侯爵令嬢は前世で冷酷夫だった皇太子に挿入られている最中に思い出す

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第一章

20 業火

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  「…ひ…ひぁ♡…あぁぁん♡♡…あっなんで…お願い…お願いやめないで!!」

    アルザス公爵邸の薄暗い離れではシャロンの嬌声と泣き声が響いていた。限界まで焦らしては止め、望む快楽を与えたかと思えばまた止める。身体から抜けない熱を溜め込まされて、シャロンの自我は崩壊寸前のところまできていた。

    「相変わらず汚いな…こんなに垂れ流してさぁ!!」

    「ひゃぁぁぁあん♡♡♡ハニエル様♡ハニエル様ぁぁ♡♡」

    ハニエルの手には男性器を忠実に再現した玩具。それでズリズリと花芽を擦ってやるとシャロンは涎を垂らして悦んだ。

    「…はぁっ…欲しい…欲しいの!ハニエル様が欲しいのぉぉ!!」

    シャロンは羞恥心を捨て、ハニエルに向かってとろとろに溶けて蜜を滴らせる花弁を見せてねだる。

    「汚いな…同じ女性でもこんなに違うのか…」

    アマリールは美しい桃色の花弁だった…。甘い香りを放つ蜜が果肉から滴るように溢れて僕を溺れさせた。

    「…ねぇシャロン、僕が欲しいかい?」

    ハニエルはシャロンの目の前に自身を晒け出した。愛しいアマリールの肢体を思い出しドクドクと脈打ちながら隆起する昂りを目にしたシャロンは期待に目を潤ませる。

    「僕の願いを叶えてくれたら君が望むように愛してあげるよ?何度でもね…。」

    ハニエルはまるで堕落へと誘う悪魔のようにシャロンの耳元で甘く囁く。
    我慢できず熱い昂りに手を伸ばそうとしたシャロンを後ろから二人の男が押さえ付けた。

    「放してっ!ハニエル様!ハニエル様ぁ!」

    「さぁどうするシャロン?僕の言うことを聞くかい?」

    「聞きます!聞きますから!お願いですハニエル様!辛いの!辛いのぉ!!」

    「そう…君が聞き分けのいい子で良かったよ。プレゼントがあるんだシャロン。見てごらん。」

    そう言ってハニエルが出して来たのは淡い色のシンプルなドレス。

     「…可哀相に、贈られた豪華な物は全て残して行ったそうだよ…。何の飾り気もない淡い色合いのものだけ持って行ったって…。」

    ハニエルは一人淋しく自分の訪れを待っているだろう愛しい人に想いを馳せる。

    「シャロン、これを来て旅行に行こう?君を素晴らしい所へ連れて行ってあげる。」

    「ハニエル様…!」

    「お前達、イカせてやれ。」

    「え!?」

    ハニエルの合図で男達は下着の中から凶悪な面構えの肉棒を取り出した。
    ハニエルから貰えると思っていたシャロンは自分に迫り来る男達に震えた。

    「ハ、ハニエル様!!」

    縋るシャロンにハニエルは冷たく言い放った。

    「言っただろう?僕のは君がお願いを叶えてくれた後だよ…だから頼んだよシャロン…。」

    ハニエルが緩慢な手付きで顎をなぞるとシャロンは蕩けた顔を見せる。

    「あぁん♡♡♡あぁっ♡♡あぁぁぁ♡♡」  

    何日も何日もお預けされドロドロに溶けた蜜壺は初めてにも関わらず、男のそそり勃つ肉棒をすんなりと受け入れた。
    獣の交尾のように四つん這いにされ、後ろから激しく突かれたシャロンは腰を弓なりにしならせ我を忘れて喘いだ。

    「やぁっ♡♡ひゃあぁぁぁん♡♡♡」

    かき混ぜられぐじゅぐじゅと蜜の泡立つ音に感度を増したシャロンの乳房に下からもう一人の男がしゃぶりつく。

    「ひぃっっ♡いいっ…いいのぉ♡♡」

    「一度イカせてやったらまた飢えさせて。」

     気が狂ったように喘ぐシャロンに侮蔑の眼差しを向け、ハニエルは部屋を出た。

    「…迎えに行くからねアマリール…そして今度こそ君を誰にも渡さない…!!」

    

    ***



    独り寝のベッドは冷たい。
    足先が冷えて眠れない私に自分の温かい足を絡ませてくれたのも演技だったのだろうか。
    私はその夜、何もする事のない毎日は眠るのにも苦労していた前世を思い出していた。  

    コンッ!

    「…何…?」

    窓の方から小さな音がする。風が運んだ木の葉でも当たったのだろうか。 

    コンッ!コンッ!

    しかし音は再び鳴った。今度は規則的に二回。    
    一瞬夜盗の可能性が頭をよぎったが、律儀にノックする盗人などいないだろう。アマリールはベッドから降り、足音を消しながら音のする方へと向かった。
    恐る恐る覗いて見ると窓の外には黒いマントを羽織った人が見えた。
    (誰……?)
    フードを目深に被っていて顔が見えない。しかし背格好からして男性のようだ。
    (怖い…誰かに知らせなきゃ…!!)
    その時だった。一陣の風が男のフードを飛ばしたのだ。
    現れたのは月明かりを浴びてキラキラと輝く金色の髪。

    「ハニエル様!!」

    アマリールは驚きで床に膝をついた。
    どうしてここに彼がいるのだ。幸せになれと突き放した私の元にどうして…!!

    「アマリール!!」

    ハニエルはアマリールの声に気付き顔を歪めた。そしてアマリールに向かって窓の鍵を指差す。“ここを開けて”と。
    うまく力の入らない身体を何とか奮い立たせてアマリールは窓の側へ寄り、震える手で鍵を開けた。
    窓が開け放たれた途端ハニエルはアマリールをきつく抱いた。

    「アマリール…!!アマリール!!」

    「ハニエル様…何で…?」

    「迎えに来たよ。行こうアマリール!」

    ハニエルはアマリールの手を引く。
    (行く?行くってどこへ?)
    そんな事出来やしない。私は人生を終えるまでここにいなければならないのだ。殿下とローザ様の幸せのために。

    「大丈夫だよ。ちゃんと君の代わりも用意してある。何も心配しないで僕についてきて欲しい。」

    「代わり…?一体どういう事なのですか?」

    「さぁ行くよアマリール!!」

    「えっ!?」

    ハニエル様は私を軽々と横抱きにし、夜の闇を駆けた。彼の肩越しに見えたのは、火に包まれ真っ赤に燃え上がる離宮だった…。


   ***


    「ここで待っていればハニエル様が来てくれるのね?」

    ハニエルに貰ったドレスに身を包み、シャロンは上機嫌だった。

    「ええ。ハニエル様が来られるまでゆっくりお休みになって下さい。」

    ハニエルの“お願い”とは一緒に旅行に行く事だった。
    『そこで二人の初めてを迎えよう』
    そう言われたシャロンは夢見心地で寝台へと横になる。さっきまでアマリールが寝ていた寝台へ。

    「では我々はこれで…。」

    共に来た男はそう言って一礼し、部屋を出て行った。
    やっと抱いて貰える…。あの美しいお顔が私の身体の上で切なく歪むのが見れるのだ。そう思うだけでシャロンの芯はぐずぐずに蕩ける。
    しかし待てども待てどもハニエルは来ない。

    「…なんの匂い…?」

    焦げ臭い匂いが辺りに漂い始め、不審に思ったシャロンは入り口の扉に手を掛けた。

    「熱っっ!!」

    ジュッと皮膚が音を立て、シャロンは慌てて手を放す。

    「何…何なの…!?」

    ドレスをノブに巻き付け何とか開くと目の前は火の海だった。

    「何!?何よこれ!?ハニエル様!!」

    足元から上がる火。どこを見ても逃げ場がない。
    (そうだ窓!!窓が……!!)
    庭へ続く大きな窓。そこから逃げられるはず。シャロンは走った。しかし窓の外にはさっき自分を案内した男が立っていた。

    「火事よ!逃げなきゃ………え?」

    窓の鍵を開けて外に出ようとした瞬間、男はガラス越しに剣を突き付けた。

    「出たら殺します。」

    男の声からは何の感情も読み取れない。

    「何を言ってるのよ!?早くしないと火に巻かれて死んでしまうわ!!このことをハニエル様に伝えないと!!」

    しかし必死のシャロンを嘲笑うかのように男は再び口を開く。

    「これはハニエル様からのご命令です。“逃げようとしたら殺せ”と。」

    この男は一体何を言っているのか。そんなはずはない。ハニエル様は約束した。お願いを聞いたら抱いてくれると。
    シャロンは窓を開け、外へ出た。しかしその瞬間空を切るような音と共に足に激痛が走った。

    「ぎゃぁぁぁあ!!」

    絶叫と共にシャロンはその場に顔から倒れ込む。
    シャロンの両足の腱を斬った男はドレスを掴み、再び火の燃える部屋の中へとその身体を投げ込んだ。

    「待って!!お願い助けてぇぇぇ!!!」

    そして男は窓の外からじっと見ていた。シャロンの身体が黒く染まって行く様を……。



   ***




    「…本当に逃がしてしまってよろしかったのですか?」

    闇の中を駆ける男女を遠くから見守っていた男は、瞬きを忘れたかのようにその光景を目に映し続けた。

    「…あぁ……。」

    月明かりを浴びた金色の瞳はただ静かに光を放っていた。
    
    
    




            

    
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