目を覚ますとサークル1のイケメンが隣で寝ていた件について

白井ゆき

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1章

7※

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 ぐちゅり、と音を立てて入り込んだそれは、数分前まで動き回っていた指の何倍も大きく、その質量感に喉から乾いた息が漏れた。こちらの様子を窺いながら、ゆっくりと分け入ったそれは、浅いところでぬぷぬぷと抜き差しを繰り返す。
 その場所は、散々指でいじられていたところで、呼吸の仕方さえも分からなくなる。

「はっ、まって、……んっ、あっ、……や、ぁ、そこばっか、やめっ……」
「奥の方がいいってか?」
「ちが、うぅ、んっ……ひぃっ……!」

 一気に奥を突かれ、目の前が一瞬白くなる。肌が触れ合う音と共に、もう一度突かれると引き攣ったような甘い声が上がった。

「やだぁっ! それ、やぁっ! ぁ、ぁ、あっ、ああぁぁっ!」
「イキっぱなしのくせに、何言ってんだよ」
「だってぇっ……ひゃぁあっ、だめっ、……~~~~っ!」

 痙攣した身体が何度も跳ね上がる。水音と乾いた音を響かせながら、がつがつと奥への刺激を与えられ、震える身体で何とか上方へと這って逃げれば、腰を掴んだ藤咲綾人により元の場所に引き戻される。その際に、腰を打ち付けることも忘れておらず、更に奥へとのめり込んだ。
 暴力的なまでの快感が背筋を一気に駆け上がり、頭の中で弾ける。その余韻に浸る間もなく、次から次へと与えられる刺激に、叫ぶような声を出すことしかできなかった。次第に、後ろから聞こえる息遣いも切羽詰まったものになっていく。

「ゃぁぁああっ! あぁっ……! 、はっ、だめ、ゆるめ、て、ぁぁあっ!」
「はっ、なか、やっば」
「んぁっ、んんんっ……! ふぁっ、ぁあんっ、……っ」

 最奥を突かれ、飛び散った欲望が服を汚した。程なくして、中でも藤咲綾人の欲望が迸る。数度跳ねたそれが、ずるりと引き抜かれると、鼻から甘い息が漏れた。
 腰を支える手がなくなり、ぐしゃりと潰れるようにベッドに着地する。服のなかに飛び散った自分の残滓が素肌にあたり、不快感を感じつつも、安堵をせずにはいられなかった。

 やっと終わった。

 暴力的な快感に犯され続け、使い物にならなくなった頭で一息ついた。まどろむ思考の中で、乱れた前髪の隙間からぼんやりと部屋を眺めていると不意に藤咲綾人の顔が入り込んできた。ペットボトルを片手に「水飲むか?」と尋ねられ、小さく頷く。頷いたはいいものの、動き気力が微塵も残っていない俺を見かねて、水を口に含んだ藤咲綾人の顔が近づいた。意図をくみ取り、無抵抗でそれを受け入れる。
 
 口内に冷えた水が流れ込んだ。それをこくり、と飲み込めば、腫れた喉の痛みが引いていくのが分かった。「もっと」ともう一度ねだると、同じように水が与えられる。それを何度か繰り返していると、身体の火照りも収まり、思考がクリアになっていく。
 俺が何も言わないことを確認してサイドに置かれたテーブルにペットボトルを置いた藤咲綾人を見上げる視線に鋭さを含めた。

「ほんっと、ありえないんだけど」
「あ?」

 眉を顰め、歪んだ顔がこちらを向く。

「俺さぁ、男に抱かれる趣味ないって、言ったよね? なのにさぁ、こんな無理やり……。ほんと、ありえない」

 余韻のせいで気だるげな話し方になる。その様子を藤咲綾人が黙ってみているのをいいことに、ベッドに伏せたままで文句を続けた。

「俺はさぁ、あんたと違って、気持ちよければ、誰でもいいわけじゃないんだよ。さかりのついた犬みたいに、誰にでも、腰振ってるあんたと、一緒にしないで――って、聞いてる?」

 文字通り、うんともすんとも言わない藤咲綾人に訝し気な視線を送ると、「言いたいことはそれだけか」と返ってくる。
 
 そんなはずない。泥酔していた昨日と違ってしっかりと意識があるのに、この程度の文句で気が済むわけない。というか、文句を聞いてもらっただけで満足なんてしない。ここは、何かおいしいものでも奢らせよう。あぁ、そういえば、大学の近くに安くておいしい焼肉屋さんがあるって先輩が言ってたな。いい機会だし、そのお店にしよう。

「そんなわけないだろ。まだまだ、言いたいことだってたくさんあるし、おいしいものでも奢って――」

 片膝をベッドに乗り上げた藤咲綾人に体を反転させられ、仰向けになった。突然回った視界に、「え」と短く声を出し、目を瞬かせる。数度、開閉を繰り返した後、脚にあたる硬いものに身体を強張らせた。
 火事場の馬鹿力とはこういうことを言うのだろうか。数秒前までは指先1つ動かすのも億劫だったのに、自分に迫る危機を察した瞬間体が力を取り戻す。

 だって、大きい。大きすぎる。

 これ以上できない、というのはもちろん、俺のより遥かに太くて長い反りあがったものを突っ込まれると想像しただけで全身から血の気が引いていった。ベッドの上を這って逃げるけれど、それが許されるわけもなく、掴んだ右脚を肩に掛けられ、大股を開かされた。いつの間にかゴムを装着していた怒張が、後孔にあてがわれる。

「待って待って待って! はいんないから!」
「さっきまで呑み込んでただろ」

 焦る様子を鼻で笑い腰を掴んだ藤咲綾人は、俺の抵抗に聞く耳も持たず、そのまま中に押し入ってくる。挿入るわけがないはずなのに、その屹立を咥えこんでしまった身体は、抵抗するどころか次に来るであろう快楽に期待して入り口をひくひくと痙攣させていた。それに気づいていないわけがないのに、少し挿入れただけで、その動きが止まる。
 すでに次の刺激を迎え入れる準備が終わっている身体が、俺の意思に反して疼き始めた。それでも、まだ恐怖心が勝ち、それを引き抜こうと腰を動かせば、カリが壁を掻き背中に電流が走った。それだけで下腹部に溜まる疼きは無視できない程に膨れ上がる。
 数分前まで絶え間なく与え続けていた快楽を忘れていない身体がそれを追い求め、腰が揺れ始めた。

 その様子を見た藤咲綾人が、再び鼻で笑う。

「腰動かしてんじゃねぇよ」
「ぁ、だってぇ」
「これじゃあ、どっちが盛ってんのか分かんねぇなぁ?」
「ふっ、んっ……おれじゃな、ぁっ」

 首を左右に振ると、整った顔が不愉快そうに歪む。

「じゃあ抜くか?」

 その言葉に抜いてとも抜かないでとも言えずに、淡い快楽に短く息を吐いていると藤咲綾人が腰を引き、中のものが引き抜かれていった。抜いてやってもいい。そう言いつつも気持ちよくなりたいのは俺だけじゃない。そう思っていたのに躊躇いもなく行為をやめようとする姿に、首を振った。

「抜かないでっ!」

 思わず漏れ出たその言葉に藤咲綾人の唇が弧を描いた。しまったと思ったときにはもう遅く、入り口から一気に最奥を穿たれ、目の前で花火が散った。

「あああぁぁぁっ……!?」
「で、誰が盛りのついた犬だっけ?」

 再び、入り口まで抜かれ、奥を突かれる。視界がちかちかと点滅し、口から叫ぶような声があふれ出る。また、入り口に戻っていったそれに、次に来る衝撃に備えて、目を固く瞑った。しかし、それが来ることはなく、終わったのかと、恐る恐る目を開いた瞬間、奥にのめり込んだ。

「ぁぁああんっ! ひ、ぁ、ぁ、ごめっ、ごめんなさっ」
「謝ってほしいわけじゃねぇ、よっ」
「んひぃぃっ……! おれがっ、おれがいぬだからぁ、それ、ぁ、……やぁぁああっ!」

 視界の端で精液がぴゅーと飛び出すのが見えた。明滅する視界の中で何故かスマホを構えた藤咲綾人を捉え、呂律の回らない舌で何度も謝る。どうしてスマホを持っているのか、という疑問は、身体を襲う快楽に追いやられすぐに消えてなくなった。

「ただの犬じゃねぇだろ」

 奥を貫いた怒張が引き抜かれることはなく、奥の方で抜き差しを繰り返し、同じところをとんとんと叩く。先程までとは違う穏やかな刺激に、甘い声が漏れ始めた。

「ふっ、んっ……ぁ、さかりのついたっ、いぬぅ」
「誰が」
「おれ、が、ぁっ、さかり、ついたいぬっ、っぁ、で、ぃいからぁっ、……っそれ、きもちぃ、んぁっ」

 奥をぐりぐりと抉られ、快感が背筋を駆け上り、次第に思考がぼやけていく。頭に浮かんだ言葉が脳を介さずに次々に零れていく。自分が何を言っているのか、言わされているのか分からなくなった頭では羞恥心を感じることもない。細かく腰を動かしながら、鋭い瞳を楽し気に細める姿に釣られて、頬が緩んだ。

「やっと素直になってきたな」
「ぇー、? ……ふぅん、っ、……ひゃ、ぁ、あぁっ……!」

 ぱちゅぱちゅと小さい水音を立て、奥を刺激されると小さな快楽の波が押し寄せる。全身を包み込む心地の良い快感に体を震わせた。その波が消えたかと思えば、後ろからまた別の波が押し寄せる。もう1つ、さらに1つと、次々にやってくるそれに、絶え間なく嬌声が漏れ出た。
 快楽を与えてくれる藤咲綾人の抽送が少しずつ強さと速さを増していく。それに比例するように湧き上がる快感の密度が高くなっていった。再び、身体の奥底から湧き上がるような、あの強烈な快感が迫りくる。身体のすべてを搾り取られるようなあの快感。

「ぁっ、やぁっ……んぅっ、いくっ、いっちゃう、」
「おい、あんま締め付けんな……っ」
「あっ、そこっ、ぃいっ……ふっ、ぁ、ぁ、あっ、ぁああっ……!」

 腿の内側からせりあがった快楽が背筋を駆け上り、脳天まで届く。背を反らして高く声を上げる俺の腰を掴み、欲望のままに腰を打ち付けた藤咲綾人の熱い迸りが広がる。ぜぇぜぇと荒い息を繰り返し、余韻に浸っていると、俺の中でびくびくと跳ねていたものが再び固くなっていくのを感じて、これから与えられるであろう快楽に期待から目を細めた。

 
 
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