鳥籠姫は夢を見る

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第一章

5 地味すぎる予言②

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    グレンドールは魔法使いの国だけど、全員がその身に魔力を宿して生まれてくる訳じゃない。

    生まれてから死ぬまで、まったく力の発現がない者もいるし、素質があって修行を積んで使えるようになる者もいれば、私のように力の使い方もわからぬ赤子の頃から強い魔力を宿す者もいる。

    皆が正しく力を使えるようにと国には無償の魔法学院があり、そこで魔法の使い方と共に心の在り方も学ぶ。正しき心が無ければ正しく力は使えない。それがこの国で一番重きを置かれている事だ。


    そんな正しき心を教えられた魔法学院の悪ガキ………いや生徒が、もうすぐ行われる豊穣を願う祭りで派手に花火を打ち上げるのだ。勿論魔法の力で。
    そして民が今年の豊穣を願う最中にその花火のせいで畑が焼けて、花火を上げた子がこっぴどく叱られるという………まぁこれまた地味な予言ですよ。

    その子の名前………何て言ったかしら。
    男の子なのは確かなんだけど。


    「ぶにゃあ!」
    「ぶにゃにゃ!」


    「あらお二人さん。お腹空いたの………。」

    結局プラエタリタ(仮)とプラエセンス(仮)は私の部屋で暮らす事となり、こうやって野太い声を響かせてはおやつとご飯をよこすのニャ!とアピールしてくる。

    「はいはい。今日は料理長が柔らかく火を通してくれたササミですよ~。」


    「ぶにゃっっ!!」
    「ぶにゃにゃにゃっっ!!」


    猫としてはものすごく不細工な部類に入るのだろうが、こうやって一生懸命食べてる姿を見ていると可愛く思えてくるから不思議だ。

    「さぁ、ブラッシングもしましょうね~♪」

    この二匹、野良の割に毛並みは艶々。
    もう少しだけ痩せれば神殿に引き取って貰えそうなのだが…。

    「ぶにゃ!!!!!」
    「ぶにゃにゃ!!!!!」

    私の心の声が聞こえるのだろうか。
    下らない事言ってないでさっさとやれニャ!と命令されているかのようだ。

    「はいはい、あんたたち身体が大きい分時間がかかるんだからね?」

    ブラッシングが終わると、満足気な二匹は堂々と私のベッドに乗り込んで来る。

    「ちょっと………そこ!?」

    二匹は私の枕を囲むようにして寝そべった。

    「圧迫感が半端ないわ………。」

    頭の両側に白と黒の壁がある。せめて足元で寝てくれないだろうかと思ったが、二匹は既にプヒプヒと寝息を立てだしている。
    私は諦めて毛布にくるまった。








    ふわふわと身体が宙に浮くこの感じには覚えがある。あぁ、また来てしまったのね。

    でもここ………一体どこだろう?

    私はあの鳥籠とアンリ様の部屋と、それを行き来する廊下しか知らない。ここは何もない……。雪と………少し先にローゼンガルドの王宮………。


    「やめろ!!!」

    近くで誰かが叫んでる。
    私はふよふよと漂いながら声のした方へと向かう。

    「やめろ!!!やめてくれ!!!!」


    そこにはたくさんの兵士と、その兵士に行く手を阻まれているアンリ様………。

    アンリ様、だからそんなに叫んだりしたら駄目だって。一体どうしたの?

    アンリ様が伸ばした手の先には黒い棺。

    そしてその前には松明を持ったあの女性がいた。





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