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4章
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しおりを挟む「いつでも……?じゃあ今ここででもいいの?」
ここで!?世のため人のために建てられたこの薬草園でですか!?人様のお口に入る薬草の側でですか!?
この人倫理観というものをどこかに丸ごと落として来ちゃったのかしら。いや、でも最初から所構わずな人だったか。
「だだだだだめです!!!確かにいつでもとは言ったけどせめて人に見られない所でして下さい!!」
「ここだって見えないよ?ほら、そこの高く生い茂った草の陰とかなら尚安心………ね?」
「ね?じゃありません!あと耳元で悩ましく囁くのだめです!!」
あぶない。うっかり流されてフランシス様が丹精込めて育てている薬草園の中で致してしまうところだった。
でも次はいつ彼とこんな風に過ごせるのだろう。ここに来てからずっと離れずに一緒にいた分、明日からきっととても淋しくなるんだろうな。
「………明日からとても淋しくなるよ……。」
見上げると私と同じ顔をしたユリシス様がいる。
「私も同じことを考えてました………明日から淋しい………。」
「今夜も一緒に眠ろう。しばらく会えないから、マリーが私の事を忘れないようにしないとね。」
そう言ってとても魅惑的な笑みを寄越す。
色んな顔を持つ私の大好きで大切な人。
「部屋に戻りましょう?」
いつも繋いでくれる大きな手に私から手を重ねると、優しく強く握り返してくれる。かと思うと長く細い指先が私のそれをなぞるように動き、指と指の間に一本ずつゆっくりと交わって行く。
彼の一つ一つの仕草がとても官能的で、下腹部に言い知れない疼きを感じる。
「そんな目で男を見たら駄目だよ……。」
「そんな目って…?」
自分の顔がいつもと違う事はわかっている。
今私の頭の中は彼の事で……彼と彼のもたらす切ないくらいに甘くて激しいあの時間の事で埋め尽くされている。
「私が欲しくてたまらないって顔してる……」
彼のもう片方の手が私の首筋から胸元までをゆっくりと撫で下ろしてはまた戻り、その触れるか触れないかの力加減に肌が粟立つ。
「紅い唇が薄く開いて誘ってる……早く食べて欲しいって………。」
彼の唇が耳元で囁き吐息を落とすと脚の力が抜けそうになる。
「マリー……私はどんな顔をしてる……?」
ユリシス様の顔……?
その瞳を覗き込めば映るのは蕩けたような私の顔。そして彼の表情はとても切なく苦しそう。
あぁ、知ってる。この顔は……
「……私の事が欲しくて欲しくてたまらない顔をしてる………。ユーリお願い。早く私をベッドに連れて行って。」
彼は満足げに微笑むと、私を横抱きにして足早に薬草園を出た。
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