68 / 331
2章
19ー15
しおりを挟む自分からこの扉を開けるのは初めてだ。
扉の前で躊躇ってもう数分になる。
一度は全部見られたし、見られたどころかあんな格好やそんな格好まで………なのに、なのにどうしてこんなに恥ずかしいんだろう。
絶対扉の向こうで気付いてるはず。
私がここでまごまごしてるのも手に取るようにわかってるはず。
でも絶対に無理矢理越えさせるような事はしないんだ。いつもそう。ジュリアン様は私が自分で乗り越えるまで待ってくれる。
意を決してノックをすると、扉の向こう側から笑い声が聞こえてくる。
おそるおそる中に入るとベッドに横になるジュリアン様が見える。
「ふふふっ。一体いつまでそこにいるつもりなのかと思ってたよ。」
これでも笑いを堪えているらしい。口元を手で覆っている。
「ひ、ひどいですっ!笑うなんて!!」
これでも頑張ったのに!
「ごめんごめん。……おいで、リュシエンヌ。」
部屋を進んで行くと私に用意された部屋の物より大きなベッドがあり、その上にはバスローブの前をくつろげたジュリアン様がいる。
輝く銀の髪はさらりと額にかかり、なんとも言えない大人の男性の色気を醸し出している。
差し出された手を取ると、そのままジュリアン様の腕の中へと導かれる。
はだけた胸元から見える均整の取れた筋肉。
私には初めて目にするもので、彼の男の部分を強く感じて頬が熱くなる。
「リュシエンヌ……緊張してるの?」
頷く私に微笑み、きゅうっと抱き締め額に口付ける。
「………あの日、一目で君に恋をしたんだ。君の周りだけ光輝いていて…。運命の人に出会ったんだとわかったよ。」
長い指先が私の髪を優しく梳いて行く。
「最初は叶わない恋だから執着してるだけなのかと思ってた…。だから君の代わりを探したんだ…諦めようと思ってね。でも駄目だった。代わりを探せば探すほど君への気持ちとの違いをはっきりと自覚させられるだけで……。」
ゆっくりと夜着の紐を解かれ、私は彼の前にすべてを晒す。
「リュシエンヌ……リュシー……本当に後悔しない?」
後悔なんてしない。でも……でも……
「ジュリアン様……あの時も優しかったけど……でも怖かったの……。だから今だけは優しく……優しく愛して下さい……。そのあとはもうどんな風にされてもいいから……。」
「うん……リュシー愛してる……あの時は本当にごめん。俺も君に優しくしたい。優しく愛したい……。」
形の良い唇がふわりと重なる。
彼の唇はとても柔らかい。滑らかな舌が気持ちをほぐすように優しく私のそれと触れ合う。
絡まる舌をもっと頂戴とねだるように吸われ腰が浮いてしまう。それを大きな手がまるで逃がさぬようにと支え、身体を寄せると下腹部に硬い膨らみが当たる。
彼の唇が跡を残すように少しずつ下りて行き、ささやかなふくらみの頂を吸う。
もう片方を揉まれながら刺激されるとはしたなくも下半身が跳ねる。
「あっ……あん……あぁん…ジュリアン様…ジュリアン様……。」
自分の口から熱を孕んだこんな甘い声が出るなんて。
でもジュリアン様は不満気に見上げてくる。
「……?ジュリアン…様?どうしたの?」
「……名前……。」
「…な…まえ?」
「名前で呼んで……お願い……。」
「……ジュリアン………愛してる、ジュリアン。」
そう言い終えて彼の頭を優しく抱き込むと、私の言葉が彼の中に染み込んで行くようだ。
彼の顔が幸せそうに微笑んで輝く。
彼は胸を愛撫しながら膝を立て、もう片方の手で私の下腹を撫でると更に下へと指先を這わす。
「んっ……んぅ…………あん……………やっ…」
蜜が溢れるのが触らなくてもわかる。
そこをゆっくり、焦れったいほどゆっくり彼の長い指が蜜を纏わせながら蠢く。
もっと……もっと触れて欲しいのに。
はしたないのはわかってるけど彼の触れる場所が切なくて我慢できない。
私の啼き声で気付いたのか彼は胸の愛撫をやめて顔を近付ける。
「リュシー……すごく熱いよ…ここ、わかる?」
水面を叩くようにトントンと蜜の表面を指で上下させると、粘り気のある音が耳に届く。
「やだぁっ……恥ずかしい……」
恥ずかしいし辛いの。
奥まで触れて欲しいのにどうして………。
うねる腰を押さえられたと思ったら、彼がそこへ顔を埋めようとしていた。
「やっ、やぁっ!恥ずかしいよ!」
伸ばした両手の指を絡めとられ、手を繋ぎながら溢れる蜜に顔を寄せる。
「あぁん!!」
待ち焦がれる花弁の中心に舌を差し込まれ、押し上げるように舐められる刺激に身体が震える。
ひとしきり舐め上げられた後、舌は可愛らしく待つ蕾を転がす。絡められた指はほどかれ、長く美しい指が花の中心へと押し入る。
「やぁ……それだめぇ……!!」
指は徐々に増やされ、花肉はぐじゅぐじゅといやらしい音をたてながらもっともっとと飲み込んでいく。
「きゃぁぁぁ!!!」
ふいに蕾を強く吸われ、ビリビリとした電流のような感覚が身体中を駆け巡る。
シーツの上でくたりと力を無くすとジュリアンは満足げに微笑んでゆっくりと指を引き抜く。
その瞬間私の花肉が名残惜しそうに彼の指を締め付ける。引き抜いた指にたっぷりと滴る蜜を私の目の前で舐め取る姿はあまりにも妖艶で、この先を考えてまた下腹部が重苦しくなる。
「リュシー…君が思うように優しく出来なかったらごめん……もう我慢できないし、自分を抑えられるか自信がない。」
ジュリアンの苦しそうな表情に胸がときめく。
「いいの。愛してるジュリアン。たくさん……思いっきりして?あなたが欲しいの…だから……あっっ!!きゃぁん!!」
私が言い終わるまえにジュリアンの硬く反りたつ肉塊がずぶずぶと音を立てながら入ってきた。まだ挿れただけなのに、私の中を隙間なく埋めるそれに息が苦しくなる。
「ジュリアン……ジュリアン……」
手を伸ばすと逞しい身体が私を包む。
抱き合って口付け合ったままジュリアンは抽挿を始める。
気持ちよくて、幸せで、涙が零れる。
「リュシー、辛いの?」
「ううん…違うの。幸せで…気持ちよくて…。ジュリアン…大好きよ…。」
そしてジュリアンは私の膝裏を抱えて足を大きく開かせる。二人の繋がる場所を私に見せるようにして激しく抽挿する。蜜にまみれて光るそれを間近で見せられて羞恥と快楽で気が狂いそうだった。
「…いっ……もうっ……だめっっ……~~!!!」
信じられないほどの快感に襲われて頭の中が真っ白に霞んで行く。
きつく抱き締める腕を感じ、私は安心して意識を手放した。
45
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
2度目の結婚は貴方と
朧霧
恋愛
前世では冷たい夫と結婚してしまい子供を幸せにしたい一心で結婚生活を耐えていた私。気がついたときには異世界で「リオナ」という女性に生まれ変わっていた。6歳で記憶が蘇り悲惨な結婚生活を思い出すと今世では結婚願望すらなくなってしまうが騎士団長のレオナードに出会うことで運命が変わっていく。過去のトラウマを乗り越えて無事にリオナは前世から数えて2度目の結婚をすることになるのか?
魔法、魔術、妖精など全くありません。基本的に日常感溢れるほのぼの系作品になります。
重複投稿作品です。(小説家になろう)
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
行動あるのみです!
棗
恋愛
※一部タイトル修正しました。
シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。
自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。
これが実は勘違いだと、シェリは知らない。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
塔に住むのは諸事情からで、住み込みで父と暮らしてます
ちより
恋愛
魔法のある世界。
母親の病を治す研究のため、かつて賢者が住んでいたとされる古塔で、父と住み込みで暮らすことになった下級貴族のアリシア。
同じ敷地に設立された国内トップクラスの学園に、父は昼間は助教授として勤めることになる。
目立たないように暮らしたいアリシアだが、1人の生徒との出会いで生活が大きく変わる。
身分差があることが分かっていても、お互い想いは強くなり、学園を巻き込んだ事件が次々と起こる。
彼、エドルドとの距離が近くなるにつれ、アリシアにも塔にも変化が起こる。賢者の遺した塔、そこに保有される数々のトラップや魔法陣、そして貴重な文献に、1つの意思を導きだす。
身分差意識の強い世界において、アリシアを守るため、エドルドを守るため、共にいられるよう2人が起こす行動に、新たな時代が動きだす。
ハッピーエンドな異世界恋愛ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる