侯爵令嬢は前世で冷酷夫だった皇太子に挿入られている最中に思い出す

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第一章

24 解放

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    「ルーベルお前っ……、何でここに!?」

    腕を捻り上げられたハニエルは苦痛に顔を歪ませる。しかしルーベルは容赦なく更にギリギリと力を加えた。

    「痛っっ!!放せ!!」

    「黙れ。アマリールはもっと痛かったはずだ。お前に何度も何度も殴られてな。」

    何でこいつがそれを知っている!?
    この屋敷での事は外に漏れてはいないはず。
    疑心暗鬼に駆られたハニエルは、ある一つの考えに辿り着く。

    「…まさかお前達、最初から僕を嵌めるつもりだったのか…?アマリール!!君も知っていたのか!?」

    ハニエルのあまりに恐ろしい形相にアマリールは首を横に振る事しか出来ない。

    「アマリールは何も関係ない。離宮でお前達を逃がしたのは俺だ。その後監視していた。ずっとな。」

    「逃がした?僕達が一緒なのを知ってて逃がしたと言うのか!?何でそんな事を…!!」

    「…アマリールがそんなにもお前を愛しているのなら逃がしてやろうと思った。」

    (………え………?)

    「はっ、“血の皇太子”が随分と優しいんだな!」

    ハニエルの言葉にルーベルは怪訝な顔をする。    

    「お前…アマリールを愛していないのか?」

    今度はハニエルも同じ様な表情を見せた。

    「愛してるに決まってるだろう!?だからここまでやったんだ!それなのに…それなのにアマリールは僕から離れると…!!」

    「その程度か。」

    「何!?」

    「ただ単に手を放してやる自信が無いのだろう。一度手を放せば最後、もう自分の元へは戻らないかもしれないと。本当は気付いていたのではないか?アマリールの心が真に自分に向いていない事を。」

    「うるさい!!放せ!!」

    ハニエルはルーベルの手を振り払いアマリールに詰め寄ろうと向きを変えた。しかしルーベルはその背にアマリールを庇うようにしてハニエルの行く手を阻んだ。

    「ルーベル…もしかしてアマリールの事が好きなのか?」

    ルーベルは黙ったまま何も言わずハニエルを見ていた。しかしハニエルはルーベルを馬鹿にしたように笑い出した。

    「はは…はははっ!!これは滑稽だな!」

    「何がだ。」

    「ふふ…ねぇアマリール…ここに来てから僕にどれくらい抱かれたっけ?抱かれる度に甘えた声で啼いて何回も何回もイッてたよね?“ハニエル様もっと”って。ルーベル、お前もアマリールに言われたの?“もっと”って。」

    「やっ…やめてハニエル様!!」

    ハニエルは止めるどころかアマリールの閨での様子を自慢気に詳しく語り出した。しかしアマリールが耐えきれずに耳を塞いだ瞬間、ハニエルの身体は鈍い音と共に勢い良く後方へ飛んだ。 

    「…くっ…!!…何をするんだ……!!」

    固く握られた拳は思い切り殴ったのだろう赤くなっている。

    「それ以上無駄な口を叩くようならもう一度殴るぞ。」

    「何だよ!?自分だってアマリールを無理矢理抱いたくせに偉そうな事言うなよ!!そもそもお前さえアマリールに無理強いしなければこんなことにはならなかったんだぞ!?」

    「俺は約束を守っただけだ。」

    「約束!?」

    「それはお前には関係ない。リディア!!」

    ルーベルの呼び声に、部屋の外で待機していたのだろうリディアと呼ばれた女性が入ってきた。

    「…あ…!あなた昨日の…!!」

    軽装の騎士服に髪を後ろで一つに纏めていたためすぐにはわからなかったが、彼女は私に“もう大丈夫”と言った昨日の侍女だった。   

    「ハニエルを拘束しろ。」

    ルーベルの指示にリディアは縄を取り出しハニエルの腕を掴んだ。ハニエルは抵抗したがさすがルーベル直属の騎士だ。女とは思えない力と身のこなしであっという間にハニエルの手を縛り上げた。

    「アマリール!!ずっと一緒だと約束しただろう!?ルーベルに言ってくれ!僕を愛しているからこのまま見逃してくれと!僕と君は離れたらいけないんだ!僕が君を守らなければまたこいつは君を傷付けるぞ!!」

    リディアに立たされ連れて行かれる間中ずっとハニエルはアマリールに訴え続けた。
    
    【助けてくれ】【離れたくない 】【アマリール】 

    どれも違う言葉だったがアマリールにはそれが全てハニエルからの【愛してる】に聞こえていた。
    確かに愛されていた。けれどその形を歪ませてしまったのは自分だ。あんなに大切に想っていた人だったのに。
    止まない悲痛な叫びは痛む心を更に締め付けた。


    日が陰り薄暗くなった部屋に二人。
    ルーベルは何も喋らず、床に座り込み放心するアマリールを見つめていた。

    「殿下、ハニエル様の護送の準備が出来ました。」   

    「あぁ、ご苦労だった。あとはこれを頼む……。」

    「えっ!?」


    戸惑うリディアをよそに、ルーベルはアマリールをその場に残し部屋から出て行ったのだった。









    

    
    

    
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