てあげるものじゃないのかしら。これじゃあ、私はただの抱き枕だわ。
「ねぇ、ユージン……って、寝てる……」
どんだけ疲れてたのよ。
顔を上げてユージンを見ると、ユージンは気持ち良さそうにスヤスヤと寝ていた。つまり、それだけ疲れてたってことね。
私と会うために無理し過ぎってこと?
気持ちは嬉しいけど、そんなに無理して欲しくないのに。
ユージンの身体が一番だわ。私の大好きな顔だもの。いつでも元気でいてくれないと。
せっかくだから、ユージンの顔をジッと見つめる。
伏せられた睫毛の長さ。ユージンの睫毛って本当に長い。マッチ一本乗りそう。マッチなんてないけど。
少しクマがあるけど、許容範囲ね。そんなものじゃユージンの美しさのバランスは崩れない。そりゃあクマがないほうがユージンは美しいけど。
そういえば髪を縛ってたら寝づらいわよね。
ということで、おそるおそるユージンの髪を縛る紐を外した。
はらりとユージンの流れる髪がベッドに落ちる。
「はぅっ」
なにこれなにこれ~! すごく素敵だわ! 髪下ろした姿も好き~!
そういえばユージンの髪を下ろした姿を見るのは初めてだわ。だって私が起きるときには、いつも先に起きていたもの。それにしてるときも、ユージンはいつも髪は縛ってたし。
もったいないことをしたわ。こんなの今まで見逃してたなんて。
いつもキチッとしてるのに、無防備な姿ってとってもときめく。これも一種のギャップ萌えね。
どうしてユージンはこんなに美しいのかしら。神秘だわ。奇跡だわ。
ユージンが私を好きになったことは奇跡でもなんでもないわよ。私の実力だもの。
ユージンをジッと見てたら、私もなんだか眠くなってきた。
寝てもいいわよね。今日もなにもない日だもの。
「からだは、だいじにしてね」
ユージンの胸にぐりぐりと顔を寄せて目を閉じる。
人の温もりってやっぱり心地いいわ……。
ユージンの温もりに自分の身を任せて、私は心地いい眠りに誘われた。
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