【完結】白銀を捧ぐ

白井ゆき

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勿忘草

5※

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「いっぱい出たね、あざみ。気持ちよかった?」

 仰向けになった俺を見下ろすのは、子供の頃に戻ったような笑顔の環だった。一糸も纏わずあられもない姿で息を乱す自分と、制服を着て無邪気に笑う環の対比に羞恥心が舞い戻る。
 俺が顔を赤くすると、再び楽しげな笑い声をあげ、吐き出したばかりの精液を俺の腹に塗りこんできた。
 
「気持ちよかったね」
「ぁ……」

 己の痴態を見せつけられているような感覚に短く息を吐いた俺の視線の先。俺を組み敷く環のスラックスの中央を押し上げているそれに目を見開いた。

「勃ってる……?」

 俺の呟きを拾った環は、無邪気な笑顔から一転して無表情で俺を見下ろす。勘違いでないと知らせるように俺の腿に押し付けられた腰は確かに硬く上を向いていた。
 
「……そう勃ってんの。何、引いた?」

 環の下半身を見つめながら、咥内に溜まった唾液を飲み込んだ。

 ……もし、環が自分に興奮しているとしたら、これは自分に訪れたチャンスではないだろうか。

 環は飽き性だ。どんなに強く興味を抱いていることであっても、一月も経たないうちに忘れ去ることが常。そんな環と俺が10年近く関係性を築いたことは奇跡のようなものだ。そして、その関係性に綻びが生じ始めていることに、俺は気がついていた。
 その原因の1つでもある柳田でさえ、環は二ヶ月弱で興味を失っている。関係性が変わった今、俺がそうなる可能性も十分にあり得る。ならば……。

 足に押し付けられた下半身にそっと手を伸ばした。
 
「……入れる?」
「……は?」
「いいよ、入れても」

 環の垂れた目が見開いた。指先が触れると環の体が小さく震える。その姿に興奮で顔が歪む。感情の高ぶりが悟られることがないよう、ひくひくと跳ねる口角を押しとどめ、環を見上げた。

 飽きられたくない。捨てられたくない。……環の興味を引き付ける手段として自分の体が有効だとしたら。 

「俺も、練習したいし」

 絞り出した声は緊張で情けなく震えていた。張ったテントの頂上をなぞる。それまで息をのんでいた環は、はっと吐き出すと首を項垂れた。

「ははっ。……そーだよね、練習しないとだもんね。本番で失敗して、幻滅されたくないもんね」

 聞こえないほどの小さな声に、俺は不安で瞳を揺らした。それも一瞬で、俺の両の腿を抱えた環にうっそりと目を細めた。

「いーよ。しよっか、練習」
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