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6章
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しおりを挟むダレンシアとガーランドは元々敵国であった。
問題を武力で解決しようとするダレンシアと、話し合いによる平和的解決を望むガーランドは歴史の中で度々衝突を繰り返していた。
最後にお互いが武力で争った時、マクシム様率いる我が国の軍が勝利を収め、その講和の使者として出向いたのが当時マーヴェル公爵家を継ぐ前の若きダニエル様だった。
同じくダレンシアより講和の使者としてやって来た一団の中にいたのがダレンシア王族の系譜に名を連ねるジョセリン王女で、後にダニエル様の正妻になられるお方だ。
ダニエル様に一目惚れしたジョセリン様は、両国の末永い和平の象徴となれるようにとマーヴェル家に婚姻を打診し、ダニエル様がそれを受け入れた。
「まぁ、結果ズタボロの結婚生活になったみたいだけどね。ダニエル様の浮気三昧で。」
ジョエル様はお二人の結婚後すぐ授かったそうだから、最初こそ仲睦まじかったのだろう。
なんでその後浮気に走られたのかは知るよしもないが………。
そんな訳でリンシア王女はすでにダレンシアを出発しており、私は正式ではないが婚約者としてユーリと共に王女をお迎えする事になっている。
「クリストフ様をあちこち連れ回してしまう事になって本当に申し訳ありません…。」
じっとしている者を守るのと動き回っている者を守るのでは気苦労も違うだろうに。
「マリエル様!僕はじっとしてるのも動き回るのも好きだから気にしないで下さい!」
「ふふ。お口にブラウニーがついてますよクリストフ様。…ありがとうございます。ヴィクトル様も。」
お二人はにっこりと微笑んでくれた。
護衛の選定の日は結局ユーリとゆっくり二人の時間を過ごす事は出来なかった。けれどリンシア王女の滞在中は私が王女のお話相手を務める事になり、その間私は王子妃の部屋…つまりユーリの隣の部屋を使わせて貰う事になっている。
夜は一緒にいられるといいな………。
ユーリの腕に包まれて眠りたい。それだけで不安などどこかへ飛んで行ってしまうから。
私は荷造りをしながらユーリの事ばかり考えていた。
そしてリンシア王女がガーランドに到着予定の前日、私は護衛の皆さんと城へ入った。
クリストフ様はアランに会える事で前日からウキウキして舞い上がっていたが、アランはとてもとても遠い目をしていた。
「マリー。よく来てくれたね。疲れてない?」
「ユーリ………。」
顔を見るとほっとしてつい涙が出そうになる。
「………逢いたかった。今日からしばらくの間ずっと一緒だよ。」
優しく抱き締められ、彼の匂いで胸がいっぱいになると我慢していた涙が溢れていく。
私達はしばらく人目も気にせず抱き合っていた。
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