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第二章
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しおりを挟む「転移魔法…一体何者なの…!?」
ファルサは残された着ぐるみの胴体を手に取った。
「魔法石がこんなに…しかもこれは…魔力封じの呪文……?」
一体何のために…?
顔はわからなかったが着ぐるみの下の服と声は確かに女のものだった。
【アンリ様!!】
アンリ様の名前をはっきりと呼んでいた。そしてアンリ様も“逃げろ”と……。
「アベル!!」
「はいファルサ様。こちらにおります。」
扉を開けてやってきたのは胸に神殿の紋を付けた騎士。
「キランを拘束して!何か知ってるかも知れないわ。それとコレ」
ファルサは着ぐるみを指差した。
「調べるから神殿に運んでちょうだい。」
「かしこまりました。」
許さない…。私からアンリ様を奪う事は絶対に許さない。だって私は…
彼のために作られたのだから…。
*****
「アンリ様!しっかりしてアンリ様!!」
アンリの身体からは異常なほど力が流れ出ている。
気が動転していたエルフィリアは着ぐるみの頭をつけたままな事をすっかり忘れていた。
「姫様!とりあえず被り物を取りましょう!」
いきなりアンリとデブ猫二匹を抱えて飛んできたエルフィリアにレニーは再び腰を抜かしそうになったが、アンリの顔色の悪さに気付き何とかそれを耐え抜いて今に至る。
「レニー!アンリ様をベッドへ寝かせるから手伝って!!」
二人がかりでアンリを何とか寝かせると、エルフィリアはすぐにアンリの隣に寄り添い口付けた。
(ごめんなさいアンリ様…!!私がファルサに会いたいなんて言わなければ…ううん、でも私が会わなくたっていつかこうなっていたはず…!!)
アンリ様の命の器に穴を開けたのはファルサだ。間違いない。だからあんな風に漏れだす命の加減が出来たのだ。
なんて卑劣なやり方だろう。生かさぬよう殺さぬようずっと手のひらでアンリ様の命を弄び続けていたのだ。
(許せない…!!絶対に許せない…!!)
唇を離してアンリ様の顔色を見る。
さっきより幾分血色は戻ってきたものの、まだまだ足りなそうだ。
「レニー。しばらくアンリ様はここに滞在してもらうから、身の回りの物を準備して欲しいの。」
「あ、あの…姫様と同じお部屋で良いのですか?」
「ええ、お父様もアンリ様との事は知ってるし…。ただアンリ様がここにいる事は誰にも知られないようにして?お願いね!」
レニーは与えられた隠密任務に“はい!”と張り切って部屋を出て行った。
アンリ様の胸が何事もなく上下する様を見て少し気持ちが落ち着く。
ファルサが今まで余裕だったのはアンリ様が自分の手に必ず落ちるという自信があったからに違いない。だからアンリ様が自分を遠ざけても手を出さずにいたのだ。
未来で私を殺したのは私が邪魔だったから…でもローゼンガルドの実権を握るアンリ様の叔父上とギャレットはファルサの神殿側と繋がっている。
ファルサは自分以外がアンリ様に近付く事を異様なまでに嫌っていた。それこそ私を殺すくらいに。だからファルサに魅入られたアンリ様の叔父上が私をローゼンガルドへ連れてきたとはとても思えない。ではグレンドールを滅ぼし私を連れ去ったのは一体誰だと言うの…?
考えても考えてもわからない。
「エルフィリア…」
「アンリ様!?」
か細い声が私を呼ぶ。アンリ様はまだ意識がはっきりしないのか、ぼんやりとしている。
「……ここは……?」
「安心してアンリ様!ここは私の部屋よ。」
「あなたの…?それと二匹は?」
「「ぶにゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」
目を覚ましたアンリ様に致命傷を負わせるようなタックルで二匹は飛び付いた。
「…はは、心配させちゃったね。大丈夫。生きてるよ。エルフィリアもごめん…私のせいで……。」
「違うわ!アンリ様のせいなんかじゃない!私が無理なお願いをしたから…!!ごめんなさいアンリ様…こんな目に遭わせて本当にごめんなさい……!!」
「…おいでエルフィリア…」
こんな辛い時なのに、私のぐちゃぐちゃな顔を見たアンリ様は困ったように笑いながら手を差し伸べる。腕の中に入れてもらった途端更に涙が溢れてきた。
「泣かない…泣かないよエルフィリア。今回の事で新しい事がわかっただろう?」
「…うん…アンリ様も気付いたの…?」
「あぁ…。私の身体をこうしたのはファルサだ。間違いない。」
「私、ファルサの事許せないわ…!憎くて憎くてどうしようもない!!」
アンリ様は優しく私の頭を撫でた。
「ありがとう…。」
「ありがとう…?何でお礼なんて…」
「エルフィリアが私のために泣いて怒ってファルサを憎んでくれる。幸せだよ。だからありがとう。」
「アンリ様…!!」
悔しい…悔しいよ…!!
守ったつもりで守られてる自分に腹が立つ。
「エルフィリア…一つお願いがある。」
「何!?」
「おそらくだが…私が姿を消した事によりキランの身が危ない。彼を救うためにゼノという奪う側の力を持つ彼に力を借りたい。」
「ゼノに?」
アンリ様は真剣な顔で頷いた。
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