鳥籠姫は夢を見る

クマ三郎@書籍&コミカライズ3作配信中

文字の大きさ
19 / 59
第一章

18

しおりを挟む






    「ぶにゃーぁぁ!!」
    「ぶにゃにゃーぁぁ!!」

    「ご、ごめん!!」

    いつものごとく突然落ちてきた私に二匹は抗議の声を上げる。
    ローブを脱ごうとして手を掛けると、それはローブではなくアンリ様の上掛けだった。

    「アンリ様の…持って帰って来ちゃった…。」

    優しい匂いのする上掛けをそっとベッドの上に置く。

    「ぶにゃっ!」
    「ぶにゃにゃっ!」

    「あっ!こら!駄目よ毛が付いちゃう!!」

    アンリ様の匂いが気になるのか二匹はクンクンと何度も匂いを嗅ぎ、最終的にその上に丸まった。

    アンリ様…私の事“姫”って呼んでた……。
    やっぱり調べたんだろうな。当たり前だ。逆の立場だったら私だってそうする。
    でも…こんな怪しい人間にローゼンガルドの国家機密を教えてくれたんだよね…。チラッと見ただけだから国家機密とまではいかないのだろうけれど、彼は快く見せてくれた。そして私が知りたいのなら何でも答えると。困っているのなら力になりたいと。

    どうしたらいいんだろう…。私はアンリ様に渡せなかったローブの中に入れていた飴を見ながらずっと考えていた。




************






    あれから何度考えても答えは出ず、時間だけが過ぎて行った。しかし一日が過ぎ、二日過ぎる頃、今度はアンリ様の身体が心配になっていた。


    「力になってくれるって言うならなってもらえば良いじゃないか。」

    やっぱりこいつに相談したのは間違いだったのだろうか。ゼノは悩む私の気持ちが心底理解出来ないようだ。

    「だって無闇矢鱈にアンリ様に協力を仰いで未来が変わっちゃったらどうするの!?ただでさえ今の時点で大分変わっちゃってるのよ?」

    「でもさ、あんたのいた未来通りになったら困るんだろ?なら思いっきり変わった方が良いんじゃないの?」

    …確かにゼノの言うことは一理ある。けれどそれはあくまでも未来がグレンドールにとって良いものであった場合だ。最悪な未来がこれ以上最悪な物に変わったらどうするつもりなのだ。

    「…でも身元がバレてるんじゃ今更隠したってしょうがないだろ。それなら素直に全部話せばいい。信じてもらえなかったらそれまでだ。けどやらないで後悔するよりはマシ。」

    「まぁ確かに……ねぇゼノ。あれから夢は見た?」

    「いや全然だ。追い付いたらもう見ないのかもしれないな。何でかはわからないけど。」

    夢でも教えて貰えないのならやはり頼みの綱はアンリ様のくれる情報だけか……。

    「わかった…。アンリ様に話してみる。」





    その日の夜、アンリ様の上掛けとたくさんの飴を持って私はアンリ様の所へ飛んだ。




    

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

処理中です...