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3章
32
花芯が何度か激しい痙攣を繰り返し、爪先まで快楽の波が駆け巡る。あまりの快感に何も考えられず頭の中が真っ白になる。
力の抜け切った手足がベッドに散らばる。
肩で息をする私にユリシス様が口付けた。
「良かった……気を失ってしまったらどうしようかと思った………。」
啄むように何度も何度も優しく口付けて、何かをねだるような目で私を覗き込む。
「……ユリシス様……どうしたの?」
ユリシス様は私が言葉を発した途端、すごい勢いで眉間に皺を寄せる。
「えっ……?どうして…そんな顔するの…?」
こんな何も考えられない時に彼がどうして怒るのかがわからず、悲しくなってしまう。
「私……いけない事した?……」
ユリシス様はバツの悪そうな表情で私の首筋に顔を埋めると
「………ユーリ………」
「えっ?」
「もう!恥ずかしいから何度も言わせないで!ユーリって呼んで欲しいの!!」
あ………名前。頭が呆けてつい呼び慣れた方で呼んでしまっていたようだ。
拗ねるユリシス様の頬を包んでこちらを向ける。
「…ユーリ……ユーリ。」
そう呼ぶと彼は目を細め照れたように笑う。良かった。許してくれたみたいだ。
「マリー……今から君の中に入るよ。」
ユリシス様は自分の着衣を脱ぎ捨てて行く。
夜着の下から均整のとれた見事な身体が現れ、程よい筋肉に覆われた無駄のない美しい身体につい魅入ってしまう。
ユリシス様……すごく素敵……。
男の人を美しいと思ったのはユリシス様が初めてだ。でも美しいだけじゃない。意志が強くて、優しくて、誰よりも私に甘くて………。
胸が苦しい。ぎゅうっと締め付けられるこの痛みは何度か経験したそれとは全く違う、芯の疼きにも似た痛み。
甘く、痺れるような痛み。
ユリシス様は私に覆い被さりその腕の中に包み込むように抱く。その滑らかな肌はまるで私に吸い付くようで、隙間なく重なる生まれたままの身体はずっと昔から一つのものであったかのよう。
そして彼は額に、頬に、唇に、順番に口付けて行く。
「マリー愛してる……。約束する。私には一生君だけだ。君しかこの腕には抱かない。」
「……本当に?……一生私だけ?」
目を見つめ本当だと頷くと、ユリシス様の指が花弁をゆるゆると蜜を塗り付けるように撫でる。
「痛くしてしまうかもしれない。ごめん……私も初めてだから……。でも精一杯優しくする。
そして今日の事を一生忘れない。君と初めて結ばれたこの日の事を。」
初めて結ばれる今この瞬間を一生憶えていてくれる。この人の言葉は嘘じゃない。きっとずっと色鮮やかに憶えていてくれるだろう。
あぁ…それはなんて幸せな事だろう……。
胸の中が彼の想いで満たされて行くようで、身体が喜びに震え、その感情を堪えきれず涙が溢れる。
「マリー!?どうしたの!?」
急に泣き出した私を怖じ気づいたと勘違いしたのだろう。
「マリー、無理はしないと約束した。だからやめてもいいんだ。」
困ったように慌てる彼の首へ手を回し、きつく抱き締める。
「……ユーリ……愛してる………。」
顔は見えないから彼がどんな顔をしているかわからない。でも、その言葉に嘘偽りはない。
幼い頃の苦しみは、あなたに出会うために必要だった。
閉じ籠っていた日々は、きっとあなたのためにこの心と身体を守るため。
「…ユーリ…………?」
動かないユリシス様を横から覗き込んでも美しい髪に覆われて横顔すら見えない。
「ユーリ?……どうし………んっ」
その瞬間深く深く口付けられた。とろけるように熱い口付けは、涙の味がする。
唇を離して見上げたユリシス様は、顔をくしゃくしゃに歪めて泣いていた。
「…マリー、本当に?本当にそうなの?」
そうなの? とは本当に愛してるのかと言うことだろうか。
愛の定義なんていくら見聞きしてもわからない。でも……
「“愛してる”しか言葉が見つからないの……。ユーリが愛おしくて…大切で……思い返せばどんなあなたも大好きなの……。だから……」
「マリー……ごめん。今夜はもう、離してあげられない……!!」
「あっ!!あぁぁん!!」
熱く滾るユリシス様自身が、花弁を押し広げながら入ってくる。
あまりの熱さとナカを圧迫される重苦しさで目の前がチカチカする。
「マリー、痛い?」
何かに耐えるように顔を歪めるユリシス様の方がよっぽど辛そうだ。
「……ユーリがたくさん解してくれたから、痛くないの……本当よ。少し重苦しいだけ………あんっっ……!」
ユリシス様はゆっくりと限界まで自身を引き、そして奥深くまで挿入ると、まるで自身のそれで子宮にキスをするように腰を押し付ける。
「……あ…………ふぅ……ん……」
何度も何度も繰り返されると次第に擦られた場所が違う感覚を持ち始める。
「あん………あぁん………んん………あぁぁん……」
漏れ出る声が、いつの間にか甘さを含んでいる事に気付く。
気持ちいい…………。
ユリシス様の大きいそれは、肉壁をずりずりと擦りながら進む。そして時折とても敏感な場所に当たり、私は身体を反らすようにして大きく喘いでしまう。
そしてユリシス様は私のその反応を見逃さない。
「マリー、ここがいいの……?」
重なる身体を少し上げ、ユリシス様は擦る角度を少しずつ変えながら私の反応を確認している。そして見つけた私の一際高く啼く場所に狙いを定めると抽挿する速度を徐々に上げて行く。
静かな寝室に響くベッドの軋む音に興奮が煽られる。ユリシス様の息遣いがだんだんと荒くなり、その顔が快楽に蕩ける様に心を奪われた私のナカはきゅうっと思い切り彼自身を締め付ける。
「…っ!!ダメだよマリー……お願いだからそんなに意地悪しないで。もっと、もっとマリーが欲しいんだ。」
切なげな彼の顔から溢れ出る色香に、頭では駄目だとわかっていても、私のナカはなおもぎゅうぎゅうと彼を締め付けて離さない。
「もう……ダメだ……マリー……!!!」
ユリシス様は私の両脚を大きく開かせ、自身の両手をベッドについて激しく奥まで突いてくる。
「やぁぁぁん!!ユーリ!!ユーリ!!ダメぇ!!」
一番感じるところを抉るように激しく突かれ我を忘れてしまう。肌のぶつかる音と蜜がかき混ぜられ泡立つ音がたまらなく恥ずかしいのに、身体は彼にしがみついてもっともっとと締め付ける。
ユリシス様が柔らかな乳房の桃色の突起を口に含み、舌で転がしながら激しく腰を打ち付けると、大きな波のような快感が押し寄せようとするのを感じる。
「ユーリ……ユーリ……もう私……もう……!!」
「愛してるマリー!愛してる!!」
深く口付けたまま最奥を突かれ、小さな悲鳴にも似た啼き声が彼の咥内に消える。それと同時に私のナカがうねるような痙攣を繰り返し、彼を最後の高みへと導いた。
放たれた熱い欲が身体の奥をじわじわと満たして行く。最後の一滴を吐き出すまで彼は私を強く抱き締め口付けたままだった。
「……ユーリ……ユーリ……」
名前を呼ぶだけで満たされる。こんな気持ち初めて知った。彼の肌とその温もりの心地よさに包まれていたら眠気に誘われる。
このまま白んで行く意識に身を任せようと目を閉じると……………ん!?
「あ、あの……ユーリ……!?」
ユリシス様は私の中で再び硬さを取り戻す……と言うよりさっきよりも更に大きく硬くなってる!!!
「…言ったでしょ……今夜は離してあげないって……。」
とんでもない色気を振り撒きながら彼は私の身体に手を這わす。
「あっあっあぁん……!」
自身を一度も引き抜く事の無いまま再び抽挿が始まる。さっき出された白濁とした液と私から溢れた蜜が音を立てる。
「見てごらんマリー…私達の愛し合った証だよ。」
膝裏を両手で持ち上げられ、目の前で二人の繋がる場所を見せられる。混ざり合い、白く泡立つ二人の体液が漏れでる蜜口に、ユリシス様の硬くそそりたつ剛直が出入りする様が見える。
とんでもなくいやらしいその行為から恥ずかしくて目を逸らそうとするのをユリシス様は許さない。
「ダメだよマリー。君はもう私のもの。私も君だけのものだ。それを忘れないように目に焼き付けて……。」
そして再び激しい抽挿が始まる。
初めてなのにこんなにも気持ち良くて、必死に求められる事が嬉しくて、最後は恥ずかしさも飛んで彼に手を伸ばし求めていた。
「ユーリ……愛してる……」
私は朝までずっと、初めて口にしたその言葉を確かめるように、彼の耳元で何度も何度も囁いた。
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