35 / 59
29
ジャポンに行きたいのに、どうしてかしら。ことごとくユージンが来る。
情報漏洩? と思うけど、私の計画なんて全て突発的なものだから、情報漏洩はありえないわね。
「一緒に行こうか、アスティ」
「行かないわ。今から頭痛で寝るの」
「アスティ、そう言って昨日もだったよ。やっぱり城で暮らそうか」
ああ言えばこう言うぅ……。一緒に行きたくないのに。
それでなくともユージンは顔だけで目立つのに。前回のはフードのおかげでジャポンの店以外の人間に見られてはなかったと思うけど、私はばっちり見られてる。
もう行きたくないレベルよ。行くけど。今度からはフードを被って行くわ。
怪しいけど、それくらいしなくちゃ危険なの!
「ユージン、仕事は?」
「アスティのために余裕を持って終わらせてるから」
にっこりと笑顔だけど、なんかクマができてない? って、あら? よく見たら私のユージンの美しい顔に、疲れが出てる!
「ユージン、寝て」
「アスティからお誘い?」
「違うわ。その疲れた顔をどうにかしてと言ってるの」
ユージンの顔を手で包む。ちょっと肌もカサカサしてるじゃない。信じられない。
出掛けてる場合じゃない。こんなの、完璧なユージンの顔が疲れてるなんて。休ませないと。
「疲れてるでしょ? 無理しちゃダメよ。休まないと」
「ちょっと寝てないだけだよ。平気。一緒にあの店に行こう?」
寝てないってどんだけ寝てないのよ。
わからないけど、美しい顔に疲れが出るくらいだもの。それだけ寝てないってことよね。可哀想に。私の美しい顔が。
寝るとしたら私の部屋よね。部屋のベッドを使わせればいいわ。客室もあるけど、あそこはあくまで客室。客室のベッドと私のベッド、どちらがいいかなんて決まってる。私のベッドはふかふかもふもふの最上級のものなのよ。ベッドにはこだわりました。
毎日寝る場所だもの。こだわらなくちゃね。
「寝ましょう、ユージン。あなたが心配だわ」
「アスティ……」
マーズに部屋に行くことを伝えて、ユージンの手を引く。
別に誘ってるわけじゃないわよ。それに今のユージンは疲れててそんなこと考えられないだろうし。
私だって元気いっぱいの成人男性と二人きりになったら危険だってくらいわかるわ。今のユージンは元気いっぱいじゃないからいいの。
靴を履き替えさせて、部屋のベッドに案内する。
「寝て、ユージン」
「いや、アスティ……」
「一人じゃ眠れないの? しょうがないわね。膝枕は……ちょっと辛いから、添い寝してあげるわ」
膝枕はしてあげてもいいんだけど、その間ヒマでしょうがなくなるのが目に見えてる。
ユージンに膝枕なんてしてあげたら、どんな反応をするのか気になるところだけど、準備ができてないからまた今度ね。
ユージンを無理矢理ベッドに押し倒して、その横に私も横になった。
「寝なさい」
「アスティ……眠いけど、これで寝たらすごくもったいない気が……」
「寝るの。添い寝だけならいつでもしてあげる。だからさっさと寝て、いつもの美しいユージンに戻って」
言っておくけど、添い寝はユージンだけの特権よ。誰にでもするわけじゃないわ。膝枕は秘密兵器たちにはよくしてたけど。マーズには今でもしてるわね。キュリーもたまに。あとは最近は会ってないけど、ヴィーにも。さすがに男の子たちにはしてないけど。
ちなみにヴィーは領地の孤児院を任せてる秘密兵器その4。金曜日に拾ったからヴィーね。ピーターとジュンはセットだから、二人合わせて秘密兵器その3なの。
添い寝もあの子達が小さい頃にはよくしたけど、今はしてない。ユージンだけ。
それ以上のこともしてるしね。添い寝ぐらいどうってことないわ。むしろユージンの美しい顔を近くで拝めて、グッジョブってやつ。
「ほら、寝なさい」
ポンポンとユージンの頭を撫でてあげる。ユージンは顔を赤くしたかと思うと、私をギュッと抱き寄せて、腕の中へと閉じ込めた。
撫でられるのも、ユージンがかわいくなっちゃうスイッチなの? あとでしよう。
でも、添い寝って普通は私がユージンを抱き締めて寝てあげるものじゃないのかしら。これじゃあ、私はただの抱き枕だわ。
「ねぇ、ユージン……って、寝てる……」
どんだけ疲れてたのよ。
顔を上げてユージンを見ると、ユージンは気持ち良さそうにスヤスヤと寝ていた。つまり、それだけ疲れてたってことね。
私と会うために無理し過ぎってこと?
気持ちは嬉しいけど、そんなに無理して欲しくないのに。
ユージンの身体が一番だわ。私の大好きな顔だもの。いつでも元気でいてくれないと。
せっかくだから、ユージンの顔をジッと見つめる。
伏せられた睫毛の長さ。ユージンの睫毛って本当に長い。マッチ一本乗りそう。マッチなんてないけど。
少しクマがあるけど、許容範囲ね。そんなものじゃユージンの美しさのバランスは崩れない。そりゃあクマがないほうがユージンは美しいけど。
そういえば髪を縛ってたら寝づらいわよね。
ということで、おそるおそるユージンの髪を縛る紐を外した。
はらりとユージンの流れる髪がベッドに落ちる。
「はぅっ」
なにこれなにこれ~! すごく素敵だわ! 髪下ろした姿も好き~!
そういえばユージンの髪を下ろした姿を見るのは初めてだわ。だって私が起きるときには、いつも先に起きていたもの。それにしてるときも、ユージンはいつも髪は縛ってたし。
もったいないことをしたわ。こんなの今まで見逃してたなんて。
いつもキチッとしてるのに、無防備な姿ってとってもときめく。これも一種のギャップ萌えね。
どうしてユージンはこんなに美しいのかしら。神秘だわ。奇跡だわ。
ユージンが私を好きになったことは奇跡でもなんでもないわよ。私の実力だもの。
ユージンをジッと見てたら、私もなんだか眠くなってきた。
寝てもいいわよね。今日もなにもない日だもの。
「からだは、だいじにしてね」
ユージンの胸にぐりぐりと顔を寄せて目を閉じる。
人の温もりってやっぱり心地いいわ……。
ユージンの温もりに自分の身を任せて、私は心地いい眠りに誘われた。
情報漏洩? と思うけど、私の計画なんて全て突発的なものだから、情報漏洩はありえないわね。
「一緒に行こうか、アスティ」
「行かないわ。今から頭痛で寝るの」
「アスティ、そう言って昨日もだったよ。やっぱり城で暮らそうか」
ああ言えばこう言うぅ……。一緒に行きたくないのに。
それでなくともユージンは顔だけで目立つのに。前回のはフードのおかげでジャポンの店以外の人間に見られてはなかったと思うけど、私はばっちり見られてる。
もう行きたくないレベルよ。行くけど。今度からはフードを被って行くわ。
怪しいけど、それくらいしなくちゃ危険なの!
「ユージン、仕事は?」
「アスティのために余裕を持って終わらせてるから」
にっこりと笑顔だけど、なんかクマができてない? って、あら? よく見たら私のユージンの美しい顔に、疲れが出てる!
「ユージン、寝て」
「アスティからお誘い?」
「違うわ。その疲れた顔をどうにかしてと言ってるの」
ユージンの顔を手で包む。ちょっと肌もカサカサしてるじゃない。信じられない。
出掛けてる場合じゃない。こんなの、完璧なユージンの顔が疲れてるなんて。休ませないと。
「疲れてるでしょ? 無理しちゃダメよ。休まないと」
「ちょっと寝てないだけだよ。平気。一緒にあの店に行こう?」
寝てないってどんだけ寝てないのよ。
わからないけど、美しい顔に疲れが出るくらいだもの。それだけ寝てないってことよね。可哀想に。私の美しい顔が。
寝るとしたら私の部屋よね。部屋のベッドを使わせればいいわ。客室もあるけど、あそこはあくまで客室。客室のベッドと私のベッド、どちらがいいかなんて決まってる。私のベッドはふかふかもふもふの最上級のものなのよ。ベッドにはこだわりました。
毎日寝る場所だもの。こだわらなくちゃね。
「寝ましょう、ユージン。あなたが心配だわ」
「アスティ……」
マーズに部屋に行くことを伝えて、ユージンの手を引く。
別に誘ってるわけじゃないわよ。それに今のユージンは疲れててそんなこと考えられないだろうし。
私だって元気いっぱいの成人男性と二人きりになったら危険だってくらいわかるわ。今のユージンは元気いっぱいじゃないからいいの。
靴を履き替えさせて、部屋のベッドに案内する。
「寝て、ユージン」
「いや、アスティ……」
「一人じゃ眠れないの? しょうがないわね。膝枕は……ちょっと辛いから、添い寝してあげるわ」
膝枕はしてあげてもいいんだけど、その間ヒマでしょうがなくなるのが目に見えてる。
ユージンに膝枕なんてしてあげたら、どんな反応をするのか気になるところだけど、準備ができてないからまた今度ね。
ユージンを無理矢理ベッドに押し倒して、その横に私も横になった。
「寝なさい」
「アスティ……眠いけど、これで寝たらすごくもったいない気が……」
「寝るの。添い寝だけならいつでもしてあげる。だからさっさと寝て、いつもの美しいユージンに戻って」
言っておくけど、添い寝はユージンだけの特権よ。誰にでもするわけじゃないわ。膝枕は秘密兵器たちにはよくしてたけど。マーズには今でもしてるわね。キュリーもたまに。あとは最近は会ってないけど、ヴィーにも。さすがに男の子たちにはしてないけど。
ちなみにヴィーは領地の孤児院を任せてる秘密兵器その4。金曜日に拾ったからヴィーね。ピーターとジュンはセットだから、二人合わせて秘密兵器その3なの。
添い寝もあの子達が小さい頃にはよくしたけど、今はしてない。ユージンだけ。
それ以上のこともしてるしね。添い寝ぐらいどうってことないわ。むしろユージンの美しい顔を近くで拝めて、グッジョブってやつ。
「ほら、寝なさい」
ポンポンとユージンの頭を撫でてあげる。ユージンは顔を赤くしたかと思うと、私をギュッと抱き寄せて、腕の中へと閉じ込めた。
撫でられるのも、ユージンがかわいくなっちゃうスイッチなの? あとでしよう。
でも、添い寝って普通は私がユージンを抱き締めて寝てあげるものじゃないのかしら。これじゃあ、私はただの抱き枕だわ。
「ねぇ、ユージン……って、寝てる……」
どんだけ疲れてたのよ。
顔を上げてユージンを見ると、ユージンは気持ち良さそうにスヤスヤと寝ていた。つまり、それだけ疲れてたってことね。
私と会うために無理し過ぎってこと?
気持ちは嬉しいけど、そんなに無理して欲しくないのに。
ユージンの身体が一番だわ。私の大好きな顔だもの。いつでも元気でいてくれないと。
せっかくだから、ユージンの顔をジッと見つめる。
伏せられた睫毛の長さ。ユージンの睫毛って本当に長い。マッチ一本乗りそう。マッチなんてないけど。
少しクマがあるけど、許容範囲ね。そんなものじゃユージンの美しさのバランスは崩れない。そりゃあクマがないほうがユージンは美しいけど。
そういえば髪を縛ってたら寝づらいわよね。
ということで、おそるおそるユージンの髪を縛る紐を外した。
はらりとユージンの流れる髪がベッドに落ちる。
「はぅっ」
なにこれなにこれ~! すごく素敵だわ! 髪下ろした姿も好き~!
そういえばユージンの髪を下ろした姿を見るのは初めてだわ。だって私が起きるときには、いつも先に起きていたもの。それにしてるときも、ユージンはいつも髪は縛ってたし。
もったいないことをしたわ。こんなの今まで見逃してたなんて。
いつもキチッとしてるのに、無防備な姿ってとってもときめく。これも一種のギャップ萌えね。
どうしてユージンはこんなに美しいのかしら。神秘だわ。奇跡だわ。
ユージンが私を好きになったことは奇跡でもなんでもないわよ。私の実力だもの。
ユージンをジッと見てたら、私もなんだか眠くなってきた。
寝てもいいわよね。今日もなにもない日だもの。
「からだは、だいじにしてね」
ユージンの胸にぐりぐりと顔を寄せて目を閉じる。
人の温もりってやっぱり心地いいわ……。
ユージンの温もりに自分の身を任せて、私は心地いい眠りに誘われた。
あなたにおすすめの小説
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
だから言ったでしょう?
わらびもち
恋愛
ロザリンドの夫は職場で若い女性から手製の菓子を貰っている。
その行為がどれだけ妻を傷つけるのか、そしてどれだけ危険なのかを理解しない夫。
ロザリンドはそんな夫に失望したーーー。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※