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2章
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しおりを挟む【拝啓 初夏の候、ユリシス殿下にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は妹のマリーに格別のご高配を賜り、心から感謝いたしております。乳を揉むのはいささかやり過ぎかとは思いますが、異性に対して免疫のない妹には良い薬となったようです。
さてお誘いいただきました夜会についてですが、実は妹が立ち居振る舞いに多大な不安を感じて沈み込んでおります。
そこでご相談なのですが、ユリシス殿下に妹のダンスの練習にお付き合いいただけないかと思いまして。
殿下にお力を貸していただければ妹の不安も払拭できると思います。
乳を揉んで吸って意識を飛ばせた上にベッドに連れ込んだという事は父には黙っておきますので、良心が痛むようでしたらこの事どうぞ宜しくお願い申し上げます。 敬具】
「………………………アラン……何だこれ…………。」
「フォンティーヌ公爵家のオデット様からです……………っていうか見過ごせない一文がありますねユリシス様……………。」
やめろアラン、剣の柄に手をかけるな。
「マリーが不安に思ってるのは知っているが…彼女は夜会にこそ出ないが公爵家でダンスや教養などの教育は受けているんだろう?」
公爵家に選ばれる家庭教師なら、そのレベルもかなりのものだろうに。
「やっぱり実践となると違うんじゃないですかね………特にお嬢さんは人前に出ることを嫌ってましたから。」
そうか……実践か……。今からだと場馴れは無理だからせめて私と踊る事に慣れさせようという事か。
「よし、次の茶会は少し長めに時間を取ろう。シャルルにも言っておかないとな。」
「あっさり聞いて下さるとは思えませんけど、シャルル様もお嬢さんのためなら協力してくださるでしょう。」
この時の私は、弟が反対側の宮にて悪魔からの手紙に青ざめているなどとは知るよしもなかった。
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