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第一章
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しおりを挟むアンリ様…何してるの?
こんな冷たい部屋の冷たい石の床の上で…。
早くお部屋に帰らなきゃ駄目よ。
「………エルフィリア………。」
ふわふわと宙を漂いながら近付くと、黒い棺の中には青白い顔の私。
アンリ様は冷たくなった私の頬を温めるように両手で包んでいる。
これは一体何なの?
私が殺されたあの世界の続きを見せられているの?
アンリ様の顔色は悪く、呼吸も苦しそうだ。
あぁそうか………私がいなくなってしまったから、あなたの命を繋ぐものが失くなってしまったのよね………。
可哀想だけど、当然の報いだわ………。
「エルフィリア………」
アンリ様が棺の中の私に口付ける。
そんな事しても駄目よ………もう命を終えたその私には何の力も残されていない。
それなのにアンリ様は何度も何度も私に口付ける。綺麗なその青い瞳から大粒の涙をこぼしながら。
「まぁ!!こんなところにいらしたのですかアンリ様!?」
突如大声を上げて部屋に入ってきたのはあの日扇で私を打った女性。そして間接的にだが私の命を奪った人。
「こんなにお顔の色が悪いではありませんか!さぁ、早くいらして?私が今治して差し上げますから。」
治す?あなたが?どうやって?
女性は無理矢理アンリ様を立たせようとその腕を取るが、アンリ様はそれを強く振り払った。
「触るな!!」
アンリ様の女性を見る目は憎悪に満ちている。
「アンリ様!?何故そのような汚らわしい女にこだわるのです?私だって同じ事が出来るのですよ?」
同じ事ができる?あなたが?
「このままではアンリ様が死んでしまいますわ!さぁ早く!!」
「うるさい!!私に触るなと言っているのが聞こえないのか!!」
「アンリ様!!」
アンリ様!そんなに興奮したら駄目!
アンリ様は胸を押さえてその場に倒れ込んでしまった。
「あぁほらもう………まったくしょうがない人………。」
女性はアンリ様の頭を膝の上に乗せ、顔を寄せて口付ける。
嘘………。だってあの時はこの人から魔力なんて何も感じなかったのに………。
でもこの人の魔力………すごく嫌………。
とても濁っていて、気持ち悪い………。
アンリ様の顔には血の気が戻り、呼吸も楽そうだ。
でもアンリ様は泣いている。どうして……?
もう楽になったはずなのに、苦しそうにして袖口で唇が切れそうなほど擦っている。
その時、急に身体が引っ張られるような感覚に襲われた。
意識が遠ざかるその瞬間、私をギラギラと睨み付けるその女性と目が合った。
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