【本編完結】マリーの憂鬱

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2章

19ー15

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自分からこの扉を開けるのは初めてだ。

扉の前で躊躇ってもう数分になる。


一度は全部見られたし、見られたどころかあんな格好やそんな格好まで………なのに、なのにどうしてこんなに恥ずかしいんだろう。


絶対扉の向こうで気付いてるはず。

私がここでまごまごしてるのも手に取るようにわかってるはず。


でも絶対に無理矢理越えさせるような事はしないんだ。いつもそう。ジュリアン様は私が自分で乗り越えるまで待ってくれる。


意を決してノックをすると、扉の向こう側から笑い声が聞こえてくる。

おそるおそる中に入るとベッドに横になるジュリアン様が見える。


「ふふふっ。一体いつまでそこにいるつもりなのかと思ってたよ。」


これでも笑いを堪えているらしい。口元を手で覆っている。


「ひ、ひどいですっ!笑うなんて!!」


これでも頑張ったのに!


「ごめんごめん。……おいで、リュシエンヌ。」


部屋を進んで行くと私に用意された部屋の物より大きなベッドがあり、その上にはバスローブの前をくつろげたジュリアン様がいる。

輝く銀の髪はさらりと額にかかり、なんとも言えない大人の男性の色気を醸し出している。


差し出された手を取ると、そのままジュリアン様の腕の中へと導かれる。

はだけた胸元から見える均整の取れた筋肉。
私には初めて目にするもので、彼の男の部分を強く感じて頬が熱くなる。


「リュシエンヌ……緊張してるの?」


頷く私に微笑み、きゅうっと抱き締め額に口付ける。



「………あの日、一目で君に恋をしたんだ。君の周りだけ光輝いていて…。運命の人に出会ったんだとわかったよ。」


長い指先が私の髪を優しく梳いて行く。


「最初は叶わない恋だから執着してるだけなのかと思ってた…。だから君の代わりを探したんだ…諦めようと思ってね。でも駄目だった。代わりを探せば探すほど君への気持ちとの違いをはっきりと自覚させられるだけで……。」

ゆっくりと夜着の紐を解かれ、私は彼の前にすべてを晒す。


「リュシエンヌ……リュシー……本当に後悔しない?」


後悔なんてしない。でも……でも……


「ジュリアン様……あの時も優しかったけど……でも怖かったの……。だから今だけは優しく……優しく愛して下さい……。そのあとはもうどんな風にされてもいいから……。」


「うん……リュシー愛してる……あの時は本当にごめん。俺も君に優しくしたい。優しく愛したい……。」



形の良い唇がふわりと重なる。
彼の唇はとても柔らかい。滑らかな舌が気持ちをほぐすように優しく私のそれと触れ合う。

絡まる舌をもっと頂戴とねだるように吸われ腰が浮いてしまう。それを大きな手がまるで逃がさぬようにと支え、身体を寄せると下腹部に硬い膨らみが当たる。

彼の唇が跡を残すように少しずつ下りて行き、ささやかなふくらみの頂を吸う。
もう片方を揉まれながら刺激されるとはしたなくも下半身が跳ねる。


「あっ……あん……あぁん…ジュリアン様…ジュリアン様……。」


自分の口から熱を孕んだこんな甘い声が出るなんて。

でもジュリアン様は不満気に見上げてくる。


「……?ジュリアン…様?どうしたの?」


「……名前……。」


「…な…まえ?」


「名前で呼んで……お願い……。」




「……ジュリアン………愛してる、ジュリアン。」



そう言い終えて彼の頭を優しく抱き込むと、私の言葉が彼の中に染み込んで行くようだ。
彼の顔が幸せそうに微笑んで輝く。


彼は胸を愛撫しながら膝を立て、もう片方の手で私の下腹を撫でると更に下へと指先を這わす。


「んっ……んぅ…………あん……………やっ…」


蜜が溢れるのが触らなくてもわかる。
そこをゆっくり、焦れったいほどゆっくり彼の長い指が蜜を纏わせながら蠢く。


もっと……もっと触れて欲しいのに。

はしたないのはわかってるけど彼の触れる場所が切なくて我慢できない。

私の啼き声で気付いたのか彼は胸の愛撫をやめて顔を近付ける。


「リュシー……すごく熱いよ…ここ、わかる?」


水面を叩くようにトントンと蜜の表面を指で上下させると、粘り気のある音が耳に届く。


「やだぁっ……恥ずかしい……」


恥ずかしいし辛いの。

奥まで触れて欲しいのにどうして………。


うねる腰を押さえられたと思ったら、彼がそこへ顔を埋めようとしていた。


「やっ、やぁっ!恥ずかしいよ!」


伸ばした両手の指を絡めとられ、手を繋ぎながら溢れる蜜に顔を寄せる。


「あぁん!!」


待ち焦がれる花弁の中心に舌を差し込まれ、押し上げるように舐められる刺激に身体が震える。

ひとしきり舐め上げられた後、舌は可愛らしく待つ蕾を転がす。絡められた指はほどかれ、長く美しい指が花の中心へと押し入る。


「やぁ……それだめぇ……!!」


指は徐々に増やされ、花肉はぐじゅぐじゅといやらしい音をたてながらもっともっとと飲み込んでいく。


「きゃぁぁぁ!!!」


ふいに蕾を強く吸われ、ビリビリとした電流のような感覚が身体中を駆け巡る。


シーツの上でくたりと力を無くすとジュリアンは満足げに微笑んでゆっくりと指を引き抜く。

その瞬間私の花肉が名残惜しそうに彼の指を締め付ける。引き抜いた指にたっぷりと滴る蜜を私の目の前で舐め取る姿はあまりにも妖艶で、この先を考えてまた下腹部が重苦しくなる。


「リュシー…君が思うように優しく出来なかったらごめん……もう我慢できないし、自分を抑えられるか自信がない。」


ジュリアンの苦しそうな表情に胸がときめく。


「いいの。愛してるジュリアン。たくさん……思いっきりして?あなたが欲しいの…だから……あっっ!!きゃぁん!!」


私が言い終わるまえにジュリアンの硬く反りたつ肉塊がずぶずぶと音を立てながら入ってきた。まだ挿れただけなのに、私の中を隙間なく埋めるそれに息が苦しくなる。


「ジュリアン……ジュリアン……」


手を伸ばすと逞しい身体が私を包む。

抱き合って口付け合ったままジュリアンは抽挿を始める。

気持ちよくて、幸せで、涙が零れる。


「リュシー、辛いの?」


「ううん…違うの。幸せで…気持ちよくて…。ジュリアン…大好きよ…。」





そしてジュリアンは私の膝裏を抱えて足を大きく開かせる。二人の繋がる場所を私に見せるようにして激しく抽挿する。蜜にまみれて光るそれを間近で見せられて羞恥と快楽で気が狂いそうだった。


「…いっ……もうっ……だめっっ……~~!!!」



信じられないほどの快感に襲われて頭の中が真っ白に霞んで行く。


きつく抱き締める腕を感じ、私は安心して意識を手放した。











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